世界樹ユグドラシルは、かつて無限に広がる命の葉を揺らめかせていた。だがある日、その“葉”に喰らいつく一つの影が現れた。
その魔物は死者の血に飢え、魂すらも咀嚼する異形——ワールドエネミー。その出自は、北方の神々が太古に抹消した”サーペント”にして、神すら忘れた“喰らう者”の成れの果てである。
葉が落ちるたび、死者が甦り、その屍を再び貪る影は肥え太り、やがて九枚の葉だけが残された——それこそが、九界(ナイン・ワールド)であった。
だがその影は今、九界に迫る。ワールドエネミーが“最後の一葉”を喰らうとき、我々の知る世界は終わりを告げ、全てが原初の混沌に帰してしまうだろう。
その名は、『九曜の世界喰い』という。
ワールドエネミー 『九曜の世界喰い』
異名:終末の口(The Maw of the End)、九界の暗影(Shadow of the Nine Realms)、ナインゴルグ(Naingorg)、屍葉の喰らい手(Corpseleaf Devourer)、混沌のサーペント(The Serpent of Chaos)
原初のリノーム 脅威度45
ヒット・ポイント 1,960 (60d12+1,240)
高速治癒60 ; ダメージ減少20/エピックおよび特殊
混沌にして悪/超巨大サイズの竜(エルダー・イーヴル、悪、混沌、他次元界)
イニシアチブ+7 ; 知覚:擬似感覚500フィート; 〈聞き耳〉+60、〈視認〉+71 トゥルー・シーイング(超常)
オーラ:畏怖すべき存在(300フィート、難易度50)
言語:共通語、竜語、地獄語、天上語、奈落語 ; テレパシー1000フィート
アーマー・クラス 64、接触5、立ちすくみ61 (+3敏捷力、-8サイズ、+59外皮)
完全耐性:能力値ダメージ、能力値吸収、生命力吸収、クリティカル・ヒット、大規模ダメージ、[精神作用]効果、毒、病気、麻痺、石化、ポリモーフ、[即死]効果、負のエネルギー、特殊:七色のヴェール
抵抗:[火]30、[冷気]30 、[酸]30 、[電撃]30、[音波]20、[力場]10 ; 呪文抵抗45
セーヴング・スロー:頑健+51、反応+32、意志+43
移動速度:60フィート、穴掘り50フィート、水泳50フィート、飛行100フィート(標準) 、フリーダム・オヴ・ムーヴメント (超常)
全力攻撃:噛みつき(×1)+76(4d8+24さらに3d8[不浄]および2d6[猛悪]ダメージ)、および爪(×2)+74(4d8+24さらに生命力吸収5Lv)、および爪の2次攻撃(×2)+69(4d8+24さらに生命力吸収5Lv)、および尾の打撃+74(4d6+36)
基本攻撃ボーナス+60 ; 組みつき+100
攻撃オプション: つかみ強化、飲み込み、押し潰し、尾による一掃、《強打》、《薙ぎ払い》 、《かすめ飛び攻撃》、《ひっつかみ》、《突き飛ばし強化》、《尾による一撃での打ち倒し》、《尾による大旋風》、《衝撃波》
特殊なアクション:アンデッド招来、かきむしり(4d6+18)、ブレス攻撃(DC59反応またはDC50頑健)
能力値:【筋】59、【敏】16、【耐】49、【知】31、【判】32、【魅】31
擬似呪文能力 (術者レベル34、セーヴDC20+呪文Lv):
1日3回―― イセリアル・ジョーント、グレーター・ディスペル・マジック、ディスプレイスメント
1日1回―― タイム・ストップ、フォース・ケージ、インプリズンメント
習得秘術呪文(術者レベル24、セーヴDC20+呪文Lv):
9レベル(5回/日):アポカリプス・フロム・ザ・スカイ、アンバインディング
8レベル(7回/日):チェイン・ディスペル、ストームレイジ、メイルストロム
7レベル(7回/日):リバース・グラヴィティ、グレーター・テレポート、スペル・ターニング
6レベル(8回/日):シャドウ・ウォーク、ディスインテグレイト、ムーヴ・アース
5レベル(8回/日):ウォール・オヴ・フォース、コーン・オヴ・コールド、テレキネシス、ナイトメア
4レベル(8回/日):クイッケン・ブレス、ディメンジョン・ドア、エアリアル・アラクリティ、アンホーリー・ブライト
3レベル(8回/日):スロー、アーケイン・サイト、グレーター・マジックウェポン、ウィンド・ウォール
2レベル(9回/日):シンティレイティング・スケイルズ、ウィスパリング・ウィンド、グリッターダスト、サモン・スウォーム、ブラー
1レベル(9回/日):ウィングス・オブ・スウィフト・フライング(RotD)、オブスキュアリング・ミスト、エントロピック・シールド、メイジ・アーマー、メッセージ
0レベル(6回/日):ダンシング・ライツ、ディテクト・マジック、プレスティディジテイション、メイジ・ハンド、メッセージ、メンディング、ライト、リード・マジック、レジスタンス
特技:《複数回攻撃》、《強打》、《薙ぎ払い》 、《迎え撃ち》、《イニシアチブ強化》、《連撃》、《ひっつかみ》、《強化版追加hp》、《恐るべき突撃》、《尾による一撃での打ち倒し》、《尾による大旋風》、《寄せつけぬ巨体》、《衝撃波》、《かすめ飛び攻撃》、《ホバリング》、《焦点具埋め込み》、《物質要素省略》、《手練の術者》、《迅速な呪文修正》、《呪文高速化》、《擬似呪文能力高速化:グレーター・ディスペル・マジック》
技能:〈はったり〉+30、〈威圧〉+76、〈偽造〉+10、〈解読〉+25、〈鑑定〉+40、〈交渉〉+54、〈軽業〉+25、〈捜索〉+12、〈登攀〉+54、〈脱出術〉+60、〈動物使い〉+12、〈跳躍〉+51、〈平衡感覚〉+22、〈聞き耳〉+60、〈視認〉+71、〈治療〉+11、〈生存〉+13、〈精神集中〉+79、〈真意看破〉+51、〈水泳〉+84、〈知識 (建築術および工学)〉+50、〈知識 (神秘学)〉+60、〈知識 (宗教)〉+50、〈知識 (次元界)〉+50、〈知識 (ダンジョン探索)〉+50、〈呪文学〉+32、〈情報収集〉+12
出現環境:世界樹の根元
編成:単体
このおぞましき獣は、悪しき存在の中でもとりわけ最悪の部類として古くから噂される。『九曜の世界喰い』は、宇宙の構造がまだ熱と混沌に満ちていた太古の時代、星々の狭間に生まれたとされる原初のリノームである。その属性は「混沌にして悪」であるが、より本能的・破滅的・原始的な原理で行動する。そのうろこは粘液、菌類、苔、地衣類、枝分かれした繊毛に覆われている。横たわっているとき、『九曜の世界喰い』はとてつもなく巨大な朽ちた古木のように見える。『九曜の世界喰い』はいかなる気候や地形にも順応できるが、常に世界樹の根本でとぐろを巻いている。そのねぐらはしばしばアンデッドの従者たちによって守られており、それはデス・ナイトやナイトウォーカーからヴァンパイアやリッチのような強大な不死者にまで及ぶ。これらの従者たちは、かつて財宝を求めてここに挑んだ英雄の成れの果てである。
戦闘
『九曜の世界喰い』は、自らの巣で戦うことはほとんどない。侵入者に自らの棲処を発見させないことを好むためである。代わりに脅威が接近した際は、アンデッドの僕たちを差し向けて敵の足止めを行い、能力や弱点を探る。十分な情報を得たと判断すれば、天空へと舞い上がりブレス攻撃で猛攻を仕掛ける。また戦闘前にはメイジ・アーマー、グレーター・マジックウェポン、エアリアル・アラクリティ、エントロピック・シールド、ディスプレイスメント、シンティレイティング・スケイルズ、クイッケン・ブレス、アーケイン・サイト、スペル・ターニングを使用し、戦闘中にはグレーター・ディスペル・マジック(1日3回高速化)と9種類のブレス攻撃を適切に判断して使用する。敵が麻痺や朦朧化により隙を見せた時には、押し潰したり爪で切り裂くなどして容赦なくとどめを刺す。群がる敵を尾による一掃で打ち払うのを得意とするが、牙や爪による白兵戦は、あくまで最後の手段として用いられる。
ブレス攻撃 (超常):標準アクションとして『九曜の世界喰い』は9種類のブレス攻撃のいずれかを、70フィートの円錐形または140フィートの直線形として放つことができる。再びブレス攻撃を行う前に1d4+1ラウンド(最低1ラウンド)待たなくてはならない。ブレス攻撃のセーヴ難易度は、DC59(耐久力より算出)である。噛みつき攻撃を行ったなら、同ラウンド中はブレス攻撃は行えない。
エネルギーのブレス(円錐形): [火]、または[冷気]、または[酸]、いずれかのエネルギーダメージから選択して円錐形のブレスを放つ。 範囲内のすべてのクリーチャーは、反応セーヴ(DC59)に失敗すると、36D10ポイントの各エネルギーダメージを受ける。
エネルギーのブレス(直線形): [電気]、または[音波]、いずれかのエネルギーダメージから選択して直線形のブレスを放つ。 範囲内のすべてのクリーチャーは、反応セーヴ(DC59)に失敗すると、36D10ポイントの各エネルギーダメージを受ける。
地獄の業火のブレス(円錐形):範囲内のすべてのクリーチャーは、反応セーヴ(DC59)に失敗すると、36D6ポイントの[地獄の業火]のダメージを受ける。このダメージの半分は[火]エネルギーだが、残り半分は[火]耐性を無視する邪悪な力による無属性ダメージである。また[善]の副種別を持つクリーチャーに対しては+20ダメージを加算する。
衰滅の瘴気のブレス(円錐形):恐ろしい瘴気のガスが1d4ラウンドのあいだその場にとどまる。範囲内のすべての生きているクリーチャーは頑健セーヴ(DC59)に失敗すると、以降の効果すべてを同時に受ける(効果は累積する):過労状態、朦朧状態(1ラウンド)、麻痺状態(1d6+12ラウンド)、耐久力ダメージ(3d6)、およびリビング・ロット(病気)に感染する。セーヴに成功したクリーチャーは過労状態が疲労状態に軽減され、耐久力ダメージは半減、他の効果は受けない。このエリアにとどまり続けるクリーチャーは、自分のターン開始時に再び頑健セーヴを行わなければならない。失敗すれば、上記効果が再度適用される(すでに発生している効果は延長されるか、二重に影響を受ける)。
この瘴気のガスは視界を著しく妨げる。ブレスの効果範囲内は軽度の視界阻害を受けるものと見なされ、10フィートを超える距離にある対象は視認困難(20%の失敗確率)となる。この効果はガスが存在しているラウンドのあいだ継続する。
死の風のブレス(円錐形):風と負のエネルギーで竜巻のような風として機能する。範囲内のすべてのクリーチャーは、頑健セーヴ(DC59)に成功しなければならない。これに失敗した大型サイズ以下のクリーチャーは吹き飛ばされ、超大型サイズのクリーチャーは転倒する。(それより大きいクリーチャーは風の影響を受けない)。飛行中のクリーチャーは、実際のサイズよりも1つ小さいサイズ・カテゴリーとして扱われる。吹き飛ばされた地上のクリーチャーは伏せた状態で1d10x10ft.後退し、10ft.ごとに1d4ポイントの非致傷ダメージを受ける。 吹き飛ばされた飛行中のクリーチャーは、2d10x10ft.吹き飛ばされ、2d6ポイントの非致傷ダメージを受ける。さらに悪いことに、デスウィンドの範囲内にいるすべてのクリーチャーは(風自体がどのような影響を与えたかに関わらず)36d8ポイントの負のエネルギーのダメージを受け、このダメージはその範囲内にいるアンデッドを回復させる。このダメージによって殺害されたクリーチャーは、その肉体が風によって吹き飛ばされて事実上崩壊し、まことの死(True Death)により魂は完全に消滅する。
混沌のブレス(直線形):混沌のエネルギーの渦により因果律が乱れる。範囲内のすべてのクリーチャーは頑健セーヴ(DC59)に失敗すると、以降の効果のうち1d4つをランダムに受ける:混乱状態、石化状態、減速(2d20ラウンド)、別次元への放逐(ランダムに決定)、歪曲(体がねじれて能力値がランダムに交換)、老化(1d20年)、次元迷宮(メイズ呪文に準拠)、時間停滞(テンポラル・ステイシス呪文に準拠)、時間跳躍(1d6ラウンド後へのテレポート)
アンデッド招来(疑呪):1日4回。最大ヒット・ダイス30、総ヒット・ダイス68までのあらゆるアンデッド1体を招来できる、この能力は9レベル呪文相当である。
エピック級打撃 (変則):『九曜の世界喰い』の肉体武器攻撃はダメージ減少を克服するに当たり、エピック級武器および混沌属性として扱われる。
不浄なる噛みつき(超常):『九曜の世界喰い』の噛みつき攻撃が命中するたびに、対象のクリーチャーに3d8の[不浄]および、2d6の[猛悪]ダメージを与える。
生命力吸収(超常):『九曜の世界喰い』の爪攻撃が命中するたびに、対象の生きているクリーチャーは5レベルの負のレベルを受ける。また、与えた負のレベル1つにつき5ポイントのダメージを回復する。この回復量が『九曜の世界喰い』が受けていたダメージを上回った場合、余剰分は一時的ヒット・ポイントとして得られる。
この負のレベルが24時間以内に(レストレーション等の呪文によって)取り除かれなかった場合、対象は負のレベル1つにつき1回、難易度50の頑健セーヴに成功しなければならない。
失敗した場合、対象のキャラクター・レベルまたはヒット・ダイスが1点恒久的に減少する。
攻撃オプション
つかみ強化(変則):この能力を使うためには、超大型サイズかそれより小さい敵に噛みつき攻撃を命中させねばならない。命中したならば通常のダメージを与えるのに加え、フリー・アクションとして機会攻撃を誘発せずに組みつきに入ろうと試みることができる。組みつき判定に成功したなら、このクリーチャーは相手を捕らえたことになり、以降のラウンドに飲み込みを試みることができる。
飲み込み(変則):組みつき判定に成功することで、つかんだ超大型サイズ以下の敵を飲み込もうとすることができる。飲み込んだ敵は、毎ラウンド6d8+12の殴打ダメージと消化液によって6d6+6の[酸]ダメージを受ける。飲み込まれたクリーチャーは、このクリーチャーの消化器系(AC39、DR10/エピック)に60ポイントのダメージを与えることにより脱出口を切り開くことができる。外に出たなら筋肉の作用によりその穴は閉じてしまうため、他にも飲み込まれたクリーチャーがいれば、そのクリーチャーは脱出口を自分で切り開かなければならない。このクリーチャーの食道には、超大型なら2体、大型なら8体、中型なら32体、小型なら128体、超小型以下なら512体の敵を入れることができる。
存在喰らい(変則):飲み込まれたクリーチャーが連続して3d6ラウンドの間、脱出も救助もされなかった場合、その存在は『九曜の世界喰い』の内なる“虚無の核”へと吸い込まれ、完全に消滅する。これはスフィアー・オヴ・アニヒレイションの効果と等しいものと扱われ、これによって消滅してしまったキャラクターをよみがえらせることは神格の直接介入を除いては不可能である。
押し潰し(変則):飛行また跳躍していれば、標準アクションとして敵の上に着地し、全身で敵を押し潰すことができる。押し潰し攻撃はこのクリーチャーよりサイズ分類が3段階以上小さい敵に対してのみ有効であり、身体の下に収まるすべてのクリーチャーに対して作用する。作用を受ける範囲内にいるクリーチャーは反応セーヴィング・スロー(DC50)に成功しなければならず、失敗すると押さえ込まれた状態になり、上からどかなければ次のラウンド中に自動的に4d8+36ポイントの殴打ダメージを受ける。押さえ込みを継続する場合、それは通常の組みつき攻撃として扱うこと。押さえ込まれた状態の敵は、脱出しない限り毎ラウンド押し潰しによるダメージを受ける。
かきむしり(変則):同一対象に2つの爪攻撃を命中させた場合、自動的に4d6+18ポイントの追加ダメージを与える。
ひっつかみ(変則):爪か噛みつき攻撃を命中させたなら、つかみ強化の特殊攻撃を持っているかのように組みつきに入る試みを行うことができる。自分より3段階以上サイズ分類の小さなクリーチャーを捕らえたなら、圧搾することにより毎ラウンド自動的に噛みつきか爪のダメージを与えることができる。ひっつかまれた敵は口で捕らえられているのなら、そのクリーチャーのブレス攻撃に対しては反応セーヴィング・スローを行うことができない。
クリーチャーはひっつかんだ1体のクリーチャーを、フリー・アクションで落っことすか、標準アクションで放り投げることができる。放り投げられたクリーチャーは1d6×10ft.飛び、飛んだ距離10ft.ごとに1d6ダメージを受ける。クリーチャーが飛行中に、ひっつかんだ敵を放り投げたなら、敵はこのダメージか落下ダメージのうち、どちらか大きい方を受ける。
恐るべき突撃(変則):『九曜の世界喰い』は突撃時、全力攻撃を行える。
尾による一掃(変則):『九曜の世界喰い』は標準アクションとして、尾を振り回して攻撃することができる。このクリーチャーの接敵面の縁にある交差点の1つから、いずれかの方向に広がる半径40ft.の半円形の範囲に作用する。一掃の範囲内にいる、このクリーチャーよりサイズ分類が4段階以上小さいクリーチャーが作用を受ける。尾による一掃は自動的に2d8+36ポイントのダメージを与える。作用を受けたクリーチャーは反応セーヴィング・スロー(難易度64)を行うことができ、成功すればダメージを半減できる。
尾による一掃での打ち倒し(変則):『九曜の世界喰い』の“尾による一掃”攻撃に対するセーヴィング・スローに失敗したクリーチャーは、全ダメージを受けるのに加え、打ち倒されて伏せ状態となる。
尾による大旋風(変則):『九曜の世界喰い』の“尾による一掃”攻撃は、“尾の打撃”の間合いに等しい半径を持つ円形の範囲に作用する。
寄せつけぬ巨体(変則):『九曜の世界喰い』が機会攻撃に成功した場合、対象が機会攻撃を誘発する以前にいた場所へと5フィート押し戻すことができる。機会攻撃を命中させた後に、『九曜の世界喰い』と敵とで対抗【筋力】判定を行なうこと。敵よりサイズ分類が1段階大きいごとに+4のボーナスを得、機会攻撃で与えたダメージごとに追加で+1のボーナスを得る。この対抗判定に勝てば今までいた場所へと5フィート押し戻される。『九曜の世界喰い』が押し戻した敵は、このラウンドの間それ以上移動することはできない。
衝撃波(変則):『九曜の世界喰い』は全ラウンドアクションとして、尾で固い地面を打ち、接敵面から発して種族HD数×5ft.(300フィート)だけ届く衝撃波を作り出すことができる。この半径内にクリーチャーが何体いるかに関わらず1回だけロールを行ない、“突き飛ばし”攻撃を行なうこと。半径内のクリーチャーはすべて【筋力】判定を行ない、結果を『九曜の世界喰い』のロールと比べる。対抗判定に失敗した者は打ち倒される。
部分的にでも衝撃波の範囲内にある建造物や装備中でない物体は1d4+24ダメージを受ける。
飛行能力(超常): 『九曜の世界喰い』は翼を持たないにもかかわらず飛行100フィート(機動性:標準)の移動速度を持ち、これは超常能力である。戦闘時にはエアリアル・アラクリティ呪文(飛行速度+30フィート、機動性1段階上昇、ACと反応セーヴに+1回避ボーナス)及びウィングス・オブ・スウィフト・フライング呪文(竜であれば飛行速度+40フィート)により、これは飛行170フィート(機動性:良好)となる。
ダメージ減少(変則):『九曜の世界喰い』のダメージ減少は特殊であり、1ラウンドごとに、エピックおよび善、エピックおよび秩序、エピックおよびアダマンティン、エピックおよび冷たい鉄、エピックおよび銀、と順繰りに変化していく。
七色のヴェール(超常): 『九曜の世界喰い』は上記データのエナジー抵抗に加え、[火]、[冷気]、[酸] 、[電撃]、[音波]、[力場]のうちどれか2つに完全耐性を得る。これは1d4ラウンドごとにランダムに変化する。
フリーダム・オヴ・ムーヴメント (超常):呪文と同様だが、常時起動である。
トゥルー・シーイング(超常): 呪文と同様だが、常時発動である。
ヒット・ポイント最大化 (変則):『九曜の世界喰い』は各ヒット・ダイスにつき、最大のヒット・ポイントを与えられる。
『九曜の世界喰い』はワールドエネミーとして、エルダー・イーヴル(太古の邪悪)の副種別を持つ。
エルダー・イーヴルの副種別:エルダー・イーヴル(太古の邪悪)は災厄の特性/Malefic Properties(超常)を持つ。
アンチ・マジック・フィールドは狭い範囲であればその効果を抑えることができるが、そのためにはエルダー・イーヴルの呪文抵抗を克服するために術者レベル判定に成功する必要がある。
ディスペル・マジックとグレイター・ディスペル・マジックは災厄の特性に対して効果を持たない。
災厄の特性は『九曜の世界喰い』のパワーに応じて、世界全体に影響を及ぼす。
ヒット・ダイス:効果半径
15以下:10マイル
16-30:100マイル
31-50:1,000マイル
51以上:全世界
異端の秘密/Anathematic Secrecy(変則):『九曜の世界喰い』に関する情報を占術呪文により神格から得ようとすると、常に失敗する。
占術妨害 (変則):ノンディテクション呪文と同様だが、常時発動である。
まことの死(超常):この特性を持つエルダー・イーヴルの存在は、生きているクリーチャーの魂を弱め、死に際に失われるようにする。
効果:災厄の特性の領域内で死亡したクリーチャーは永遠に死亡する。その魂はアウター・プレーンに渡ったのではなく、肉体とともに滅んだのだ。さらに[即死]効果を持つすべての呪文と疑似呪文応力は術者レベル+4で唱えられる。この能力は常にアクティブである。
神格発狂(超常):神格ランクを持つすべての[他次元界]副種別を持つ来訪者が『九曜の世界喰い』の周囲100マイル以内に近づいた場合、インサニティ 呪文と同様の効果を受ける(セーヴ無し)。彼らのアクションはランダムロールで決定され、狂気のクリーチャーが術者を攻撃する結果が出た場合、神格はエルダー・イーヴルを除く至近のクリーチャーを攻撃する。
破局のサイン:ホーリッド・ブライト
この兆しは、ゆっくりと世界を死へと導く。
生き物は不妊となり、もはや子をなすことはない。
獣は病み、やがて死に絶える。
植物は枯れ、あるいは腐敗し、病は荒れ狂って広まり、その忌まわしき触れによって万物を堕落させてゆく。
微弱 :すべての病気に抵抗するセーヴDCは5上昇する
中等度:微弱と同様だが 普通の植物が枯れ始める。毎日の開始時に、すべてのクリーチャーはDC15の頑健セーヴに成功しなければならない。2回目のDC15頑健セーヴに失敗した動物または植物タイプのクリーチャーは、その日1d3ポイントの耐久力ダメージを受ける
強力:あらゆる病気に抵抗するためのセーヴDCが10増加する。毎日の開始時に、すべての生物はDC20の頑健セーヴに成功しなければ、その日の間吐き気を催す。セーヴに成功した場合、そのクリーチャーは代わりに病気になる。2回目のDC15の頑健セーヴに失敗したクリーチャーは、その日1d3ポイントの耐久力ダメージを受ける;動物または植物タイプのクリーチャーのセーヴDCは20である。
圧倒的: あらゆる病気に抵抗するためのセーヴDCが20増加する。各日の開始時に、すべての生物はDC25の頑健セーヴに成功しなければ、1d6ポイントの耐久力ダメージを受ける。
疫病:LIVING ROT
恐ろしい疫病の兆候が現れると、新たな病気が現れ、野火のように土地全体に広がる。リビング・ロットは新たな疫病の一例である。伝染病の詳細についてはDMGを参照。この病気は犠牲者の皮膚に膿を含んだ水疱を噴出させ、やがて破裂して血まみれのクレーターを残す。肉は腐って骨から剥がれ落ち、内臓は傷口から突出する。罹患者は自らの身体が腐敗する耐え難い悪臭に包まれる。
感染: 摂取、吸入、傷害、接触。基本セーヴ:頑健DC15(この数値はサインの強さによって変化する)。
潜伏: 1日。ダメージ 1d4 筋力、1d4 耐久力*、1d4 判断力、1d4 魅力*
*ダメージを受けた場合、感染したクリーチャーは別のセーヴィング・スローに成功しなければならない。
デザイナース・ノート:『オーバーロード』におけるワールドエネミー、『九曜の世界喰い』の存在は、「世界樹を喰らうもの」として北欧神話のニーズヘッグがモデルになっていると思われる。
今記事ではこの点を考慮に入れ、D&D3.5版でのクリーチャーデータ化を試みた。
D&Dにおけるニーズヘッグ:D&Dシリーズ各版ではオリジナルD&Dの頃からすでに世界各地の神話的存在をデータ化再現し、サプリメント(追加ルール本)として出版するのが恒例行事となっているが、その中でも北欧神話の神々は常に重点的に扱われてきた歴史がある。
AD&D1eの次元界設定本『Manual of the Planes』、2e『Planescape』を経てD&D3版では《大いなる転輪》と呼ばれる宇宙観が構築されるのだが、その中に北欧神話の世界観や神々(パンテオン)、さらには複数の次元界を貫く存在として世界樹ユグドラシルも組み込まれていった。
そんな状況の中ニーズヘッグはどうだったかというと、何度か言及されることはあるもののクリーチャーとしてデータ化までは至らない、といった状況であった。
しかし3.5版シナリオ『Demonweb Pits』には、世界樹の根本でのランダム遭遇に「ニーズヘッグの血を引く竜」(脅威度20のリノーム)が含まれており、過去の記述と併せてD&Dにおけるニーズヘッグの種族はリノーム(翼を持たない原始的な竜)で間違いないみたい。
どうやら《大いなる転輪》では、いまだに鳥と蛇が世界樹の上と下で対立しているようだ(笑
以上を踏まえ、『モンスター・マニュアルⅡ』記載の強大なリノーム「死体を引き裂くもの/Corpse Tearer」(脅威度28)、各種エルダー・イーヴル、タルタリアン・ドラゴン、タイタン変動重力源(トップ2)、混沌のサーペント(*band)などをインスピレーション元として『九曜の世界喰い』を作り上げた。
自分の厨二精神と3.5版知識をフル稼働させデザインした、渾身のクリーチャー・データです。ぜひ戦ってみてください!
(対30Lvキャラクター6~8人ぐらいを想定、レイド戦で対多人数の場合は招来アンデッド追加で難易度調整)
参考文献:『Deities & Demigods』、『Epic Level Handbook』、『ドラコノミコン』3.5版、『モンスター・マニュアルⅡ』3.0版、『Elder Evils』、Web記事『邪悪のエッセンス/Essence of Evil』