前記事の補足説明……というか本来こっちを先に書くべきだったのだが、資料集め(段ボール箱の山の何処からかクロちゃんのD&Dがよくわかる本を発掘するミッション)に手間取ってしまったもので。そんな訳でまあ、ウィザードリィでは【Piety/しんこうしん】、ファイナルファンタジー2では【せいしん】とか呼ばれている能力値についてのお話です。
クラス:クレリックの主要能力値であるWisdom/ウィズダムについては、古より「Wisdomって具体的には何なの?Intelligence/知力とはどう違うの?」という疑問がRPGの基礎知識として定番のFAQとなっていた。
また「Wisdomの適切な和訳は【知恵】?【賢明】?【かしこさ】?それとD&D3版の【判断力】って訳はどうなのよ」といった意見もよく見られたものである。
この質問に対する答えについて80年代中頃(日本RPG黎明期と言える)、クラシックD&Dベーシックルールセット(赤箱)では以下のように説明されていた
For example, imagine that you feel wet drops on your arm. Your Intelligence would tell you that it’s raining; your Wisdom would tell you to go indoors to avoid catching a cold.
(Frank Mentzer. D&D Basic Rules. 1983)
「空から水が降ってきたときに、知識度は雨だと悟らせ、賢明度はどうやって雨やどりをしようかということを考えさせる」
(黒田幸弘『D&Dがよくわかる本』1987年)における訳文
クロちゃんもぼやいていたように、わからんわけじゃないけど今一つピンとこない説明である。
ともあれ、これがフランク・メンツァーの回答であり、当時のTSR公式見解だったのだろう。
時はさかのぼり70年代末期、あらゆるRPGの源流であるAD&D1stダンジョンマスターズ・ガイドの能力値補足説明においてはWisdomが以下の様に説明されていた。
An example of the use of wisdom can be given by noting that while the intelligent character will know that smoking is harmful to him, he may well lack the wisdom to stop (this writer may well fall into this category).
【判断力】の例を挙げると、知的なキャラクターは喫煙が自分にとって有害であることを知っているが、止める判断力がない場合がある(筆者はこれに該当する可能性が高い)。
(Gary Gygax. Dungeon Masters Guide. 1979)より抄訳
なんとまあガイギャックスらしい諧謔味あふれる一文だろうか。その上わかりやすい(笑)
また上記訳文ではWisdomに【判断力】を充ててみたが、全く違和感の無い文章に仕上がっているので、D&D3版での訳も案外的を射たものだったと思われる。
余談であるが、上記ダンジョンマスターズ・ガイドの能力値補足説明:Charisma/魅力の項目では、肉体的な外見だけではない真のカリスマを持った歴史上の人物例としてユリウス・カエサル、ナポレオン・ボナパルトと共にアドルフ・ヒトラーの名を挙げている……今じゃ絶対ポリコレ的にNGで書けないやつだ