Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

D&D3.5e突撃兵ビルドとサイ皮鎧のその後

D&D3.0eにおけるマジックアイテム「ライノ・ハイド」アーマー(サイ皮よろい)の効果についてはビオラインリードの記事で知った、というローグライクゲーマーの方も多いかと思われる。

突撃/チャージ時にダメージを2倍にする*1という単純にして強力なその効果は、チャージ特化キャラビルドのシナジーにおいて「壊す」ための最重要要素の一つとなり、Rhino Hide(3.0e)は、その設計思想・費用対効果・ゲーム内影響から、D&D3.0eのバランスの粗さを象徴するマジックアイテムの一つとして語られることもあった。

当然ながらこれは後継アップデートであるD&D3.5eでは弱体化され、効果は「突撃時に追加で2d6ダメージ」へと変更された。そのため3.5e のチャージャー系ビルドにおいて必須アイテムではなくなり、3.5e時代の最適化論(Min/Max)ではライノ・ハイドはほとんど話題に上らなくなった。*2

 

しかしD&D3.5eにおいてもチャージ特化ビルドは依然として最強クラスのダメージディーラーであり、その中でも特に著名だったのが、いわゆる「飛びかかり突撃兵/Ubercharger/Pounce Charger」などと呼ばれていたビルドである。

 

下記がその主要成分となる

  • 突撃/Charge:最低10フィート直線移動後1回の近接攻撃。命中+2ボーナス、およびACに-2ペナルティ。
  • 特技《強打/Power Attack》:攻撃ロール(命中)に任意のペナルティを与える代わりに、その値をダメージに上乗せする特技。両手武器では下げた命中の2倍をダメージに加算でき、ペナルティは基本攻撃ボーナス(BAB)まで選べる。
  • 飛びかかり/Pounce :突撃後、1回攻撃ではなく全力攻撃/フルアタック(複数回攻撃)が可能となる。通常は主にネコ科動物が持つ特殊能力だが、PCにもバーバリアン代替クラス特徴《ライオン・トーテム》*3やサイオニック・パワー《サイオニック・ライオンズ・チャージ》*4、ライオンズ・チャージ呪文*5など、複数の取得手段がある。今回のビルド成立には多数の特技が必要なため、基本的にバーバリアンベースにファイター2~4Lv混ぜを想定してる。
  • 特技《跳躍突撃/Leap Attack》*6:突撃時、跳躍/ジャンプで水平距離10フィート以上を移動すると、《強打》のダメージ変換率が上昇し両手武器なら3倍になる。
  • 特技《突撃兵/Shock Trooper》*7:3つの戦術効果を持つ特技。中でも《無謀な突撃》の効果は、突撃時に《強打》を使う際、強打の命中ペナルティを命中ではなくアーマークラスに移せる。

 

これらを組み合わせることにより、戦闘開始→バーバリアンが敵一番の大物にすっ飛んでいく→突撃、相手は死ぬ。といった具合になる。バーバリアンも《無謀な突撃》の効果で紙装甲となっており放っておくと死んじゃうためサポートは必須だが、このような盤面から敵主力を短時間で排除できる火力ユニットは、高レベル帯になるほど特に有益である。

この時点で十分強力なビルドであり、10レベル、ヘイスト込みでダメージ期待値200近くは出せてしまい、同レベル帯でこれに耐えられるモンスターはほぼ存在しないのだが、下記要素を加えるとさらにダメージが爆発する

 

  • 上級クラス:フレンンジード・バーサーカーのクラス能力《強打強化/Improved Power Attack》および《強打超強化/Supreme Power Attack》*8:強打のダメージ変換率がさらに上昇する。とくに《強打超強化》を取得すると両手武器使用時の強打ダメージは「1点の命中ペナルティにつき+4」へと上昇し、これに《跳躍突撃》を組み合わせた場合、「1点の命中ペナルティにつき+5」のダメージを得られる、ヤバスギ。
  • 鳥人種族ラプトランの持つ能力《急降下突撃/Dive Attack》*9:刺突武器を持ち、ダイヴしながら突撃するとダメージ2倍。条件として最低30フィートの水平移動と、少なくとも10フィートの降下が必要。

 

雑に20Lv時のダメージを計算してみると:基本攻撃ボーナス(BAB)は20なので、ACに-20ペナでダメージに+100ボーナス、ヘイストまたは狂乱の追加攻撃込みで5回攻撃、それが急降下突撃で2倍なので1000ダメージは確実に超えちゃいますね……

 

まあバーサーカーは勝手に《狂乱/フレンジー》して味方まで殴りに行く危険なクラス*10だし、《急降下突撃》と《跳躍突撃》の両立も条件が厳しく(跳躍判定が相当高くないと成立しない)、そこまで無理してビルドに組み込む必要があるのか?とは正直思う。

だがデータがある以上、破壊力の限界を求めずにはいられないのがパワーゲーマーの性である。

だってこれ、マジック:ザ・ギャザリングの会社がつくったゲームだよ?

データいじくりまわしてシナジー爆発させるのが楽しくて仕方ない、そういうふうに出来てるオモチャなのよ!!

 

……と、一人盛り上がってしまったが、上記のようなビルドが猛威を振るったのはもう20年近くも昔の話であり、いまさら掘り返すほどの話題でもないやもしれぬ。それでもオバロ二次創作かなにかの参考になるかもしれないし、また漫画『異世界マンチキン』にスパイクト・チェインを振るうH.F.O三人組が登場したりなど、どこかで D&D3版系の雑学が再び脚光を浴びる可能性もゼロではない、のかもしれないので(笑

*1:ルール補足:D&D3版系において2倍は+100%として計算する。すなわち騎乗ランスチャージのダメージ2倍にライノ・ハイドの2倍を合わせても4倍にはならず、これは3倍ダメージとなる。ウォーズマン理論も2×2×3=1200万パワーとはならず、500万パワー・スクリュードライバーとなる

*2:ルール補足:クリティカル・ヒット等でダメージが倍加される場合、「武器本体のダメージ」と筋力修正、強化ボーナス、強打などの「固定値のボーナス」は倍化されるが、急所攻撃や属性エネルギー・ダメージ付与(フレイミングなど)などの「追加ダメージ・ダイス」は倍にならない。よって3.5版ライノ・ハイドの追加2d6ダメージはランスチャージなどの倍々系と絡めても数字が増えず、おいしくない

*3:バーバリアン1Lvの能力:高速移動と振替。『勇者大全』記載

*4:サイキック・ウォーリアー2レベルパワー、『サイオニック・ハンドブック3.5版』記載

*5:レンジャー、ドルイド呪文、『呪文大辞典』記載

*6:サプリメント冒険者大全』記載

*7:サプリメント『戦士大全』記載

*8:サプリメント『戦士大全』記載

*9:サプリメント『自然の種族』記載

*10:これに対して「朝一で近所の森に一人で行って《狂乱》を使い切ってきます」などと宣言するマンチプレイヤーもいたという……もともと《狂乱》がなくてもフレンジード・バーサーカーは十分に強力な上級クラスなのだが、戦闘で狂乱しない狂戦士というのも、いかがなものか