Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

はじめに

このブログは丸山くがね氏の小説『オーバーロード』について、そのユグドラシル世界に大きく影響をあたえているであろう、ダンジョンズ&ドラゴンズ3.5版(以降D&D3.5e)視点から、元ネタを考察していく個人的な備忘録です。
オーバーロード内からのものは〈山カッコ〉、D&D3.5e出典のものは《二重山カッコ》で表記しています。
またD&D3.5eについては、特に記載ない限り基本ルールブック3冊(PHB,DMG,MM)からの出典です。

自分は3版系で邦訳された分はほぼ全てルールブックを揃えていますが、なにぶん物量が多く未訳まで含めると甚大な量となります。また丸山くがね氏がプレイ経験を明言しているクラシックD&D(赤箱)、ダンジョンズ&ドラゴンズ4版、ソードワールドガープスなどについての知識はほとんどありません。
そのため勘違い、的外れな考察もあるかもしれませんがそこはご了承ください。

追記ログ

2025/01/13 追補:ファイナルファンタジーのモンスター出典一覧
FF1モンスターデータの特色について追記

2024/10/26 二刀流レンジャー ~ダークエルフと共に歩んだ40年~
1983年 TVアニメのハンクについて追記

2024/10/01 1986年の怪物誌
わかったことにTruth In Fantasyシリーズの影響について追記

2024/09/26 クラス考察 その9
交渉特化キャラのテレパシーについて追記

2024/09/22 クラス考察 その8
3.5パラディンの必殺コンボについて注釈追記

2024/09/16 二刀流レンジャー ~ダークエルフと共に歩んだ40年~
1987年ドラスレファミリーのロイアスについて追記

2024/08/05 呪文 その1
ウィザードリィ#1カティノ呪文について追記

2024/06/12 スクウェア製RPGにおけるAD&D(とクラシックD&D)要素
河津氏のツイートからシムラクラムとドルアーガについて追記

2024/03/25 3版用語の基礎知識:最果てのパラディン編
氷川へきる『まほぽに』について追記

2024/02/05 ファンタジーRPG必読作家リスト
ロバート・E・ハワード及びJ.R.R.トールキンの箇所に追記

2024/01/26 D&D(←この時点で要注意)というお話
ウィザードリィ談義あるあるについて追記

2024/01/22 トールキンにまつわるガイギャックス語録
ホブゴブリンに関する注釈を追記

2023/12/09 呪文 その29
呪文〈デハイドレーション/脱水〉ついて追記

続きを読む

D&Dゲーマーは死すら楽しむべし、という風潮

ダンジョンズ&ドラゴンズ』というゲームに勝敗はない。すくなくとも、通常の意味での勝敗はない。DM とプレイヤーは一緒になって、恐るべき脅威に立ち向う勇敢な冒険者たちの物語を作りあげてゆく。時には冒険者が無惨な最期をとげることもある。 どうもうなモンスターに八つ裂きにされて。あるいは、狡猾な悪党の手にかかって。しかしそれで終りではない。生き残った冒険者たちは、斃れた仲間を蘇らせる強力な魔法を求めて旅に出ることもできる。また、死んだ冒険者のプレイヤーが、新たなキャラクターを作成して冒険を続けることもできる。冒険の一行が個々のアドベンチャーを成功裡に終えられないということはあるだろう。けれどそれでも、誰もが楽しい時間を過ごし、記憶に残る物語を生み出せたなら、彼らはみな勝利したのだ。

(D&D5版プレイヤー用ベーシック・ルール日本語版Ver.0.3「はじめに」より抜粋 .2014)

 

From time to time, your character might come to a grisly end, torn apart by ferocious monsters or done in by a nefarious villain. But even when your character is defeated, you don’t “lose.” Your companions can employ powerful magic to revive your character, or you might choose to create a new character to carry on from where the previous character fell. You might fail to complete the adventure, but if you had a good time and you created a story that everyone remembers for a long time, the whole group wins.

”時折、あなたのキャラクターは凶暴なモンスターに引き裂かれたり、極悪非道な悪役に倒されたりして悲惨な最期を遂げるかもしれません。しかしキャラクターが敗北しても「負け」ではない。仲間が強力な魔法を使ってキャラクターを復活させることもできるし、前のキャラクターが倒れたところから新しいキャラクターを作って引き継ぐこともできる。冒険を完遂できなかったかもしれないが、楽しい時間を過ごしみんなの記憶に長く残る物語を作り上げたなら、グループ全体の勝利となる。”

(D&D4版Player’s Handbook序章「A ROLEPLAYING GAME」より抜粋抄訳.2008)

 

• Winning and losing . 
Each D&D game you play is really another story told collectively by the Dungeon Master and the players. If the player characters survive and complete the quest-of-the-day—or even if they die in a spectacular and memorable w a y then everyone has a good time and everyone wins.

●勝ちと負け
あなたがプレイするD&Dゲームは、ダンジョンマスターとプレイヤーによって語られるもう一つの物語です。プレイヤーのキャラクターが生き残り、その日のクエストを完了すれば—あるいはたとえ壮大で記憶に残るような死に方をしたとしても、全員が楽しい時間を過ごせば、全員が勝者なのです。

(D&D3.5版ボックスセット.D&Dビギナーズ・セット/D&D Basic Gameより抜粋.2004)

 

Why do we play games? To have fun. Each player “wins” by having fun so if you had a good time, you win! You can have fun even if your character gets killed and if that happens, don’t worry. You can always make up another one! Winning a role playing game is like “winning” in real life; it’s just succeeding in doing what you wanted to do, and living through it. The fun comes from doing it, not ending it! This is why we say that in this game, everybody wins and nobody loses.

”私たちはなぜゲームをするのか? 楽しむためだ。各プレイヤーは楽しむことで 「勝ち 」になる!たとえあなたのキャラクターが殺されても、楽しめば勝ちなのだ!心配はいらない、いつでも次のキャラクターを作ることができます!ロールプレイングゲームで勝利することは、現実の人生で「勝利」することと同じです。楽しいのはそれをすることであって、終わらせることではない! だからこそこのゲームでは誰もが勝利し、誰も負けないのです。”

(クラシックD&D4版赤箱.Franklin Mentzer, Dungeons & Dragons Basic Set, 1983)

 

The D&D game has neither losers nor winners, it has only gamers who relish exercising their imagination. The players and the DM share in creating adventures in fantastic lands where heroes abound and magic really works. In a sense, the D&D game has no rules, only rule suggestions. No rule is inviolate, particularly if a new or altered rule will encourage creativity and imagination. The important thing is to enjoy the adventure.

”D&Dゲームには敗者も勝者もなく、あるのは想像力を発揮して楽しむゲーマーだけである。プレイヤーとDMは英雄があふれ、魔法が本当に使える幻想的な土地での冒険を共に創り上げる。ある意味でD&Dゲームにはルールがない。特に新しいルールや変更されたルールが創造性や想像力を刺激するのであれば、ルールに絶対的なものはない。大切なのは冒険を楽しむことだ。”

(クラシックD&D3版.Tom Moldvay. Dungeons & Dragons Basic Set .1981)

*手持ちの資料でこれより古い同様の記述は見つかりませんでした、知っている人がいたら教えてね

 

さて、ロールプレイング・ゲーマーの心構え、金言として長年にわたり言い伝えられる上記文章群だが……

「低レベルで矢鱈と死にやすいデッドリーなゲームバランスをいい加減どうにかしろ」「初心者が最初に触れるであろう冒険にコーデルのクソ遭遇をやらせるんじゃない」などとネガティブな感情が沸々と湧き上がってしまうが、それはさておき、近年の文章は「ともかくゲームを楽しもう!」といった主張が強い。また確認できた最古の記述であるモルドヴェイ版クラシックD&Dでは「死んでも楽しめれば勝利」の部分が無く、これは赤箱でフランク・メンツァーが付け加えた部分だと確認できた。

そしてこれからが本題だが、なぜ「敗者も勝者もルールも無い」がルールブックの序文に書かねばならぬほど重要だったのか?

 

最初期D&D研究家であるジョン・ピーターソン氏の著作によると*1オリジナルD&Dに対する旧来のウォーゲーマーからの批判の中には「ルールがわかりにくく、どうやってプレイすればいいのかわからない、勝利条件が書いてない」というものがあったそうだ。

これは私見だが、「D&Dには敗者も勝者も無い」といった論説は、元をたどれば上記批判に対する反論として生まれた物なのでは?

 

なんにせよウォーゲーマーたちの批判は至極真っ当としか言いようがない。

オリジナルD&Dは、極めて複雑わかりにくい各ルールが色々な場所に書かれているうえにモンスターだの火星人だのロボットだの、城と要塞の建設、操船と海戦、ダイオウイカの襲撃、迷子、チェインメイルを参照、アバロンヒル社の野外地図を使えだの、ゲームに使うかどうかわからんような些事には色々拘っているのに、肝心のどういったゲームプレイになるのか、どうやって遊べばいいのかは全然わからん!

これに比べると後年のクラシックD&Dシリーズがいかに良く出来ていたことか。赤箱の製品としての完成度の高さ、初心者にロールプレイングとは何か、キャラクター・メイキングをどうするかの説明から自然に最初の冒険へいざなう、その巧妙な導入部に改めて感銘を受ける。

 

ガイギャックスは、最初期D&Dをプレイした人たちが熱狂的信者となり各自地元のゲーマーへとロールプレイングの遊びかたを布教していく様を福音伝道師に例えたが、これがなければ本当にどうなっていたことやら。

もしD&Dが最初の段階で普及に失敗していたなら、その後ロールプレイング・ゲームが一大ジャンルとして確立することもなく、単なるマイナーなウォーゲームの派生として終わっていた可能性もあったのだろうか?

 

まあ今現在こうやって、自分が『オーバーロード』や『学園アイドルマスター*2を楽しめているのも、D&Dのデザイナー及びプレイヤーが全く新しいゲームであるロールプレイングの普及に尽力してくれたおかげ、その先に生まれたものと言えなくもない…のか?*3

*1:『Game Wizards』または『Playing at the World』どっちに書いてあったか忘れた

*2:しばしばローグライク・ゲームと言われているが、さすがにどうかと思うぞ

*3:オチの着地点が変な所にきてしまったが、偽姉シナリオのメインライターが志瑞祐であることを思えば、D&Dと無関係とはいえない

ゴールドドラゴンにゃ髭がある

と言われてティンときた人には以降の情報は必要の無いものかもしれない。しかし新和D&D(クラシックD&D4版/メンツァー版/BECMI)のみを経験した人にとってはゴールド・ドラゴンといえばマスタールールセット(黒箱)のカバーアートがまず思い浮かぶだろうし、AD&D系のゴールド・ドラゴンのイラストには触れていない可能性もあるかと思うのでここに補足しておく。

とりあえず以下一連のイラストを見て欲しい。

AD&D1e『Monster Manual』(1977):Gold Dragon (Draco Orientalus Sino Dux)

 

AD&D2e『Monstrous Compendium』(1989):Gold Dragon

 

AD&D2e『Monstrous Manual』(1993):Gold Dragon

 

D&D3e『Monster Manual』(2000):Gold Dragon

 

一目瞭然だが、AD&D1stゴールド・ドラゴンは東洋の竜をベースとしてデザインされており(というかラテン語でオリエンタル中華の竜ってインチキ学名が書いてある)、以降のAD&Dシリーズのゴールド・ドラゴンでも細長い体とナマズヒゲの特徴を引き継いでいる。

んで、これは何故かというとAD&D1st『Monster Manual』執筆時、各種ドラゴンの追加を行うにあたりガイギャックスは五色の色彩竜(グリーン、ブラック、ブルー、ホワイト、レッド)の対になる強力な存在として、二種類のブレスを持つ善属性の竜、メタリック・ドラゴン(ブラス、ブロンズ、カッパー、シルバー、ゴールド)を設定し、これら善の金属竜は東洋竜に典型的な蛇型の竜と考えた。ところがイラストレーターの気まぐれにより、結局ゴールド・ドラゴンのみが完全な東洋風デザインとして描かれることになったという。*1

(ファンタジーマニアであるガイギャックスは西洋竜は反キリスト、悪の象徴であるのに対し東洋竜は神の使い、信仰の対象であるというオタ蘊蓄も当然知っていたわけだ)

 

そして次に注目していただきたいのが、 神作画として名高いOVAロードス島戦記(1990)のオープニングである。

金竜マイセンにも髭がある

コンプティークに連載されたロードス島戦記初期リプレイはクラシックD&D4版ルールで行われたことは有名だが、実は当時グループSNEの主要メンバーはAD&Dしかプレイしていなかった為、連載にあたりクラシックD&Dのマスタリングが出来る水野良にDMの白羽の矢が立てられたという。*2

更に付け加えると五色の魔竜の強さ順列や、その内メタリック・ドラゴンがゴールドだけというのはクラシックD&D赤箱に準じたのであろうが、古竜/エンシェント・ドラゴンという年齢区分/Age CategoryはAD&Dの方のみにある要素。

ロードス島戦記OVA記録集②』によると、ヒゲありマイセンのデザインはOVA用に出渕裕氏がラフを書いたようだが、ロードスアニメ化に際しグループSNEからブッちゃんにヒゲを生やすよう指示があったのかもしれない。

マイセンのヒゲは、日本RPG黎明期から輸入海外ゲームをプレイしてきたゲーマーたちのモンスター観を反映した、AD&Dの残滓なのかも?

(だったら「田舎者ホブゴブリン」や「褐色巨乳ダークエルフ」はどっから出てきたんだっつう話であるが)

*1:The Slayer's Guide to Dragons序文(2002)及び、EN WorldフォーラムQ&A with Gary Gygaxスレ2007/7/30#7935の書込み

*2:4Gamer.net 水野良インタビュー

RPGモンスター:トロルの諸要素について

オーバーロードにおけるモンスター:トロールは書籍8巻の描写を見るに下記のような特徴を持つ

1:容姿:長い鼻と長い耳を持つ醜い巨人、筋骨たくましい肉体、身長二メートル後半、オーガを超える筋力を持つ、虎にも似た生き物の皮で作った服
2:強い再生能力を持ち肉片からでも蘇る(炎や酸で焼けばこれを防げる)
3:適応能力が高く場所に応じた多様性を見せ、亜種が多い(ウォー・トロール、ヴォルケイノ・トロールケイブトロール、シー・トロール、トール・トロール、マウンテン・トロール
4:鼻が利く(ンフィーレア談)

このブログでは度々「RPGのトロルはポール・アンダースン由来」と雑に書いてきたが、当然すべてのRPGがそういった訳ではない(原典まで追えてるか怪しい)だろうし、D&Dシリーズ及びオバロのトロールも完全に『魔界の紋章』そのままとは言えない。

そこで、より正確を期すためにもオリジンから順にD&Dシリーズのトロル描写を追っていこうかと思う。

 

①原典 Poul Anderson,『Three Hearts and Three Lions』(1961)

The troll shambled closer. He was perhaps eight feet tall, perhaps more. His forward stoop, with arms dangling past thick claw-footed legs to the ground, made it hard to tell. The hairless green skin moved upon his body. His head was a gash of a mouth, a yard-long nose, and two eyes which were black pools, without pupil or white, eyes which drank the feeble torchlight and never gave back a gleam.

"大男は、よたよたと近よってきた。みたところ、八フィート、あるいは、それ以上はあるにちがいない。両手をうしろにぶらつかせ、ふとい爪のある足でかがみこんで歩くさまは、見るだに恐ろしいものだった。毛のない緑色の肌が体のうえで波うち、頭部には耳まで裂けた口と一ヤードも突出した鼻がついていて、落ちくぼんだ眼は、黒い眼窩がプールのように穴をあけ、瞳孔も白眼もみえず、松明の光を吸い込んでしまうだけで、ひとかけらも反射しなかった。"

ハヤカワSF文庫ポール・アンダースン著、豊田有恒 訳『魔界の紋章』(1978)22章より抜粋

*この後、主人公ホルガーたちはトロル/大男と戦うが、剣による斬撃や馬キックでは致命傷を与えることは出来ず、切り落とした手首がまるで「巨大な緑のクモのように」這い回り、最終的には体に再癒着してしまう。しかし松明による火傷痕が回復していないことに気付いたホルガーは、新たな攻略法を見出す。

 

②ミニチュアウォーゲーム『Chainmail』(1971)における描写

 一般にトロルと呼ばれるものは正確にはオーガであり、人間とジャイアントの中間的なクリーチャーである。彼らは隊列を組んで戦い、重装歩兵6人分の近接戦闘能力を持つ。トロル(とオーガ)は暗闇でも目が見えるが、明るいところでもペナルティを受けない。真のトロールはもっと恐ろしい怪物である(Poul Andersenの "THREE HEARTS AND THREE LIONS "を参照)。オーガは通常戦闘ルールでミサイルや近接攻撃を6回受けると死亡する。エルフは3回命中させれば殺すことができ、ヒーロータイプや魔法の武器は1回命中させれば殺すことができる。トゥルートロルはヒーロータイプ、バルログ、エレメンタル、ジャイアントでしか殺すことができない。

*D&Dの原型となったチェインメイル・ファンタジーサプリメントは、登場ユニット的にJ.R.R.トールキン著『ホビットの冒険』における「五軍の戦い」の再現を目的としたゲームに見えなくもないが、再生能力こそルール化されてないものの、この時点で「魔界の紋章を参照」と書かれているし、日光が弱点では無い点からもトールキンのトロルが原型でないのは明らかである。

 

③オリジナルD&Dにおける描写

痩せていてゴムのような忌まわしきトロルは再生能力があり、攻撃を受け3ラウンド目から自己修復を開始する。再生速度は1ターンにつき3ヒット・ポイント。トロルは倒されてもいずれは再生するため、火傷を負ったり酸に浸されたりしない限りヒット・ポイントが6以上に再生した時点で戦闘を再開する。筋力はオーガとほぼ同じだが、武器は爪と牙だけなので命中したときのダメージはダイス1個分しかない。

D&D Vol2. 『Monsters & Treasure』(1974)より抄訳

*ここで再生能力がルール化される。またモンスターの詳細が知りたければ『Chainmail』を見ろ、とも書かれている

 

④アドバンストD&Dにおける描写

トロルは恐ろしい肉食生物で、ほとんどすべての気候に生息している。トロルは恐れを知らず、絶え間なく攻撃するため、ほとんどのクリーチャーから恐れられている。彼らの嗅覚は非常に鋭い、 赤外線視力は優れている、 力も非常に強い。

トロルは爪のある前肢と歯で攻撃する。トロルは一度に3体の敵と戦うことができる。ダメージを受けてから3近接ラウンド経過するとトロルは再生を開始する。再生は1ラウンドにつき3ヒット・ポイントでダメージを修復する。この再生には切断された部位の再結合も含まれる。トロルの忌まわしい部位は肉体から切断されても戦い続ける能力を持っている;手は爪を立てたり絞め殺したり、頭は噛みついたりすることができる、など。完全に切断してもトロルを殺すことはできない。トロルのパーツは互いに寄り添い、再び結合し、トロルは完全に復活して戦闘を続けることができるからである。トロルを殺すには、モンスターを焼くか酸に浸す必要がある。

説明:トロルの皮は吐き気を催すようなモスグリーン、緑と灰色の斑点、または腐ったような灰色をしている。トロルの頭部に生えている蠢く毛のようなものは緑がかった黒か鉄灰色である。トロルの目は鈍い黒色である。

AD&D1st『Monster Manual』(1977)より抄訳

*ほぼ魔界の紋章のトロルを踏襲した描写だが、痩せた体、鋭い嗅覚、酸弱点などが追加。デイブ・サザーランドによるイラストと併せて、ここにRPGモンスターのトロル像が確立される。また同ページに海トロル(スクラグ)も掲載。

 

⑤クラシックD&D系における描写

D&D Basic Rule(Holmes版1977)、D&D Expert Set(Moldvay版1981)、D&D Expert Set(Mentzer版1983、和訳された青箱)にトロルが掲載。

痩せた知能のある人型生物でゴムのような皮膚を持つ。トロルは他のどんな食物より人間や人型生物を食べるのを好む。ほとんどどんな場所にでも住むことができ、しばしば犠牲者の廃墟となった住居に住み着く、といった記述。

*基本はオリジナルD&Dの文章をベースにブラッシュアップ追記させていったような記述だが、攻撃はAD&Dに先駆け爪爪噛み付きの3回攻撃に強化された。また1981年のモルドヴェイ版エキスパート・ルール以降、原典同様に「トロルの身長は8フィート」と記述される

 

⑥D&D3版系における描写

この大きな二足歩行するクリーチャーは人間の1.5倍ほどの身長をしているがひどく痩せている。腕と脚は長く不格好である。大きな足には3本の指があり、腕の先には力強く幅広い手があって、尖った爪がついている。表面はゴムのようで、その髪は、太いロープのようであり、自らの力でのたくっているように見える。

トロルは極地の荒野から熱帯のジャングルまですべての気候において見つけられる恐るべき肉食の生き物である。ほとんどのクリーチャーはこの怪物を避ける。というのも、トロルは恐れを知らず、腹をすかせると暴れて手がつけられないからである。トロルの胃袋は底なしで、地虫から熊から人型生物まで何でも喰らう。彼らはしばしば村落の近くに住みかを構え、住人を狩って、最後の1人までむさぼり食ってしまう。
トロルは直立こそしているものの、肩をたわめて猫背で歩く。足どりは不規則で、走るときには腕をぶらぶらさせて地面を引きずる。こう言うといかにも不器用そうだが、その実トロルは非常に敏捷である。

典型的な大人のトロルは身長9フィート、体重500ポンド程度である。メスはオスに比べてやや大きい。ゴムのような表皮はモスグリーンで、緑や灰色や、腐ったような灰色の斑点がある。髪の色は通常緑がかった黒か鉄灰色である。

D&D3.5版『Monster Manual』(2003、和訳2005)より抜粋、赤字は3.0版(2000)から3.5アップデート時に追記された部分

*AD&Dにおける記述に原典成分を追加したような文章である。(猫背で歩くなどは明らかに魔界の紋章を意識した描写)またフレーバーテキストに記述は無いが、特殊能力《鋭敏嗅覚/Scent》を持ち、匂いによって敵の感知及び追跡が可能となっている。水棲トロル(スクラグ)についても記述有り

*3.5サプリメント『Monster Manual3』(2004)にてウォー、クリスタライン、ケイヴ、フォレスト、マウンテンの各種トロルが追加。

 

わかったこと

オーバーロードにおけるトロル描写は概ねD&D3.5版ベース(ゲーマーならば"身長二メートル後半"の記述が自然と脳内で9フィートに変換される為、見誤ることはない)だが、「筋骨たくましい」「長い耳」「皮の服」といった点はD&Dトロルには無い描写である。

なおMM3ウォー・トロル説明文冒頭に「この筋骨たくましいクリーチャーは通常のトロルと違い―」という記述があるので、ここからオバロトロールの描写が引っ張られた可能性が高い。


オバロ書籍ではトロールの肌色についての描写が無かった為か、アニメ版トロールには緑色、水色、黄土色と多彩な色合いの個体が見られる。

また注目すべき点として、D&D第4版の『モンスターマニュアル』(日本語版2009年3月31日刊行)では、トロルの解説から「痩せている」という記述が無くなっており、さらにイラストにおいても従来のD&Dにおけるトロルとはやや異なり、手足が太く顔も大きく描かれており、全体的にボリューム感のある印象を受ける。このデザインはオバロアニメ第3期に登場するトロールのデザインに非常に近いように見え、ひょっとしたらアニメ制作スタッフはD&D第4版の『モンスターマニュアル』を参考にしたのかも?


クラシックD&DからD&D3版系移行時、身長が8フィートから9フィートに伸びでいるが、これはAD&Dルールで身長7フィート越えが大型サイズとされていたのに対し、3版系ルールでは8フィートがちょうど中型サイズと大型サイズの境界線であった為、胸を張って大型といえるよう1フィート盛ったのだと思われる。(3版ルールでトロルは種別:巨人/ジャイアントである為、さすがに中型サイズはいただけない)

 

ファイナルファンタジー1のトロルは緑肌、ヒットポイント再生あり、炎が弱点。そして攻撃回数が3回な点はAD&Dでの爪、爪、噛みつき攻撃(DAMAGE/ATTACK: 5-8/5-8/2-12)の再現か。このようにAD&D第1版に出来るだけ忠実であろうとする姿勢が、データの細部から読み取れる。

 

ドラゴンクエスト3ボストロールは緑の肌色にヒットポイント自動回復持ちと、D&Dトロルの基本にある程度準じてはいるが、太っていて棍棒を持つ点などはオーガ、あるいはヒルジャイアントのイメージが混入している可能性がある。

 

皮膚の質感に関する描写について「ゴムのような」と表現されている作品は主にD&D系の影響を受けていると考えられる。一方で「岩のように硬い」とされている場合は、トールキン作品や『トンネルズ&トロールズ』、あるいは『ソード・ワールド』の設定を参照した可能性が高い。

 

トールキントロルの「日光に当たると石化」という特徴をゲームで処理するのが煩雑であった為、D&Dでは「炎に弱い」に改変した――とっいった風説も見られるが…とりあえずファンタジーと見るや「元祖」の部分にトールキンを当てはめようとする姿勢は改めるべきである。

 

驚くべき事にオリジナルD&DからD&D3.5版まで、(当然と言えば当然だがウィザードリィ#1でも)全てのデータでトロルは6ヒット・ダイスである。

*オバロでのミスリル級、ゴブスレでの紅玉等級に相当

つまり、チェインメイル戦闘ルールに由来する「トロルの強さはこれくらい」という基準は、RPGの誕生以来30年間にわたり、D&Dプレイヤーの間で通用する常識として受け継がれてきたことになる。

「カッツェ平野の幽霊船」描写から見るルール その2

祝『ヴォクス・マキナの伝説』第3シーズン!いやー2期で終わってなかったんか、続きが出て良かった。そして……祝異世界マンチキン』アニメ化決定!!キタ━━(゚∀゚)━━ !大丈夫?WotCに見つかって怒られない?(藁)

これで「D&Dは映像化に恵まれなかった」という認識も最早過去の物、ガイギャックスも草葉の陰で喜んでいるだろうよ。

ところでグロッグがタイタンストーン・ナックルの能力で大型化してるような描写があったんだが、グロッグの種族はゴライアス:人怪/Monstrous Humanoidだからエンラージ・パースンは効かなくない?などと思い調べてみると、5版ではエンパの対象が人型生物のみの制限はなくなり、呪文名もエンラージ/リデュースになってたんだ、知らなかった~!と、些細なことが気になるお年頃なのでした。

以下本題

 

"空を飛ぶ相手との撤退戦など御免だ。というか基本的に空を飛ぶ敵というのは難敵だ。特に空中でホバリングできたり、自由自在に上下移動ができるようなものになると、討伐難易度が一つは跳ね上がる" 上巻68p

討伐難易度はともかく、飛行による3次元移動は旋回半径、旋回角度、上昇量、最小移動速度などが絡み合い処理は非常にややこしくなりる(とDMGに書いてある)。

これらの諸要素は飛行クリーチャーの持つ飛行移動速度と機動性により詳細が算出される。

飛行機動性には「完璧」「良好」「標準」「貧弱」「劣悪」の5段階があり、良好以上の機動性であればその場での上昇、下降、後退、旋回及びホバリングが可能。それ以下の機動性であれば特技《ホバリング/Hover》を取得することでもホバリングが可能となる。

なお巨大サイズを超えるようなドラゴンは飛行移動速度は大きいものの(200ft. 疾走時146km/h)機動性は劣悪であり、飛行しながらブレスの範囲にPCを収めようと大きく旋回し戦場を見下ろすその姿はさながらAC-130ガンシップのようであった。またこの劣悪な機動性を補うためドラゴンが自身にフライ呪文(機動性:良好)をかける、というのもよく使われた小技だ。

プレイヤーキャラクター向け飛行呪文や飛行アイテムの中には標準以下の機動性しか持たない物もあるが、DMとしては「とりあえず空飛びたいならフライ使っとけ、それ以下はめんどくさいから」といったところが本音である。

 

"スケリトル・ドラゴンは空に飛び立つたというよりも浮かび上がつただけだった。そのまま一気に落下してくる。巨体が狙っているのは自分。ヒットアンドアゥエィも嫌だが、押し潰されるのは不味い" 上巻82p

超大型サイズを超えるドラゴンの持つ能力《押し潰し/Crush》は、竜が飛行または跳躍から敵の上に着陸して押しつぶす攻撃で、身体の下に収まるすべてのクリーチャーが対象の範囲攻撃となる。対象は反応セーヴに失敗すると"押さえ込まれた状態"になり、抜け出せなければ継続的に殴打ダメージを受ける。

まあ英雄レベルを超えるような冒険者ならば前衛には事前にフリーダム・オヴ・ムーヴメント呪文を配っておこう(クレリック9Lvなら1時間半持続する)。あとは「押し潰し」や「蹂躙」「急降下突撃」に対しカウンター攻撃できる特技《頭上への突き上げ》もあるが、そのようなややレアな状況に対する使用頻度を考えると、特技が豊富なファイターでも取得は考え物であるし、なにより前提特技2個は重い。

 

"壁系の魔法は大体の場合、使用者の意思で解除できる" 上巻83p
"同時に〈石壁/ウォール・オブ・ストーン〉が幻のように消える" 上巻85p
D&D3版系ではウォール・オヴ・ファイアー、ウォール・オヴ・フォースなどの持続時間が決められている呪文は術者の意思により消去する事が可能だが、ウォール・オヴ・ストーン、ウォール・オヴ・アイアンなどの持続時間が「瞬間」となっている壁系呪文はいったん創造したらずっと石壁そのままであり、術者による消去やディスペルでの解呪は出来ない。ここはD&Dルールとオバロの明確な相違点であり、二次創作者は注意しよう。
 

"モモンは大剣二刀流と聞くが、今は片手にしか剣を持っていない。~中略~(今回の戦いにおいては手数よりは一撃の重さを重視しているということなのだろうか?)" 上巻93p

実例をあげてみよう、筋力18(ボーナス+4)の人間戦士がグレートソード両手持ちの場合、ダメージは2d6+6、期待値13
ロングソードとショートソードでの二刀流の場合、利き手は1d8+4、逆手が1d6+2、期待値合計14

これだけ見れば殆ど変わらないか二刀流の方がチョットだけいいように思えるかもしれないが、二刀での攻撃は特技《二刀流》を取得した状態でも各攻撃命中に-2ペナルティ、特技がなければ利き手-4逆手-8とほぼ当たらない。

更にD&D3.5eで両手持ち武器を有利たらしめている要因としては特技《強打》とダメージ減少の存在が大きい。
特技《強打》は「命中ボーナスを減らした分、ダメージアップ」という効果なのだが、そのダメージ変換率は武器の種別により変化する。
両手武器:減らした命中×2のダメージ、片手武器:減らした命中×1のダメージ、軽い武器:強打不可

つまり「戦士に筋力や命中を上昇させるようなバフ呪文をがっつり積んで両手武器で強打」が3.5版当時一番手っ取り早くダメージを出す手法であったし、敵モンスターのダメージ減少(要するに物理耐性)で二刀それぞれのダメージが引かれるよりは強打の一撃で強引にブチ抜いた方が与ダメ効率は良くなる。

二刀流が両手持ちに与ダメで勝つとすれば、それはダメージを直接上昇させるようなクラス能力やバフ、つまりフレイミングやホーリーなどの武器魔法的強化、ローグの《急所攻撃》、バードの《勇気鼓舞の呪歌》、レンジャーの《得意な敵》ボーナスなどを複数乗せた場合となる。

例えばD&D3.5eをベースとしたMMORPG『Dungeons & Dragons Online』では、エンドコンテンツで矢鱈と高アーマクラスの敵が出現し、こういったモンスターに対しては魔法的強化を複数付けた武器による二刀流、手数で殴りまくった方が両手武器強打より与ダメ期待値が高くなるといった状況で最終的に二刀流レンジャーがアタッカーとして活躍していたそうな……紙版と大違いだ。

なおモモンのようなクソデカ剣二刀流をD&D3.5eで再現しようとすると大型サイズのバスタードソード×2、特技《特殊武器習熟:バスタードソード》《二刀流》《大刀二刀流》《大業物》と特技が大量に必要な上命中に-4ペナと、出来ないことはないが実用性はほぼ無い(でもカッコいいよね)。


"船員スケルトンの力は普通のスケルトンに比べて強いようだが、基本的にクロスボウという武器は 膂力に依存しない固定値ダメージなので、力の強さはあまり意味をなさない" 下巻77p

特定の筋力等級に応じて作られた適切な弓、すなわちコンポジット・ボウ(複合弓)ならば、ダメージに筋力ボーナスを加算することが出来るが、すべてのクロスボウは筋力ボーナスが乗らず、そのダメージは素のダイス分+魔法による強化だけとなる。

3.5eDMG記載のクロスボウはハンド・クロスボウ、ライト・クロスボウ、ヘヴィ・クロスボウの基本3種。続けて射撃するには手を使った装填が必要であり、複数回攻撃には特技《高速装填/Rapid Reload》または『武器・装備ガイド』記載の魔法強化《クイックローディング》(異次元空間の弾倉に100発装填)などが必要となる。

複合弓と比べ筋力乗らないし、連射には特技が必要。サーペンツアローなどの特殊矢による斬撃化とかも出来ない3版系クロスボウはまったく良いとこ無しに見えるかもしれないが、弓と違い伏せ状態でも射撃可能、両手に構えてのクロスボウ二刀流も可能など一応利点が無いでもない。

なお5版になるとクロスボウ関連特技が強化され、近頃ではクロスボウファイターがブイブイ言わしてるようだが、これは特技《射撃の名手/Sharpshooter》の危険度を見抜けなかったデザイナーの失態というほかない。インフレが過去の版より抑えられモンスターのACがそこまで高くないD&D5eで射撃強打とかヤヴァいのは火を見るより明らかじゃん。

 

"アインズは自らが持つアンデッドを支配する能力を船へと向ける。 あまりキャパシティに余裕はないのだが、問題なく支配下に置くことができた。やはりレベル自体はそこまで高くないのだろう" 下巻65p

悪属性のクレリック(または一部ネクロマンサー系クラス)の持つ能力、アンデッド威伏/Rebuke Undeadではクレリックレベル+魅力ボーナスを基本として影響を与えるアンデッドの最高レベル及び総数を算出し、判定結果が対象アンデッドLvの倍もあれば支配も可能。(全部説明するのは大変だからココ見て)またアンデッドを創造したり支配する呪文では術者レベルを係数とした算出となる。もしアンデッドが他のクリーチャーの制御下にあり、命令がなんらかの矛盾や葛藤を引き起こす場合、要するに支配権の奪い合いでは魅力ボーナスによる対抗判定を行う。

今回、幽霊船の支配権をアインズが簡単にネトリしたので、当然のことではあるが船長よりアインズは高い魅力を持っていると言えるだろう、なんというイケメン!

というかアインズが書籍のどこかで自分がアンデッド支配される可能性について考えていたシーンの出典元を調べようかとオバロwikiを見てみたら!閉鎖してるじゃねーか、どうすんだよファンコミュニティが無くなっちゃうよ、クソがぁぁあ!!

 

"私は言ったわよね? あの御方こそが世界の頂点だ、と 。それを圧倒的強者? 言葉が軽すぎるわ" 下巻65p
ナーベラルよ。アインズは圧倒的強者ではあっても絶対的強者では無いし世界の頂点でも無い、それはアインズ自身が最もよく理解しているところだぞ

日本を代表するRPGのクラス

とくれば、サムライ&ニンジャがその二大筆頭であることに疑念の余地はないだろう。ところがそれに続く3番目となると識者の間でも意見が分かれるところだと思われる。

とりあえずD&D系でサムライニンジャに続く日本的クラスといえばケンセイ/Kensaiが1985年の登場以降、シリーズ通して参戦率が比較的高くオバロ英訳版でのケンセイもわざわざセイバーセイジなどと訳さなくとも、そのままであちらのオタクには通じたのでは?というのが私見である。

また、ケンセイに次ぐ著名な日本的クラスとしてはシュゲンジャ(修験者)、ソーヘイ(僧兵)、或いは中華風五行使いのウーイァン(巫人)あたりのオリエンタル系術者クラスがそれに続くのだろうが、ここで忘れちゃいけないメンバーとしてクラス:ヤクザについて触れておきたい。

日本産RPGではまず見ることがないクラス:ヤクザは和訳こそされなかったものの、AD&D1st及びD&D3.0eそれぞれのオリエンタル・アドヴェンチャーに登場し、それに続くサプリメントでも深堀りされることが多く、またD&D4版以降もDragon誌やサードパーティーサプリメントに定期的に顔を出す程度には人気のあるクラスである。

東洋の神秘ヤクザ、その恐るべき能力とは!?……版によって詳細は違えどおおむね「秩序、悪属性よりの都市型ローグ(急所攻撃無し)」といった物で、地域の調査、人脈コネを使った情報収集、気パワーで身かわし、組員招集など、良く言えば頑張って調べてデザインしたんだろうが、とにかく地味。

剣聖が気パワーで大旋風!とかしてるんだし、もっと色々はっちゃけても良かったのでは?(ヤクザランクが上がるとマジック・イレズミが増えるとか、ユビツメで名誉点回復とか色物しか思いつかないが)

 

なお個人的にRPGファンタジー異世界にサムライ、ニンジャがいても全く違和感を感じないのだが、さすがにヤクザは脳が拒否反応を起こしてしまう。何とも身勝手な話であるが、全てウィザードリィが悪い(笑)

もしAD&D1stコアルールブックにヤクザが掲載され、これを模してウィザードリィファイナルファンタジーウルティマなどにも採用されていれば……日本産RPGにもヤクザが登場し、モンク程度には馴染みのあるクラスになっていた世界線があったのかも?いやないわ(反語)

 

*以下、D&Dシリーズで見る様々なヤクザたち

AD&D1st『Oriental Adventures』(1985)のヤクザイラスト、至って普通の時代劇ヤクザである

 

オリエンタル・アドベンチャーズ4番目のモジュール『Blood of the Yakuza』(1987

四方から襲い掛かるニンジャを迎え撃つヤクザ、まるで映画のポスターのようでカッコいい

 

D&D3e『Oriental Adventures』(2001)記載の上級クラス:ヤクザ

ライブハウスでバイトしてるモギリの姉ちゃんみたい(偏見)

 

D&D4版時代のDragon誌#404(2011)掲載ヤクザ。ぱっと見はベトコンだが、その肩から覗く刺青が何よりの証拠。奥に秘めたエロス&暴力をチラつかせる感じが良きかな

 

Pathfinder RPGサードパーティーサプリメント『Way of the YAKUZA』(2011)

GoogleでYakuzaを検索すれば半数近くが『龍が如く』で占めているこのご時世に、これがヤクザとは一体……その足元でたそがれている精気の無いポケモンは何なのか?