Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

ニンジャのワザマエ

以前の記事のクラス能力にちょっと書いたが、D&D3.5eでの基本クラス《忍者》は、オーバーロードの双子忍者「ティア&ティナ」のような派手な能力は持っていない。
しかし、明らかにD&D系を参考にしたと思われる忍術も2つばかしあるので、それについて書き留めておく。


〈闇渡り〉 書籍5巻22p
《影渡り/Shadow jump》
「ダンジョン・マスターズ・ガイド」記載の上級クラス「シャドゥダンサー」が持つ。
影から影への短距離瞬間移動という、日本のマンガとかにも良くある能力である(例:夢幻魔実也


〈影潜み〉 書籍5巻23p
《影隠れ/Hide in plain sight》
アサシン、シャドゥダンサーなど一部の隠密系クラスの持つ能力。
オバロ描写と細部は違うが、身を隠せるような場所がなく人に見られている場合でも近くに「影」があれば技能<隠れ身>を使用できるという強力な物。
あくまで拡張された<隠れ身>で不可視化では無い為透明視能力では見えず、またこんな能力を持つレベル帯の隠れ身を見抜くまで<視認>をあげるのは、技能系クラス以外にはほぼ不可能。

実際のゲーム的にいうと「シー・インヴィジビリティ持ってるから安心してたらいきなり目の前から消えて急所&致死攻撃くらって即死した」という事態になりかねない。


なお、これらの能力というかクラス《シャドゥダンサー》自体が、ロジャー・ゼラズニイの小説『影のジャック』の主人公がインスパイア元となっているようだ。

RPGの元ネタについて調べていくと、D&Dを経由して古いファンタジー小説にたどり着く、という良くあるパターンである。

 

追記:弐式炎雷のスキル〈足殺し〉 〈頭殺し〉 〈腕殺し〉について

オバロでの足殺しの効果(対象の移動速度を減少させる)及びニンジャである弐式炎雷が習得しているスキルという点から、D&D3.5eサプリメント『無頼大全』及び『戦士大全』に収録された一連の特技、《奇襲特技/Ambush Feat》と呼ばれるものが発想元となっているのでは無いかと考えられる。

これは急所攻撃命中時にその追加ダメージを幾分か減らす代わりにデバフを与えるなどの追加効果を持たせることが可能となる特技群である。
例えば、〈足殺し〉の直接の元ネタとおぼしき特技《膝くじき/Hamstring》では急所ダメージ2d6分を減らすことで、対象の移動速度を半分にすることができる(脚を持たなかったり、4本以上の脚を持つクリーチャーには無効)といった効果。

他にも《脳天砕き/Head Shot》では殴打武器による急所攻撃で1ラウンドの混乱状態、
《喉打ち/Throat Punch》では音声要素を持つ呪文の発動やマジックアイテム起動に50%の失敗確率、
《抵抗蝕み/Eldritch Erosion》対象の呪文抵抗を5低下させる
《動脈破り/Arterial Strike》対象を出血状態に、等々

これら奇襲特技はローグ/ニンジャの強化として戦術に幅が出そうな面白い効果も多いのであるが、当時のプレイ環境では「減らすダメージが大きすぎて普通に攻撃した方がマシ」「射撃ローグ/ニンジャはおもしろ特技取ってる余裕は無い」「《抵抗蝕み》より後発の《呪文抵抗下ろし/Undo Resistance》の方が強い」「アイデアとしては良いが実用度はいまいち」といった評価がほとんどで、これら奇襲特技を生かしたキャラメイクなどはついぞ見た記憶が無い。