Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

終末期の赤い地球、kindleで読めるってよ

最果てのパラディン』2期に『葬送のフリーレン』、『ダンジョン飯』とファンタジーアニメが立て続けに放映され、またゲーム界隈では『バルダーズ・ゲート3』日本語版発売に『ウィザードリィ:狂王の試練場』リメイクと話題沸騰、各SNSではファンタジー談義に花が咲いている今日この頃。
俺もいっちょかみして承認欲求満たしてー!とか思ったものの、ツイッターなどはやっていないのでここに書くことにした。

 

さて、『葬送のフリーレン』にハンバーグ(ゴリラも入るか?)が登場したことが色々と物議を醸していたようだ。
ファンタジー異世界にドイツ地名由来の物品が存在することへの違和感ツッコミご意見に対し「あの世界のひき肉焼き料理を適切な日本語に翻訳した結果、ハンバーグと意訳された」という教科書的回答*1がすぐに広まり、その後さまざまな指摘考察、というより大喜利ネタ化のいつもの流れで沈静化した話題だったわけだが…


例のパターン、忘れてません?
古典ファンタジーから脈々と続く、定番のアレですよ?

すなわち
クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク』連作

ジャック・ヴァンス『終末期の赤い地球』シリーズ

ジーン・ウルフ新しい太陽の書

の系譜に連なる…
あろひろし『雲界の旅人』とか、山田正紀『宝石泥棒』とかもそう!

つまり『葬送のフリーレン』の世界は「実は科学文明が衰退した遥か未来の地球」、所謂「ダイイング・アース」ものだったというパターンもアリなんじゃない?

 

失われたはずの先史時代の料理「ハンバーグ」が、長命種であるドワーフの文化に「お祝い事の時に振る舞う料理」として生き残っていたとか。

 

あの地図の南の方のジャングルでは、今でも謎の大型サイズ類人猿の目撃証言があり、それが遠路はるばるザインの村まで伝わってきたとか(ホビット庄に伝わるじゅう/ムマークの伝承のごとく)

*まあどのみちファンタジー世界にゴリラがいてもおかしくないさ!

 

なお「葬送のフリーレン ゴリラ」で検索しようかとすると
フリーレン ゴリラ どうなった
フリーレン ゴリラ 死亡
フリーレン ゴリラ 生きてる
フリーレン ゴリラ 正体

などサジェストがぞろぞろ出てきて、中々に味わい深い。

 

ところでダイイング・アースというサブジャンル名自体、上記ジャック・ヴァンス著『終末期の赤い地球』から採られているわけだが、この短編集及び『切れ者キューゲル』シリーズが初期D&D、すなわちRPGの源流に大きな影響を与えていることはこのブログでも度々書いてきた。(ココココ

そういった事情を抜きにしてもヴァンスお得意の異国情緒たっぷり、めくるめく異世界を味わえる本作は(キューゲルシリーズのようなユーモアは無いものの)控えめに言って傑作であり、ぜひ一読と言いたいところなのだが、近年『終末期の赤い地球』はえらくプレミアがついており、令和6年現在アマゾンや古本屋系サイトで2万円近くと気軽にお勧めしかねる代物となっている。

ところがぎっちょん(死語)いつのまにやらこれが電子書籍化され今kindleなら500円ぐらいで買えるようだ。いい時代になったもんだよなぁ、おい!(インターネットの無い時代に足を棒にして古本屋巡りをした思い出を懐かしみつつ血涙)

*1:年季の入ったファンタジーファンならば『グイン・サーガ』後書きだったかの「ウマって書いてるけどこれは馬じゃないよ」を思い出し懐かしい気持ちになったことだろう