Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

ペストーニャの種族、モチーフ?

"メイド長とかはメイド服を着た触手ですから、設定では。" SS投稿掲示板の感想返し

すでに大百科のコメ欄でも考察されているが、あさりよしとおの漫画「宇宙家族カールビンソン」に登場するキャラクター「ジョン」が発想元になっているのではないかと自分は考えている(あまり自信無し)。

ジョンは外見は犬系獣人だが、頭が4つに割れて中から触手やカニ足が飛び出すという、イカす一発芸?を持っており、たびたび作中でそれを披露している。
ペストーニャの顔中央の縫い目はそれを連想させるのに十分な姿であり、あまり想像したくは無いがそこからガバっと割れて………

まあジョンの性格は「特撮マニアの映画監督ダメおっさん」であり、そこらへんは慈愛あふれるペスとは大いに異なるとだけは付け加えとく。


*犬頭+触手だけでは元ネタと確定させるにはいまいち根拠が薄いし、さらに遡った元ネタの「遊星からの物体X」はどーなんだ?あれも犬から触手が飛び出してるぞ、という意見も当然だと思うが「宇宙家族カールビンソン」には他に、顔は少女だがそれは擬態されたアゴの部分であり、本当の顔は昆虫形というエントマの設定に良く似た「チカちゃん」がおり、そこらへんも加味すると元ネタの可能性は決して低くは無いんじゃないかなーと。

 

以上を踏まえた上で、ペスをD&D3.5eで無理やり再現するなら種族は「スードゥナチュラル種アンスロポーモフィック・ドッグ(種別:来訪者)」あたりとなる。


*スードゥナチュラル種(half-farspawnでも可)は非自然的なクリーチャーを示すテンプレートである。
なんだか意味が分からないが、実際のところは「宇宙から来た謎生物」とか「なんかクトゥルフ系っぽい奴」を演出するために無造作にモンスターに引っ付けられることが多い。
特殊能力「別形態」としておぞましい触手の塊や、その他の醜く恐ろしい姿(DMが決定)になることができる。とあるので触手ビヨーンも思いのまま、だいたいこのイラスト右側の犬?のような姿となる。

ちなみに、この姿を見てもSANチェックは無い、ビビッて攻撃に-1が付くだけであるw

 

*アンスロポーモフィック・アニマルズ/Anthropomorphic Animalsはモンスター種族を主に扱った未訳サプリメント「Savage Species」に記載された擬人化動物たち。
動物のデータを元に種別:人怪に変化させた種族だが、レベル調整値の割に能力値が高く、また動物譲りの特殊能力も一部持っておりPC種族としてバランスブレイカーなデータも多かった。
当時使用経験は無くともアンス・クジラのバーバリアンはヤバイ、という話を聞いたD&Dプレイヤーは多かったのでは。

 

*顔の傷跡を拡大解釈するなら、フレッシュゴーレム(フランケンシュタインの怪物)というのもアリかなと思ったが、D&Dのそれは大型サイズの人造で知性は無く特殊能力が凶暴化と、あまりペストーニャのイメージにそぐわない。

ウォー・トロル、ヤバいよ問題

今回も例によってD&D3.5e中心であまりオバロは関係ないです。


東の巨人「グ」や武王「ゴ・ギン」と、なにかとフィーチャーされてる感のあるウォートロールだが、D&D3.5eでは「モンスターマニュアルⅢ」に森トロル、洞窟トロル、山トロル、結晶トロルと共にトロル亜種として掲載されたモンスターである。
後発のサプリに掲載ということもあり、あまりメジャーとは言い難いはずの種族ではあるが、一部特性によりパワープレイヤーからは熱い視線を送られているこの戦トロルについて今回取り上げてみる。


まず、その能力だが
種族ヒットダイス12、162hp
10巻作者雑感で「フールーダとはいえ、第三位階の魔法四撃では武王を倒せません。」と書かれているが、大体計算が合う(古田の術者Lvは10~12程度、ファイアボールで期待値35ダメ、4.6発分のHP)

筋力31
アフリカ象より強い

再生能力9
普通のトロルより強化され、酸で通常ダメージを受けるが、火は弱点ではない。
*酸に完全耐性を持つハーフブラックドラゴン・ウォートロルとか作っちゃダメよ!

幻惑打撃/Dazing blow
ウォートロルの打撃を受け、セーヴ失敗すると幻惑状態となり1ラウンド何もできない。そして幻惑はマイナーな状態異常ゆえに耐性を付ける手段が非常に少ない

呪文抵抗20
フールーダで半々、ナーベでも20%程度の確率で呪文が通らない。

ACに+14外皮、ダメージ減少5/アダマンティン
硬すぎ、おまえは鎧着るな。


と、かなり通常のトロルより魔改造されてはいるが、手練のプレイヤーが操る冒険者12Lv4人(適正遭遇難易度)なら、まあなんとか抵抗出来るだろう。
プレイヤーキャラ種族として使うにしてもレベル調整値+6は重すぎて実用的ではない、問題は別の部分にある。


その1:変身最強候補
「ポリモーフ」ウィザード4Lv呪文を使えば、仲間1体をウォートロルに変身させ、その強力な肉体を与える事が出来る(術者Lv12以上から)
またドルイドの変身能力を拡張する上級クラス《マスター・オヴ・メニー・フォームズ》でも最短合計12Lv以上でウォートロルに変身できる。
リソース(変身回数、持続時間)的にも能力的にもドルイドベースからの変身の方が強力な前衛となれる。

*変身能力や変身呪文には様々な制限が付いて回るが、マスター・オヴ・メニー・フォームズでは7Lvより変身対象の変則的能力も得ることが出来るようになり、そしてウォートロルの特殊能力の全ては変則に分類されている。(呪文発動や精神系能力値は得ることが出来ない)

敵モンスター側が先に書いたような特殊能力に対する抵抗手段を揃えている事が、PCと比べて殆どないというのもウォートロル無双の原因となってる。


その2:傭兵として雇える
傭兵として雇う場合の値段がルールブックに書いてある、しかも安い(冒険者にとっては、だが)
ウォートロルのファイター4Lv(戦闘メイドより強い)でさえ2Lv呪文の巻物の値段で2日間雇える。
こんな不死身の超級戦士が守ってくれるんなら、低レベルの内からパーティ資産から金出して雇おうとするだろ?誰だってそーする。俺もそーする
裏切りの心配もいらない。属性が秩序にして悪、なのできっちり契約通り働いてくれだろうし。


このようにゲームバランス破壊の原因となることが多く危険視されるウォートロル、
DMとしては強権により「なかったこと」にしたい種族ではあるが、「ルール通りの運用こそ正しく、美しい」と考えるD20システムの信奉者からしてみれば、頭の痛い問題である。

粘体拳士 ヘロヘロ

粘体(ウーズ)でありながらモンクであるという、いったいどういう格闘術をくりだすのか想像のつかない面白さといい、ユグドラシルのキャラメイクの自由さを物語るキャラクターであるが、残念ながら粘体拳士はD&Dがすでに10年前に通過しているネタである。


WotC公式のWeb記事「ヴァリアント・ゼラチナス・キューブ」に紹介されているゼラチナス・キューブ・モンクがそうである。

ゼラチナス・キューブの姿は透明に近く、気付かないうちに近づき飲み込まれたというビックリドッキリモンスターとして、また「迷宮の掃除屋」としての珍しい性質や、クラシックD&Dでの「ゼラチン状立方体」という訳のわからない和訳名など話題に上ることの多い有名モンスター。

上の記事では本来知性の無いゼラチナス・キューブにクラスを積ませるため、フィーンディッシュテンプレートを付けたりルール的に問題ないよう組んであるが、
「ウーズがモンクの技を学べるような修道院は無いだろうから、宮本武蔵が行ったように独自に修業したのだろう」と、アホな一文でフレーバー的にも補完している。


くがね氏が上記の記事にインスパイアされたのか、それとも偶然ネタがかぶっただけなのかは分からない。
ただD&D3版系にはどんなネタキャラでも成立させられるだけの豊富な土壌(山のようなルールとデータ)が有ったというだけだ。


*ゼラチナス・キューブの酸は有機物のみ溶かす酸なのでヘロヘロのように装備破壊には使用できないが、同じ粘体のグレイ・ウーズかブラック・プディングの酸は金属も溶かし攻撃した相手の防具や攻撃された時に相手の武器に酸ダメージを与えることができる。(反応セーヴ失敗時)
「<エルダー・ブラック・ウーズ>凶悪なまでの酸能力を保有したスライム種ほぼ最強の存在」というヘロヘロの設定をD&D3.5eで再現するならMMに載っている粘体の内、一番脅威度が高いエルダー・ブラック・プディングでモンクを組むことになるだろう。
本来は叩きつけ1回のみの攻撃だが、モンクを1Lvでも混ぜると連打及びBABで4回以上の攻撃に増えたうえでそれぞれに追加の3d6酸ダメージ、ネタキャラのくせにかなりの性能Upと嫌がらせになる。


*D&D系小説「ホワイトプルームマウンテン」では馬車の荷台にみっしりと詰め込まれたゼラチナス・キューブを死体処理に使っていた。またサプリメント「プレイヤーズ・ハンドブック2」では知性を持ったゼラチナス・キューブが下水清掃者ギルド(実態はスパイ組織)を束ねていたりと、本来の生息地であるダンジョン以外でも「迷宮の掃除屋」としての能力を遺憾なく発揮しているようだ。

 

*さらに余談、ソリュシャンはその体内にアイテムを格納しておく事ができるが、これはゼラチナスキューブの「飲み込まれた犠牲者の、溶け残った装備品が体内に浮いている」というビジュアルがその発想元になったのかもしれない。

カジットのクラス構成

公開された11巻表紙イラストかっこいー!
見上げたドラゴンの腹の下に財宝という構図はクラシックD&Dの箱絵を彷彿とさせるし、腰の引けたドワーフは「指輪物語」(昔の評論社文庫)の表紙絵でのホビットのよう。
なにはともあれ本格ファンタジー感がひしひしと感じられる、素晴らしいこの表紙絵シリーズはいろんな意味で正解だったと思える。


んでまあ本題。
「うん、まぁ、彼の場合は刺青なんです。弟子もそうですよ。」
SS投稿掲示板-カジットの魔法を契約した媒体についての質問の返答

刺青、弟子と一緒に円陣組んで儀式、赤いローブ、おまけに悪いハゲ…これらが指し示す事実は一つ。

アインズ「つまり、カジットはレッド・ウィザードだったんだよ!!」
ぷれあです一同「な、なんだってー!?(AA略)」


上級クラス、レッド・ウィザードの諸設定についてはリンク先を見てもらうとして、その能力は専門化した系統の呪文の術者レベル(呪文の威力などのダイス数に大きくかかわる)が通常よりさらに上昇し、また「円陣の主催者」として参加者とともに円陣魔法を行い、呪文を大幅に強化修正出来る。

見るからに作中のカジットの行動を再現するのにピッタリな能力。
D&D3.5eで再現するならネクロマンサー5Lv(ウィザードの死霊術専門化)からレッド・ウィザード5Lv、計10Lvで円陣魔法に手が届く(微妙に強すぎな気もするけど気にしない)

レルム世界に根差した上級クラスであるレッド・ウィザードだが、術者レベル上昇という能力は単純に強力で、設定的にプレイヤーキャラクターとしては使用しにくいにもかかわらず使いたがる人も少なくなかった。

*以前に赤ローブ(中立)とか書いたが、あれはドラゴンランスキャンペーンセッティング(クリン)での設定であり、レッド・ウィザードはフォーゴトン・レルム世界での魔術師。
ほかにもD&Dには3版標準世界であるワールド・オブ・グレイホークや、FF6っぽい世界観のエベロン、クラシックD&Dやカプコン製横スクロールゲームの影響で微妙に日本でも普及しているミスタラなど多数の世界設定がある。

 

*出来あがったキャラデータはコチラ

アインズ様のオーラ

せっかく書籍10巻でアインズのオーラの種類が書かれたので、各種状態異常をD&D3.5e的に解説してみる。

 
〈絶望のオーラI(恐怖)〉
怯えることによって、ありとあらゆる動作に対してペナルティが与えられる

D&D3.5eでは 《怯え状態》は軽度の[恐怖]の状態。
攻撃ロール、セーヴィング・スロー、技能判定、能力値判定に-2ペナルティ
要するに、いろんなことが10%失敗しやすくなる。


〈絶望のオーラII(恐慌)〉
恐慌は恐怖の重度の状態でバッドステータスを与えてきた対象から全力で逃げる事を要求される_その対象には戦闘行為が一切取れない

D&D3.5eでは 怯えより1段階進むと《恐れ状態》となり[恐怖]の原因から全力で逃げる。
当然、飛行手段やテレポを持ってたら使ってすっ飛んでいく、味方が複数食らうと回復させる間もなくパーティ崩壊の恐れあり。
さらに1段階進むと《恐慌状態》となり、全力で逃げるのは変わらないが手に持っている物を全て落としてしまい超大変。
追い詰められれば《戦慄状態》、何も出来なくなる。


〈絶望のオーラIII(混乱)〉
混乱は回復手段を受けない限り、一定時間混乱し続ける

D&D3.5eでは 《混乱状態》は行動が以下のランダムになる
10%で呪文使い(混乱の原因)を攻撃
10%で通常通りに行動
30%で支離滅裂なことを呟くばかりで何もしない
20%で逃げ出す
30%で近場のクリーチャーを攻撃

*パスファインダーRPGでは確率がやや異なる


〈絶望のオーラIV(狂気)〉
狂気は非常に面倒な永続効果のバッドステータスで、魔法などによる第三者からの回復手段を受けない限り元に戻らない

D&D3.5eでは《インサニティ/狂気》7Lv呪文の効果?上記の混乱状態が永続する。
ほかにはオビリスの副種別を持つモンスター(ダゴンとかそっち系)の持つ能力とか?その狂気の姿を見たものはセーヴ失敗で《ナイトメア》呪文の効果や意思セーヴに永続ペナとか固体によっていろいろあるが、くがね氏的にはさらに元ネタの「クトゥルフの呼び声」での効果をイメージしているかもしれない。
あれほど各種狂気について紙面を割いたゲームも無いだろうし。


〈絶望のオーラⅤ(即死)〉
言うまでも無く死亡する

D&D3.5eでは[即死]効果は主に死霊術によって即座に死亡する。
対策としては《デス・ウォード》クレリック4Lv呪文など

 

ちなみにD&D3.5eでのリッチの《恐怖のオーラ》はセーヴ失敗で恐慌状態、セーヴ成功で1ラウンドのみ怯え状態。
効果範囲は半径60フィート内だが効くのは5ヒットダイスまでと、武王はおろかガゼフにも無効。ほぼ雑魚をビビらせるのにしか使えない。
(3.5eのウォートロルは素でヒットダイスが12もあるのでレベルドレインでもしない限り効くことは無い)

英雄を超えるような高レベルにもなると、呪文など各種対策により恐怖効果には完全耐性とか珍しくもないので、ゴーストとかに出会って恐怖で前衛が遁走とかの危機的状況も、今になって思えば低レベル帯限定の懐かしくも微笑ましい風景と感じてしまう自分がいる。

HP(ヒットポイント)とは何か

「ヒットポイント 意味」や「ヒットポイント 由来」とかでググっても例によって「ウィザードリィのすべて」の解釈などばかりで、意外と「D&Dの定義」すなわちRPGの基礎知識がすぐには出てこない。
まあオーバーロードとはあんまり関係ないかもしれないけど、知識の断絶を防ぐ為にも書き留めておく。

 
まず「プレイヤーズ・ハンドブック3.5版」6pのキャラクター作成手順のうちのヒット・ポイントの説明を見てみる。

「ヒット・ポイント(hp)は、そのキャラクターの息の根を止めるのがどれだけ難しいかを示す値である」

かなり身も蓋もない言い方だが簡潔かつ解りやすい、しかしえらく抽象的な定義である。


さらにページを進めて143pの説明:ヒット・ポイントが表しているものを見るとこう書かれている。

「ヒット・ポイントはゲームの世界における2つの事象を表している:物理的に痛めつけられながら、それでも元気に動き続ける能力と、普通なら致命的な一撃を受けるところを、何とか軽い傷で済ませる能力である。」

いわゆる体力的な解釈と、Wizでのベニー松山の解釈と同義のものが二つとも書いてある(この部分はパスファインダーRPGでも変わっていない)


さらに読み進めるとこうある

「とあるキャラクターにとって、ヒット・ポイントは信仰の恩寵や内なる力を表わしているのかもしれない。パラディンがファイアーボールから生き残ったのを見た人たちは、彼女に何かの大いなる力の加護があることを確信するだろう。」

ここまでくると解釈次第でなんでもアリという感じがしてくる、べつにSF的厨二解釈(ナノマシン残量云々)や「正しいから死なない@散」みたいなのでも許されるんじゃないかな。


なおヒット・ポイント/命中点(及びアーマクラス*1)という言葉自体は、最初期D&Dの製作者の一人であるデイヴ・アーンソンが南北戦争の装甲艦を扱った海戦ミニチュアゲームのルールから引っ張ってきたものらしい、どうりで体力とはかけ離れた語句になってるわけだ。


*基本ルールブックの記述の詳細は版にもよるのだが、基礎的な知識となると「常識だから」的な態度であまり詳しく書いてないこともあったりする。しかしこと3版コアルールではWotC社がD&Dの仕切り直しと再興を目論んだ為か、各種情報が基本的な部分まで詳細かつ解りやすく、また参照しやすいように巻末索引や用語集にもページを割き、その上フレーバーテキストも豊富ときており文句無しの出来栄えである。
しいて欠点を挙げるなら値段が高い上に、300ページオーバーに細かい字でビッシリが3冊で基本ルール、その上和訳された分だけでも追加サプリが30冊以上本棚を占拠圧迫していると言う「いろんな意味でヘビー級なルール」という部分か、、、

 

追記:D&Dの重要性を説くための記事みたいになってしまったが、実際のところ英語版ウィキペディアでhit pointを検索すると転送されるHealth (gaming)のページではD&D以上にマリオ、ゼルダイース、モンハン、ストリートファイターなどが説明の為の例に挙げられており、あらためて日本産ビデオゲームの世界的影響力の大きさが知れてくる。

 

さらに追記:D&D4版の初心者向けに作られた1Lvシナリオ「茨々峠に潜む闇」では「hp:一般的なゲーム機で遊ぶRPGなんかと同じ。」と説明されている、すげえ投げやりだ…

 

もひとつ追記:

キャラクターが自分のクラスのレベルを向上させると、それに応じて物理的なダメージを受け続ける実際の能力も向上すると考えるのは非常に不合理です。
なぜなら、もし人間が4ヒット・ポイントのダメージを与える剣の突きによって殺されると仮定するならば、同様に、ヒーローは*2殺される前に平均して5つの剣の突きに耐えることができると仮定しなければならないからである。
では、なぜヒット・ポイントが増えたのでしょうか?それは、ヒット・ポイントには、キャラクターがダメージに耐える実際の身体能力(耐久力ボーナスによって示される)と、それに見合った、戦闘や同様の生死に関わる状況でのスキル、不測の事態を警告する「第六感」、運、魔法の保護やあるいは神の保護の幻想的な規定といった分野での増加が反映されているからです。
したがってconstitution/耐久力は、実際に肉体的なダメージに耐えることができるヒット・ポイント(フィジカル)と、第六感や運が関係する計り知れない部分(フィットネス)の両方に影響します。
ラスプーチンの例を挙げると、彼は普通の男性4人を殺すのに十分な肉体的ダメージに耐えることができたと考えてよいでしょう、つまりヒット・ポイントは14以上です。

*AD&D1st Dungeon Master's Guide(1979)、HIT POINTSの説明より抄訳。こういう大事なことはプレイヤーズ・ハンドブックに書いとけよ*3とか、ラスプーチンのそれは例としてどうなん?とかツッコミたい所ではあるが、とりあえず後の版での説明よりかは親切丁寧ですね。

*1:アーネソンがブラックムーア・キャンペーンで使用していたルールからそのままの形でオリジナルD&Dに転用されたものは少なかったようで、D&Dのアーマクラスは明らかにガイギャックス作のミニチュアウォーゲーム『Chainmail』におけるマンツーマン戦闘ルールの近接戦闘判定表(APPENDIX B)が原型となっている。また同表にはClass of armorの言葉が見られる。

*2:ここでいうHero/ヒーローとはファイター4Lvのキャラクターを指す。なお、なぜファイター4Lvの称号がHeroなのかというと、D&Dの原型となったミニチュアウォーゲーム『Chainmail』のファンタジー追加ルールにおいて、ヒーローユニットの性能が歩兵ユニット4体分だったという故事に由来する。さらに余談を付け加えるなら、Chainmailにはヒーローの2倍、歩兵8体分の性能を持つ「スーパーヒーロー」ユニットが存在するが、つまるところこれはオバロでの1ガゼフに相当する。

*3:あとで調べたらちゃんとPHBにも「ヒット・ポイントの大部分は、戦闘技術、運(超自然的な力によって与えられる)、魔法の力を象徴している」と書かれていた…というか、昔のD&Dのルールブックって何処に何が書いてあるのか、わかりにくすぎる!

アイテム その6

〈踊る武器〉エドストレームの魔法〈ダンス/舞踊〉の効果
〈浮遊する剣群/フローティング・ソーズ〉ラキュース装備
〈踊る武器〉による四刀流 元オリハルコン冒険者フランセーン装備

D&Dのダンシングウェポンは基本ルール内での近接武器に付く能力としては最高位の物の一つである(+4ボーナス魔法の武器相当の値段)
また能力を起動させてから浮いているのは4ラウンドと短く、ラキュースのようにファンネルの如く多数浮かべるのはD&D3.5eでは出来ないだろう。

効果が近い呪文《ダンシング・ブレード》PHB2記載もあるが、ウィザード5Lvと英雄クラスの呪文である。

それでもあえて再現するなら「フェイルーンの魔法」記載のフライング能力か。
これは武器をアニメイテッド・オブジェクトにするもので、わかりやすくいえば1Lv程度の自立行動できる人造(ゴーレム)になる。
値段も+1相当と、まあなんとかなりそうか?

 

〈蘇生の短杖/ワンド・オブ・リザレクション〉
D&D3.5eのルール的には困り物のアイテム。
まずワンドに込められるのは4Lv呪文までであり、7Lv呪文のリザレクションは不可。
また呪文解放型アイテムは使用者の習得可能な呪文リストにリザレクションがある必要があり、ウィザード系のアインズには使用不可である。
D&D3.5eで再現するなら、DMG記載の魔法のアイテム製作ルールで作ったオリジナルアイテム、ワンドという名前だが分類的にはワンドでは無い合言葉型アイテムとなるだろう。
ざっと価格を計算してみると50チャージで583,150gp、とんでもない値段になった。(お城が買える値段である)
いちおう既存のリザレクション(とヒール)がチャージされた杖としては《スタッフ・オヴ・ライフ/生命のスタッフ》155,750gpがあるが、ウィザードには通常使用できない。

MMOのユグドラシルがD&D並みに蘇生ペナがキツイとかアレなんで、救済措置として安価な蘇生アイテムのワンド・オブ・リザレクションがあるのかもしれない。

 

追記:AD&D1st及びAD&D2ndではリザレクションがチャージされた杖として《ロッド・オヴ・リザレクション》があり、これは信仰術者で無くとも誰でも使用出来た。
その後D&D3版に移り変わりマジックアイテムのルールが改変整備され、それに伴い呪文チャージのみで特殊能力の無いロッド・オブ・リザレクションは無くなり、代わりに上記のスタッフ・オヴ・ライフが相当品となったが、スタッフになったことによりウィザードには使用不可となった。

しかしD&D系コンピュータRPGネヴァーウィンター・ナイツ2」では3.5版ベースにもかかわらずスタッフ・オヴ・ライフではなくロッド・オヴ・リザレクションが登場していた。

過去の活動報告から見るに、くがね氏はNWN2のプレイ経験があるようで、オバロの〈ワンド・オブ・リザレクション〉はこのロッドが発想元にあると思われる。

ワンドの名前に惑わされたがロッドがベースアイテムかぁ?脳が完全に3版系で染まっているゆえの見落としだった。

 

〈魔法を施された魔獣の皮のあったかマント〉ジル装備 9巻37p
〈温度変化に関する守りを得るマジックアイテム〉10巻286p

《エンデュア・エレメンツ》1Lv呪文の効果
この呪文で守られると-46~60℃までの状況下で、寒暖による害を受けず快適に過ごせる。
ダメージを受けるような火や冷気に対しては抵抗軽減はしてくれない、あくまで環境対応用呪文である。
装備品としては《クローク・オヴ・コンフォート/快適な外套》3,000gp「魔道師大全」など

*3.0版では5ポイントまでダメージ軽減してくれたが弱体化。


〈アダマンタイト製、致命的な一撃を避ける魔化が施された守護の鎧〉ガゼフ装備

《ヘヴィ・フォーティフィケイション/重急所防御》能力の鎧 +5ボーナス相当
この能力を持った鎧を装備していればクリティカルヒット及び急所攻撃を100%無効化するが通常分のダメージは受ける。
ローグ涙目の強力な能力だが、8Lv程度の戦士が持つには過ぎた代物な気もする…

それとアダマンティンの重装鎧はその堅さ(武器破壊に対するHP及び硬度)もさることながら装備者はダメージ減少3ポイントを得る。

 

 

〈アインズ及びナーベが魔力を隠すために装備していた指輪〉

《ノンディテクション》呪文 ウィザード、アサシン3Lv レンジャー4Lv の効果
この呪文のかかった物体やクリーチャーに占術の効果を成功させるには、術者レベル判定が必要になる。
(ディテクト系呪文やアーケイン・サイトなどの魔法のオーラを観る呪文はすべて占術に分類されている)

基本ルール内での装備品としては《アミュレット・オヴ・プルーフ・アゲンスト・ディテクション・アンド・ロケーション/感知及び位置特定妨害のお守り》35,000gp

てか、ノンディテクションの効果のある指輪がD&D3.5eに無いか和訳サプリ+Magic Item Compendiumを漁ってみたが意外なことに無かった。
…100種類以上の魔法の指輪があるのに無いってどーゆうことやねん。

 

追記:オーラを隠すということで対占術、ノンディテクションかマインドブランク呪文の装備だろうと目星を付けて探していたのだが、どうやらインスパイア元は普通にDMG記載のこちらっぽい。

《リング・オヴ・マインド・シールディング/精神遮蔽の指輪》 8000gp
この指輪を装備していればディテクト・ソウツ呪文(思考探査)や魔法によって属性を探ろうとする試みに完全耐性を得る。
パラディンが対悪レーダー搭載しているような世界で、悪属性が平穏に冒険者やるには必須装備やねえ。

ついでにモモン装備の〈精神防壁の冠〉について、精神作用無効のアンデッドがなぜにこのような装備を?と思っていたのだが、上記アイテムやマインドブランク呪文のような、すなわち対精神作用よりも占術効果の無効化を狙った装備なのだろう。


余談だが、アインズは合計10個もの魔法の指輪を装備しているようだ。
D&D3.5eでは基本は左右に1個づつの2個、特技《指輪使用数追加》で合計4個、さらにエピック特技《魔法のアイテム着用追加》で増やすことが出来るが、さすがに10個はきつい。