Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

粘体拳士 ヘロヘロ

粘体(ウーズ)でありながらモンクであるという、いったいどういう格闘術をくりだすのか想像のつかない面白さといい、ユグドラシルのキャラメイクの自由さを物語るキャラクターであるが、残念ながら粘体拳士はD&Dがすでに10年前に通過しているネタである。


WotC公式のWeb記事「ヴァリアント・ゼラチナス・キューブ」に紹介されているゼラチナス・キューブ・モンクがそうである。

ゼラチナス・キューブの姿は透明に近く、気付かないうちに近づき飲み込まれたというビックリドッキリモンスターとして、また「迷宮の掃除屋」としての珍しい性質や、クラシックD&Dでの「ゼラチン状立方体」という訳のわからない和訳名など話題に上ることの多い有名モンスター。

上の記事では本来知性の無いゼラチナス・キューブにクラスを積ませるため、フィーンディッシュテンプレートを付けたりルール的に問題ないよう組んであるが、
「ウーズがモンクの技を学べるような修道院は無いだろうから、宮本武蔵が行ったように独自に修業したのだろう」と、アホな一文でフレーバー的にも補完している。


くがね氏が上記の記事にインスパイアされたのか、それとも偶然ネタがかぶっただけなのかは分からない。
ただD&D3版系にはどんなネタキャラでも成立させられるだけの豊富な土壌(山のようなルールとデータ)が有ったというだけだ。


*ゼラチナス・キューブの酸は有機物のみ溶かす酸なのでヘロヘロのように装備破壊には使用できないが、同じ粘体のグレイ・ウーズかブラック・プディングの酸は金属も溶かし攻撃した相手の防具や攻撃された時に相手の武器に酸ダメージを与えることができる。(反応セーヴ失敗時)
「<エルダー・ブラック・ウーズ>凶悪なまでの酸能力を保有したスライム種ほぼ最強の存在」というヘロヘロの設定をD&D3.5eで再現するならMMに載っている粘体の内、一番脅威度が高いエルダー・ブラック・プディングでモンクを組むことになるだろう。
本来は叩きつけ1回のみの攻撃だが、モンクを1Lvでも混ぜると連打及びBABで4回以上の攻撃に増えたうえでそれぞれに追加の3d6酸ダメージ、ネタキャラのくせにかなりの性能Upと嫌がらせになる。


*D&D系小説「ホワイトプルームマウンテン」では馬車の荷台にみっしりと詰め込まれたゼラチナス・キューブを死体処理に使っていた。またサプリメント「プレイヤーズ・ハンドブック2」では知性を持ったゼラチナス・キューブが下水清掃者ギルド(実態はスパイ組織)を束ねていたりと、本来の生息地であるダンジョン以外でも「迷宮の掃除屋」としての能力を遺憾なく発揮しているようだ。

 

*さらに余談、ソリュシャンはその体内にアイテムを格納しておく事ができるが、これはゼラチナスキューブの「飲み込まれた犠牲者の、溶け残った装備品が体内に浮いている」というビジュアルがその発想元になったのかもしれない。