Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

ファンタジーRPG必読作家リスト

ファンタジーRPG必読と銘打ってはみたが、以下に並ぶのはAD&D1stダンジョンマスターズガイド(1979)のケツの方に書かれていた(そしておそらく5版にもあるのだろう)ガイギャックスお勧めの作家及び著作リストである。
ファンタジーじゃなくてSF多すぎ、とかC.A.スミス忘れてない?とか未訳大杉みたいなのもあるが、とりあえずここに書かれている以上、初期D&Dの成立すなわちRPGの源流に影響を与えている物として非常に重要であることは間違いない。

このブログでも元ネタ作家については以前から色々書いてきたが、いいかげん読んだのも昔でうろ覚えの物も多く、事ある度に海外サイトをググるのも面倒なのでまとめておく。


ポール・アンダースン
「魔界の紋章/Three Hearts and Three Lions」
*秩序と混沌の対立構造、異世界転移、現代知識、騎士道物語(クラス:パラディン)、再生能力を持つトロール、スワンメイ(白痴ヒロイン)と、並べて書くとかなり濃いが現在のRPGにも引き継がれている要素が多い

 

ジョン ベレアーズ
「霜の中の顔」
*多数の魔法書にマジックアイテムが登場、クラス:ウィザードの原型の一つか


リイ・ブラケット
*スペース・オペラを多数執筆「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」の脚本も手がけたが、公開時期的にAD&D1stへの影響は無い

 

フレドリック・ブラウン
*SFとミステリーが主でファンタジーは無い

 

エドガー・ライス・バロウズ
火星シリーズ、金星シリーズ、地底世界(ペルシダー)シリーズ
*「火星のプリンセス」が異世界転生モノの始祖のように語られることもあるが、それが日本の所謂なろうファンタジーに繋がっているとは思えない


リン・カーター
*ガイギャックス的に「World’s End」シリーズがオススメらしいが未訳である。ヒロイック・ファンタジーほかクトゥルー関係やアンソロ本で活躍


L.S.ディ・キャンプ&フレッチャー・プラット
「ハロルド・シェイ・シリーズ」 「CARNELIAN CUBE」(未訳)
*異世界転移して現代知識でチート(雑なまとめ)


オーガスト・ダーレス


ダンセイニ卿


フィリップ・ホセ・ファーマー
「階層宇宙」シリーズ


ガードナー・フォックス
「Kothar」「Kyrik」シリーズ(未訳)
*ファンタジー小説よりアメコミ方面で有名だが、RPG的にはリッチの直接の元ネタを書いた人

 

ロバート・E・ハワード
「英雄コナン」シリーズ
*コナンはクラス:バーバリアンの原型であるが、作中のコナンは原始的な直観&パワー描写以外にも、盗賊や海賊を生業とし狡猾な戦士としての立ち回りも多い為、D&Dにおいてキャラ再現される場合はローグ(シーフ)混ぜになることが多い

 

Sterling E. Lanier
「HIERO’S JOURNEY」
*ポストアポカリプス物らしいが、この作家の著作は全て未訳。後のサイオニックやガンマワールドに影響


フリッツ・ライバー
「ファファード&グレイ・マウザー」(二剣士)シリーズ
*『剣と魔法/sword and sorcery』の代表的作品であり、蛮人ファファードと盗賊グレイ・マウザーのコンビによる冒険譚は最もD&Dのプレイスタイルに近いと評される。またグレイ・マウザーはクラス:シーフの原型の1つであり、作中で巻物から呪文を使うシーンがクラス能力である「魔法のアイテム使用」に影響を与えた


H.P.ラヴクラフト


A・メリット
「Creep, Shadow! 」「ムーン・プール」「蜃気楼の戦士」
*自分としては「イシュタルの船」を強く推す。異世界転生オレツウェイ、個性的な仲間(ハゲ)、さらわれた巫女、メリケン的筋肉ヒーロー!


マイケル・ムアコック
エルリック・シリーズ、ホークムーン・シリーズ(特に最初の3冊の本)
*ダークヒーロー、魔剣、法と混沌の対立(上記、魔界の紋章がインスパイア元)、諸神格が多元宇宙にわたって陰謀&抗争を繰り広げる世界観
ここの作品群の中では比較的新しい為か、エターナル・チャンピオンシリーズの総括たるエレコーゼやホークムーンのブラス城年代記はリストに入っていない


アンドレノートン
*ペンネームは男性名だが女性作家。60歳を過ぎてからガイギャックスのD&Dプレイグループに所属した(1976)というからオドロキ、すごいおばあちゃんだ。
D&Dには多数のマジックアイテムや、魔法使いの使い魔などに影響を与えたという


アンドリュー・J・オファット
*SFマガジンなどで短編が少数和訳されたのみ


フレッド・セイバーヘーゲン
「アードネーの世界」


マーガレット・セント・クレア
「THE SHADOW PEOPLE」「SIGN OF THE LABRYS」


J.R.R.トールキン
ホビットの冒険」「指輪物語
*財宝を抱えた強大なドラゴン(スマウグ)、エルフ、ホビット(ハーフリング)、ドワーフ(ガイギャックス曰く他からの影響)、ミスリルバルログ(バロール)、エント(トリエント)、ナズグル(最初期D&Dのみ)
注意点として「シルマリルの物語」「終わらざりし物語」などの後年になって追加出版された設定は、時期的にAD&D1stへの影響は無い


ジャック・ヴァンス
切れ者キューゲル」「終末期の赤い地球」
*キューゲルはクラス:シーフの原型の1つ、上記グレイマウザーと同様に作中で呪文書から魔法を使うシーンがある(まあキューゲルは呪文を間違えたりして大変な目に合うのがいつものオチだが)他にもD&Dの呪文関係に多大な影響を及ぼしている

*「終末期の赤い地球」は「ファンタジー世界だと思ったら、実は科学文明が衰退した遥か遠い未来の地球」という世界観(所謂ダイイング・アース)であるが、コレはC.A.スミスのゾティーク連作にインスパイアされている。なお後年になると今度は「終末期の赤い地球」にインスパイアされたジーン・ウルフ作新しい太陽の書」が生まれるが、この作品の主人公セヴェリアンの持つ剣「テルミヌス・エスト」を元ネタとしてラノベヒロインD&D3.0版で武器マーキュリアル・グレートソード(サプリメント『武器・装備ガイド』収録)が生まれると言う、1930年代から2000年初頭まで続く細くて長い繋がりが見て取れる


スタンリイ・G・ワインボウム


マンリー・ウェイド・ウェルマン
*「シャーロック・ホームズ宇宙戦争」が一番有名か?


ジャック・ウィリアムスン


ロジャー・ゼラズニイ
「影のジャック」「真世界アンバー」シリーズ
*ジャックはクラス:シャドーダンサー(後年)の元ネタか
神話をベースとしSFとファンタジーを融合させた作品を多く書いた人だが、作品ごとの当たり外れが大きい、というか個人の好き嫌いの傾向が大きく出ることが多い。
(アンバーシリーズはファンタジーファンに絶大な人気を誇るが、一部SFファンには低く見られていたり)
個人的には「ロードマークス」のわけわかんなさが大好き。それと「影のジャック」は「ダークソウル」との共通点が多い気がするが、マイナーさゆえかその点についての指摘は見たことが無い

 

以上の作家の内、ディ・キャンプ&フレッチャー・プラット、ハワード、フリッツ・ライバージャック・ヴァンスラブクラフト、A.メリットが「AD&Dに最も直接的な影響を与えた」との事。


なお日本においては翻訳の関係で直接的にはAD&D1stが入ってこず、ザナドゥ、初代FF、ウィザードリィ、ロードス、バスタードなどからの間接的な影響となってしまったが、それに比べるとマイケル・ムアコックエターナル・チャンピオンシリーズは順調に和訳されていったこともあって、80年代後半の日本ファンタジー界隈に与えた影響は目に見えて大きかった。