Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

魔剣の系譜

1つ前の記事でポール・アンダースンムアコックに触れたことだし、せっかくだから今度はそれに絡んだオバロネタ、魔剣キリネイラムのインスパイア元を順に遡ってみようと思う。


魔剣キリネイラムオーバーロード
「漆黒の剣」四大暗黒剣の一つ
「漆黒の刀身に夜空の星を思わせる輝き」とあり、下記のブラックレイザーと見た目が酷似している。


ブラックレイザー(AD&D、シナリオ:ホワイトプルームマウンテン)
神秘的な星々の煌く夜空を切り取ったような刃を持つ、インテリジェンスソード。

版により性能の詳細は異なるが、知性を持ち使用者に殺害を強制、攻撃した相手の魂を食らい(レベルドレイン)蘇生困難化、吸い取った生命力で使用者の筋力及びHP増強、加速など下記ストームブリンガーの能力をそれっぽくD&Dで再現している。
なおシナリオ作者に対するインタビューによると「露骨にストームブリンガーのパクリでちょっと恥ずかしい」との事。

 

ストームブリンガーマイケル・ムアコックエルリック・サーガ
「黒の剣」とも呼ばれる、詳細はwiki参照
ファンタジーにおける"魔剣"の代表的存在
ムアコックによると下記小説の「折れた魔剣」に大きな影響を受けたとの事だが、直接ティルヴィングを参照した可能性も高い。

*グアサングがストームブリンガーの元ネタではないかと言われる事も多いが、出版時期的にストームブリンガーのほうが先であるし、ムアコックトールキンからの影響を否定している。また両者が共通してインスパイア元に挙げているものに「カレワラ」(フィンランドの神話伝承)があり、ここらがネタ被りの原因となっていると思われる

 

テュルフィングポール・アンダースン作「折れた魔剣」)
小説「折れた魔剣」は北欧やケルトなど多くの神話伝承をベースとして作られた悲劇的英雄譚。作中主人公が手に入れる魔剣の名は下記北欧神話のサガからとられているが、「折れたる剣が、鍛え直される」という点についてはグラムの伝承も影響しているのかもしれない。
なお「折れた魔剣」と「指輪物語」及び「シルマルリオン」には似通った部分が多いが、どちらかがパクったとかいうわけでは無く、元ネタとした伝承が被っただけである。

 

ティルヴィング(上記の表記揺れ、北欧神話、ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ)
めんどいのでwiki参照。

ひとたび鞘から抜かれれば血を吸わずにはおさまらず、持ち主の願いを三度まで叶えるが、それによって自身も破滅するという呪いがかかっている。

神話伝承創作ひっくるめて"呪われし魔剣"の原型といえる武器であるのだが…

ファイナルファンタジーシリーズ(3以降)を始め、電源系RPGで武器にその名を採用しているものは多いが、名前だけ北欧神話からとってきたというだけで、上記のような呪われし魔剣としての性質をゲーム上で再現しているものは殆ど無い。

 

このように魔剣の系譜を源流まで辿ってみれば、ナルシル/アンドゥリル、グアサング(指輪物語)やインテリジェンスソード (悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲)、おうじゃのけん(ドラクエ3)までもがキリネイラムの遠い親戚筋という事になる。