〈ワールドチャンピオン〉 たっち・みー
D&D3.0eサプリメント『次元界の書』記載の上級クラス:《プレイナー・チャンピオン/Planar Champion》が、ワールドチャンピオンの元ネタの一部である可能性が高い。
幾多の世界を股にかけた戦士。流血戦争における傭兵隊長。天罰の剣を振るうもの。(そうルールブックに書いてある)その名もプレイナー・チャンピオン!
……と、期待を煽ったところで申し訳ないが、このクラスはあくまで「次元界を旅するのに便利な能力を持ったファイター向け上級クラス」であり、その実態は「地味に便利でそこそこ強い」前衛に過ぎず、公式チート級の最強クラスなどでは決してない。
クラス能力として《得意な次元界》、《シー・インヴィジビリティ》(対透明視の無制限使用)、《エーテル体攻撃》(非実体への攻撃能力)、《イセリアル・ジョーント》(エーテル界への移動)、《ポータル切開》、《ポータル破壊》(他次元界へのゲートの生成及び封印)などを持つ。
ただし、このクラスの持つ能力《ポータル切開/Rip Portal》には「次元構造に穴を穿ち、他の次元界へのポータルを切り開く」という記述があり、これがワールドチャンピオンのスキル〈ワールドブレイク/次元断切〉の着想元になった可能性は高いと考えられる。
以上を踏まえたうえで、D&D3.5eルールにおいて「たっち・みー」をそれらしく再現するなら、以下のようなクラス構成になるだろう
たっち・みー "純銀の聖騎士"
異形(インセクトイル・クリーチャー、昆虫型の元人間)
パラディン10/パイアス・テンプラー10/プレイナー・チャンピオン8 28HD CR29 ECL30
*インセクトイル・クリーチャー/Insectile creatureは未訳サプリメント『Savage Species』記載のテンプレートにより昆虫型に変質した種族、CR+1、レベル調整値+2。キチン質の外殻により外皮AC+2、陸上移動速度と等しい登攀移動速度、暗視(60フィート)、振動感知、および広範視界(視認+4、挟撃無効)、能力値Dex+4、Wis+2を獲得する。
*プレイナー・チャンピオンは前提条件として特技《武器開眼》を要求するため、通常はファイターを最低でも4レベル取得する必要がある。しかし今回はテンプラーのボーナス特技によって《武器開眼》を習得することで、パラディン系のクラスのみで20レベルまで構成することができた(「悪を撃つ一撃」の有効レベルはパラディン・レベルとテンプラー・レベルを合算できる)。
パイアス・テンプラーはレベルアップとともにパラディン呪文を習得していくのだが、残念ながらパラディン10レベルの間に得た呪文発動能力とは継続累積しない。そのためパラディンには『勇者大全』記載の代替クラス特徴《聖戦士》を適用し、呪文を習得しない代わりにボーナス特技を得るオプション(4Lvと8Lvの時、計2個)を選択した方がよい。これにより特技《一撃回数追加》及び《退散回数追加》などを取得するのが有効である。
またパラディンの《特別な乗騎》能力も中途半端な進行になってしまうため、同じくPHBⅡ記載の代替クラス特徴《悪を撃つ突撃》と差し替えるのが望ましい。
《武器開眼》が取得できるということは《近接武器体得》も習得可能ということになり、ロングソード(片手武器)のダメージに+4のボーナスが加わる。さらに《信仰の威力/Divine Might》を取得すれば、アンデッド退散の使用回数を消費してダメージに魅力修正値を上乗せできるため、片手武器であっても両手武器による《強打》に劣らないダメージを安定して叩き出せるだろう。
〈エクリプス〉 アインズ、スルシャーナ?
D&D3版系における上級クラス/Prestige Classは、通常キャラクターレベル5~10程度で前提条件を満たすようにデザインされている。しかし3.0e未訳サプリメント『Epic Level Handbook』やSRDに記載されているエピック上級クラスは、前提条件として非常に高い基本攻撃ボーナスやスキルランクを要求し、キャラクター総レベルが21以上でなければ取得出来なくなっている。またその能力も通常の上級クラスに比べて相応に強力な物を持つクラスが多い。
D&D3版系にはオーバーロードにおける〈エクリプス〉に直接該当する既存のクラスは存在しないようだが、これをエピック上級クラスとして自作デザインすることは十分に可能だろう。そこで今回はとりあえず仕様の大部分が判明している「イズデス」を、D&D3.5版のクラス能力形式で記述してみた。
The Goal of All Life is Death/あらゆる生ある者の目指すところは死である(超常)
使用回数: 100時間に1回
発動時間: 標準アクション
対象: 次に使用する[即死]効果を持つ呪文または能力の対象
持続時間: 特殊(最大2ラウンド)
あなたは死そのものの根源的概念に触れ、生命が抗う術のすべてを無意味に変える。
この能力を使用すると、あなたの背後に十二の時を刻む時計が出現し、次に使用する[即死]効果を持つ呪文または特殊能力(フィンガー・オブ・デス、スレイ・リヴィング、ウェイル・オヴ・ザ・バンシー、あるいは任意の即死効果を含むクラス能力など)を「強化」状態で発動させる準備に入る。
この強化された[即死]効果は、対象のあらゆる[即死]無効能力(デス・ウォード、アンデッドや人造の種族特性、神格特性 など)を無視して、対象を必ず死亡させる。(セーヴィング・スロー不可)
ただし、その発動には2ラウンドの猶予時間が与えられる。時計の針が進行している間、[即死]効果は発動せず、2ラウンドの終了時に即座に発動する。
この猶予時間内に対象が自らに蘇生・転生・復活効果(レイズ・デッド、リザレクション、リインカーネイト、ウィッシュ など)をかけた場合、死亡効果を無効化できる。
この能力は任意の[即死]効果(呪文、超常能力、擬似呪文能力)に適用可能だが、1回の使用につき1つの効果のみに適用できる。
特殊:通常、[即死]効果は「生きているクリーチャー」を対象とすることを要求する。しかしながらThe Goal of All Life is Death により強化された[即死]効果は、これらの制限を無視して効果を発揮する。この能力により発動される[即死]効果は、「生きている」か否かを問わず、任意のクリーチャーや物体に適用可能である。
さらに通常、蘇生効果は「死亡しているクリーチャー」を対象とする。しかしThe Goal of All Life is Death により強化された[即死]効果によって影響を受けたクリーチャーは、既に「死亡したもの」として扱われる。このため対象が死亡状態でなかった場合であっても、蘇生効果の対象とすることが可能となる。
一旦 The Goal of All Life is Death の効果を受けたならディスペル・マジックやアンティマジック・フィールドであっても、この効果を除去できない。
ただし《死》や《アンデッド》の権能を持つ神格、自己より上位の神格ランクを持つ存在、エルダー・イーヴルに対しては作用しない。
……長い、説明が長すぎるっ!てかこれ、ゲーム運用上かなり問題の有る能力だな。
PCとしては強力なイズデスを使いたいがために5日に1回しか冒険に出たくなくなるだろう。またDMにとっては「一発詰み能力」はゲームバランス的に危険なので対策したくなるところなのだが、設定上その対処法はあまり知られていないはずで、それを防ぐのはメタ対応になってしまう。何よりもセーヴィング・スロー不可ってのが問題な気もするが、書籍16巻の描写を見るにどうもレジスト出来なさそうなんだよなぁ。
まあアンティマジック・フィールドと同様な「神格に対する特例措置」を書いといたんで、ワールドエネミーにイズデスが効かない理由付けが出来てちょうど良いだろう(ワールド・エネミーは神格ランク持ちやエルダー・イーヴルと見なす)。
あとは[即死]効果ではない即死は他にも色々*1あるし、「対処法不明の一発詰み、2R猶予有り」のイズデスを採用しても、どうとでもなるか……*2
「アインズが時計をかついだら用心せい」
*1:例えばヴォーパル・ウェポンの首切りは[即死]耐性では防げない、クリティカルに対する完全耐性か割り込み現実改変によるダイス目操作が必要。クラウドキル呪文は低レベルの生物を判定無しで毒殺、インプロ―ジョン呪文は実態のあるクリーチャーを爆殺、ファンタズマル・キラー呪文は幻の恐怖で殺すが、これらの呪文にも[即死]の補足説明は無い
*2:基本的に強化された呪文でしかないので、カウンター・スペルまたはグレーター・ディスペルマジックによる相殺を狙う。また食らった後ならば、とりあえずタイム・ストップ呪文を使い時間停止中にウィッシュ呪文で「神様とか知ってそうな人に質問」してイズデスの対処法を聞き出す、あるいは「なんかよくわからんけど、今のナシにして」というお願いでウィッシュ呪文を使用する