Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

「半森妖精の神人」描写から見るルール その4

エレメンタルの特徴について 16巻209pぐらいから

"また敵と自分の双方が土に触れている限り、僅かではあるが全ての能力に対してボーナスがある"  16巻210p

アースエレメンタルの持つ特殊能力《地の体得》、自分と敵の双方が地面に接している場合、攻撃の命中判定とダメージに+1のボーナスを得る。また相手が空中または水上にいる場合は-4のペナルティを被る。


"土に潜る能力"
11巻でも出てきた〈大地潜り〉=《地潜り》の事


"つまりは酸などに弱く、そして――もう一つ、弱点属性がある" 16巻211p

D&D3版系のアースエレメンタルにはこれといった弱点属性は存在しないが、作中ではアインズがカコフォニック・バースト(音波)とマジックアロー(力場)でベヒーモスを撃破しているので、オバロでは酸と音波属性が弱点と考えられる。
通常エネルギーによる攻撃は物体に対しダメージが半減するが、音波はガラスや結晶質の物体に対して完全なダメージを与えるという補足ルールがあるので、ここからイメージを膨らました設定なのだろう。


"血を流さず急所が存在しない精霊はやっかいな相手だ" 16巻324p

種別:エレメンタルは種族能力として急所攻撃及びクリティカル・ヒットに完全耐性を持つ。


"高位の精霊は物理攻撃に対しての耐性を持つ"

D&D3.5eにおいて大型サイズ以上のエレメンタルはダメージ減少(物理耐性)を持つ。
例えば、エルダー・アース・エレメンタルは《ダメージ減少10/-》を持つが、これは物理攻撃を被弾するたび受けるダメージが10減ることを指し、さらに後ろ側の/-の部分はこの耐性の種別が無印であり、善とか殴打とか銀などで抜けるような属性は基本的に無いことを指す。

 

なにかの参考になるかもしれないのでD&Dエレメンタル4種の特徴をば。

アース・エレメンタル:高いヒット・ポイントと筋力を持ち壁として安定した使用感はあるのだが、外皮ACは高くとも低い敏捷によるペナルティのせいで実はアーマクラスは一番低くタンクと言えるかは微妙なところ。上記地潜りの他、突き飛ばしや武器破壊といった特殊能力も持つ。

ファイアー・エレメンタル:叩きつけ攻撃に火属性の追加ダメージが乗るので単純なドツキ合いなら一番高火力であるが、火抵抗を持つモンスターの多さや見るからに冷気が弱点など、使いどころを考える必要がある。

エア・エレメンタル:まずもって高い飛行移動速度を持ち使い易い。また竜巻形体に変身する事が可能であり、これによりサイズの大きくない雑魚を巻き込んで吹き飛ばすなど戦場コントロールにも優れる。

ウォーター・エレメンタル:泳げるし(当たり前)、特殊能力《水浸し》により周りの非魔法的な炎を消せるよ!(今初めて知った)。あとは水の体得、渦潮変身とかあるので水中戦闘では強いんじゃないでしょうか(使ったこと無い)。

 

 

"奇怪な杖から生えた刃が足に引っかかっていた。足払いされたのだ" 16巻264p
"バランスを崩して転倒させることが狙いだ" 298p

《足払い/Trip》は近接戦闘時に行える基本的な戦闘オプションの1つであり、足払い可能な形状の武器または素手戦闘でもって、仕掛けた相手に足払いを行い転倒させ伏せ状態にすることが可能である。
(番外席次の使用するサイズ/大鎌は足払い可能な武器、また例外的にだが遠隔足払い可能な武器やクラス能力も存在する)
判定は仕掛けた側の筋力と対象の筋力または敏捷力、どちらか高い方の抵抗判定で成否が決するが、これには体の大きさ(サイズボーナス)や足の本数などの修正が加わる。
また特技《足払い強化》があれば隙なく足払いを仕掛けることが可能であり判定に+4のボーナスが付く上、足払いに成功して転倒した相手にすぐさま追加の攻撃が可能となる。
また足払いに失敗すると、足払いし返される可能性がある(番外席次がバランスを崩しかけたように)。その場合は足払いに使用した武器を手放せば転倒は免れる。


と、今更3.5版足払いの基本をおさらいしたわけだがせっかくオバロに足払いが出てきたんだし、ここらで3.5版環境において一世を風靡していた前衛キャラメイク類型「トリッパー/Tripper」ビルドについて解説しておこう。

 

まずはコンボの基本パーツ
特殊武器スパイクト・チェイン、特技《特殊武器習熟:スパイクト・チェイン》、特技《迎え撃ち》、特技《足払い強化》(前提:《攻防一体》、知性13以上)

以上を揃えれば、とりあえずは以下の戦法が可能となる。
1:敵が攻撃あるいは突破しようと近づいてくる
2:スパイクト・チェイン(間合いの広く足払い可能な武器)の攻撃範囲内を横切る
3:機会攻撃発生により足払い、転倒したら特技の効果で追い打ち攻撃
4:次ラウンド、敵が立ち上がろうとする時にも機会攻撃発生、とりあえず殴る
5:敵の立ち上がりに待機アクションで再び足払いも可能

このように上手くいけば群がる敵どもを押しとどめ一方的に殴り倒すことも可能、長いリーチを生かした面の制圧能力という壁前衛として非常に有効なコンボだった。

このコンボをさらに強固なものとするためには以下の基本クラスがお勧めである。
ファイター:ボーナス特技が多いので早い段階でコンボが可能となる、他クラスに2Lvだけ混ぜるのもアリ
バーバリアン:クラス能力《激怒》で一時的に筋力アップするので、足払い成功率があがる
サイオニック・ウォリアー:ファイター程ではないがボーナス特技は多いし、超能力パワー《エクスパンション》でサイズ大型化し、さらなるリーチ拡大&足払い成功率アップ
ナイト:クラス能力《防御の砦》の攻撃範囲内を移動困難にする効果が戦場コントロールとしてスパイクト・チェインと相性が良い

次はお勧めの種族、下にいくほど強力だがレベルにペナルティが付く
ドワーフ:種族能力《踏ん張り》により足払い返しされにくい
ハーフオーク:筋力上がる、バーバリアン向け
チェンジリング:前衛向けステータスでは無いが変身能力者専用上級クラスに直行でき、リーチ拡大及び肉体能力値の上昇
ハーフジャイアント:《優れた体格》で筋力判定にボーナス、サイオニック・ウォリアー向け
ゴライアス:《優れた体格》及び種族専用のバーバリアンオプション《山の激怒》で激怒時サイズ大型化
ハーフオーガ:初めから大型サイズ、当然肉体能力値も高い
禁則事項》ハーフミノタウロス《です》:3版から3.5への移行時ぐらいに一部のパワープレイ環境でよく使われていた印象のある出典Dragon誌のやべーやつ。
種族テンプレートなので他の種族にくっけて混血のハーフミノ種族が色々と作れる。特に中型種族に使用すると莫迦みたいに筋力耐久が盛られサイズも大型に変化する。てかこれ、デザイナーはサイズの変更時に能力値が変化するって基本ルール、絶対失念してたよね…


なお後発サプリメント『プレイヤーズ・ハンドブックⅡ』再訓練ルールの章には、戦士レグダーが愛用のグレート・ソード(両手剣)からスパイクト・チェインへと乗り換えるイラストが掲載され、「レグダーよ、お前もマンチの道を歩むのか…」と、各方面からこれを嘆く声があがることとなった。

その後時は流れD&D4版でのチェイン弱体化、ついには5版で消失。足払い特化ビルトの話を聞くことも久しくなったが、どこぞの異世界では今でもこれを元気に振るっているパラディン娘が居ると伝え聞く……