Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

呪文 その31

〈ウォール・オブ・スケルトン/骸骨壁〉
《Wall of Bones》ウーイァン4Lv 「Oriental Adventures」出典

書いといてなんだが、上記呪文が元ネタということはないだろう。以前にも言ったがD&Dには多種多様な壁呪文が存在する為、ホネ製の壁という発想被りぐらいは想定内である。

 


〈ニュークリアブラスト/核爆発〉 第9位階

RPGウィザードリィ」シリーズに登場する<ティルト・ウェイト/核撃>LV7呪文が名称的に元ネタだろう。
*ウィズ6作目以降は版権のゴタゴタにより旧呪文名が使えなくなり、ティルト・ウェイトがニュークリアブラストに変更されている
呪文効果的にはティルト・ウェイトにはノックバックも複数に渡るバッドステータスも無い純然たるダメージ魔法であるため、あくまで名称のみのインスパイアになるか。
なお炎属性と殴打属性で半分ずつの複合ダメージという点に関してはD&D9Lv呪文《メテオ・スウォーム》に近い。

*余談だがD&Dにおいて放射線の被曝は、リング・オヴ・Xレイ・ヴィジョンを長時間使用したペナルティやd20futuerのルールを見るに、耐久力ダメージとなるようだ、そんなんでいいんか…

 

 

〈ショック・ウェーブ/衝撃波〉 第2位階魔法 陽光聖典隊員やケラルト首が使用

位階や衝撃波を飛ばすという効果から、ソード・ワールドRPGの神聖魔法Lv2〈フォース〉呪文が元ネタと見て間違いないだろう。
上位呪文である〈フォース・イクスプロージョン〉と共に僧侶向け攻撃魔法として旧SWから輸入した模様。


と、ここで終われば話は早いのだが、こいつも巡り巡ってD&Dが元凶である可能性が極めて高いので、それについて解説しておく。

 

ドラクエやFFなどの和製RPGにおいて、僧侶系クラスが風属性の攻撃魔法を持つのは、ウィザードリィの僧侶6Lv呪文「ロルト」を共通の元ネタとした為、という説がある。

ロルトが元ネタ説についてはデザイナー自体が公式発表したわけでは無いので真相は闇の中だが、実はこの「ロルト」自体にも元ネタがあり、それはD&Dのクレリック6Lv呪文《ブレード・バリアー》呪文となっている。


順を追って登場時期とおおまかな効果説明(当時の取説からの雑な翻訳)を書いていこう、

D&Dサプリメント1:グレイホーク 1975年
《Blade Barrier》 クレリック6lv呪文
術者の周辺に旋回する刃の壁をつくり、この障壁を通過する全てのクリーチャーにダメージを与える
*3.5版では刃は力場/フォース属性となっている


Wizardry#1 - Proving Grounds of the Mad Overlord 1981年
「LORTO」 プリースト6Lv呪文
LORTO は 1 群の魔物すべてに 6〜36 のダメージを与える鋭い刃を呼び出します


ドラゴンクエストII 悪霊の神々 1987年
「バギ」 ムーンブルクの王女が習得
となえた者の体のまわりに真空を作り、それが鋭い刃物のように相手に襲いかかる


ソード・ワールドRPG 1989年
「フォース」神聖魔法Lv2
距離10m以内の個人に衝撃波をぶつける
「フォース・イクスプロージョン」神聖魔法Lv7
術者を中心とした半径10mの爆発


ファイナルファンタジーIII 1990年
「エアロ」 白魔法クラス2
風属性の攻撃魔法、ゲーム内部的には冷気と空(対飛行特効)の複合属性

このように元祖の《ブレード・バリアー》呪文では術者の周辺に自動攻撃する刃を浮かべるという、ある意味防衛的な呪文だったのだが、時代を下って継承されていくうちに原型は失伝し真空波、かまいたち、衝撃波などといった風属性的な解釈がはびこる事となってしまった。

まあ初期の電源系RPGでは、複雑な挙動の呪文を実装する事も呪文効果のビジュアル表現も不可能だったわけだから、これはちかたないか。

 

さて以上を踏まえた上でソード・ワールドRPGの「フォース」及び「フォース・イクスプロージョン」呪文のインスパイア元は何処からのものであろうか?

そも旧SW自体、D&Dを元ネタとする呪文が多く、術者を中心とした効果という点からもD&DのBlade Barrierを参考に「フォース・イクスプロージョン」呪文を創り、その下位呪文として「フォース」を設定したといったところだろうが、効果が衝撃波という点や1988年のドラクエ3の社会的流行も考えると、バギ系呪文の影響の可能性も捨てきれない。