Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

俺より強い奴に会いに行く

「データがあれば、そいつは倒せる」

D&D3版系サイト【CDS:PE】の記事「伝説の英雄、そして神々」より 07/04/03


D&Dの場合だとデータさえあれば神だって殺してみせるを地でいきますからね。

丸山くがねの活動報告 - 小説家になろうソードワールド」の感想返しより 13/04/17


「どんなバケモンであれ、相手の実体(データ)があるってことは、だ!」
「神さまだろうが、ぶっ殺せるってことだ!!」

蝸牛くもゴブリンスレイヤー」6巻:第6章より 17/09/14


上記のような言説がTRPG界隈で言われるようになったのは何時頃からだろうか?
自分は3版から始めた人間であり、当時影響力のあった上記【CDS:PE】の記事以降、ぐっと増えたように記憶しているが、ひょつとしたらもっと昔より言われていたのかもしれない。(なお途中からTYPE-MOON空の境界」の「生きているのなら、神様だって殺してみせる」が混ざってきているのが興味深い。)

 

それはさておき実際問題として、倒せるとは言ってみたものの3版の神格はとても強い。

ダゴンクトゥルフ神話の方)みたいな半神クラスならまだしも、中級神以上ともなれば、その強さはぶっ飛んだ物になる。これらは数値の大きさだけを見てレベルを上げればどうにかなるだろ的発想でどうにかなる代物では無い。神格ルールにより与えられる特殊能力は無限ウィッシュとか絶対先制攻撃とか攻撃全部がトゥルー・ストライクとか知覚がマイル単位とか判定すべて出目20みたいなチートくさい能力山盛りであり、一体どんなトリックを使えばコイツらと真っ当な戦いになるのやら、自分には想像も出来ない。

当然これらの強すぎ神格データ(その能力を分化した化身/アヴァターでも強すぎる)は大部分のゲーマーにとって使いどころのない物であったが、それはそれとして悪神みたいな有名所と戦いたいという欲求もまたD厨には多く、これを満たすために本体よりかなりマイルドに弱体化した「アスペクト」という存在の設定及びデータが未訳サプリメント「Miniatures Handbook」に掲載された。(D&Dリスペクトラノベでは「最果てのパラディン」に《木霊/エコー》として出ているのがそれである)

これは強大な存在がその力の一部を用いて作りだした化身のようなものであり、脅威度10~20程度でいわゆる英雄越えレベルのキャンペーンのシメにラスボスとして丁度よい強さとなっている。

* まあこれらのアスペクトに対し「ピット・フィーンド(最上位悪魔)より弱いなんて」「もっと強い本体のデータが欲しい」というわがまま意見も多少あったわけだが…

その中でも敵の大将格として各デーモン・ロードとアークデヴィル(九大君主)は特に人気があったようで「不浄なる暗黒の書」、「魔物の書1&2」、公式サポート誌「Dragon」、未訳シナリオ「Savage Tide」、公式web記事とアスペクト及び本体が何度もデータ化され、上を見れば脅威度30前後と結局インフレ気味になりつつもラスボスのデータには困らない状況となった。

 

以上、D厨のデータに対する飽くなき欲求を垣間見る一幕でした。

 

追記:最近のMTGとD&Dのクロスオーバーについての記事に以下のような文言があった。

(Therosの神々にステータスブロックを持たせないというWotCの判断について)
ここに最も適切と思われる、RPG界隈の古い格言がある。 "能力値があると、殺される"
There is an old saying in the RPG community, and one that seems most apt here: "if you stat it, they will kill it."*1


さらに色々ググってみると、次のような言葉も昔から言われているようだ。

"ヒット・ポイントを持つのなら、殺せる"
"If it has hit points, we can kill it"

上はDM視点で下はPC視点といった感じだが…wいつ頃、どのような媒体を通してこれらが日本に伝わってきたのやら、まだまだ興味は尽きない。

*1:この指摘についてはやや疑問視。少なくとも3rdの頃の神格は凶悪な強化ルール(それでいてSRDに書いてあるので基本ルールの範疇である)を積み上げ、「殺れるもんならやってみろ」というのがWotCの方針だったはず。これはD&D出版部門が縮小整理されたために何でも出す余裕が無くなった、あるいは神格データなんてけったいなものはいらない(3版の神格データ本は販売が振るわず投げ売りされていた)という真っ当な判断が出来るまでWotCが正気になった、と見るべきだろう。