Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

〈ホーリースマイト〉はどのくらい痛いの?

現地勢がアインズ様にダメージを与えた数少ないシーンという事もあり、「威光の主天使」が発動した〈ホーリースマイト〉については色々と話題になる事が多い。
2chなどではアインズ様のオレツウェイ感からかヒット・ポイント1%も減らなかったんじゃないか?という意見も割合多く見られる。
ただまあオバロ作中の描写だけでは何とも言えない状況であり無根拠な推察に走りがちであるが、とりあえずD&D3.5eであのシーンを再現するとしたら大体の所は試算できるのでやってみる。


まずはアインズのヒット・ポイント、
3.5版ではアンデッドのHPはクラスや能力値にかかわらずヒット・ダイス×d12で算出されるので、キャラメイクで一番良く使われる「1Lv目は最大、あとは平均値」のダイス目計算ルールでは、おおむね28HDのアインズは187hpとなる。


次に〈ホーリースマイト〉のダメージを考えてみる。

「モンスター・マニュアル3.5版」に記載されているエンジェル3種はどれも《ホーリィ・スマイト》を擬似呪文能力として発動できるが、これは「善の領域」4Lv呪文であり、これではアインズの低Lv呪文無効化能力で防がれてしまう。

だがオバロの〈ホーリースマイト〉は第七位階。これは《ホーリィ・スマイト》の上位呪文であり「信仰大全」に収録された7Lvクレリック呪文《ライチャス・スマイト》に相当すると思われる。

*悪のクリーチャーに術者Lv×d6のダメージ、1d4ラウンドの盲目化、意思セーヴ成功でダメ半減及び盲目効果無し、悪の来訪者に対してはd8とダメージダイスが大きくなり、善のクリーチャーにはノーダメ

次に呪文のダメージを算出するのに必要な「威光の主天使」の強さ(術者レベル)についてだが、現地では最上位天使、アインズからすればザコ、でも第七位階が使えるということであり、ここらの点から考量してD&D3.5eのアストラル・デーヴァ相当で話を進める。

*アストラル・デーヴァはMMに記載されたエンジェルの内では一番弱いが、それでも脅威度14(オバロ49Lvパーティと張り合う強さ)、多数の擬似呪文能力を持ち、この内の《ホーリィ・ワード》が《ライチャス・スマイト》に入れ替わっていても呪文Lv的に問題は無い。

アストラル・デーヴァの術者Lvは12である為、《ライチャス・スマイト》のダメージ期待値は12d6=42
「威光の主天使」は作中、ロッドで《呪文威力強化》していた為に1.5倍して63

エピック術者であり意思セーヴが高いアインズは95%でセーヴ成功するだろうから、ダメージ半減して31.5

結果、アインズのヒット・ポイントからすれば約16.8%のダメージとなる。


無論、以上の計算はあくまでD&D3.5e上での期待値であり、実際はどうだったのかは分からない。
HP算出一つ取ってみても後継のパスファインダーRPGでは魅力による補正が付いて大幅に増えるだろうし、ましてインフレが激しいであろうMMOベースのユグドラシルでは本当にダメージが1%未満という事もあり得るかも知れない。
しかし「3版D厨ならば、このような物の考え方をする」という点においては、くがね氏の考えるダメージの考察材料として十分意味があるものと思われる。

 

追記:なおモンスター種族生来の呪文発動能力(擬似呪文能力)は術者クラスのように2Lvごとに習得呪文レベルが1上がったするような法則性は無く、種族ヒット・ダイス(オバロで言うところの種族レベル)が低くとも高位の呪文を使える事がある。
もっとも強力な呪文は1日1回とか回数が少ない事が多く、さらに呪文のダメージを決める術者レベルも、本来クラス能力によりその呪文を発動できるようになるレベルより低い事もある。
この点から考えるに、オバロで登場したモンスターが使用する呪文から7Lv刻み説に則りその種族レベルを推察するのは、あまり正確では無い可能性が高い。

*D&Dの天使系は、脅威度の割に低めの種族HDだが疑似呪文能力いっぱい、上位エンジェルに至ってはさらに20Lvクレリックとしての呪文発動能力を追加で持つなど、低めのHPに特殊能力詰め込み過ぎな感じ。