Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

「亡国の吸血姫」描写から見るルール その2

アンデッドになった者の蘇生関係 73pから81pぐらい

どうやらD&D、ユグドラシル、転移後の世界でそれぞれ設定が違うみたい

D&Dでは:倒した後、高位の蘇生呪文であれば生者として復活
ユグドラシルでは:アンデッドからの種族変更はワールドアイテムが必要
転移後では:倒した後、高位の蘇生呪文であればアンデッドとして復活するが、アンデッド化の元凶を取り除けば元に戻ったという記録もある

まあ「亡国の吸血姫」で生者としての復活が不可能だった原因については〈始原の魔法〉やキーノのスキルの絡みもあるので、さらなる検証が必要か。

 

"ちなみにスライムゾンビは存在しない。どんな種族でもゾンビ化、スケルトン化はする。ただし例外的に骨格がない者にはゾンビ化、スケルトン化が起こらないとユグドラシルでは決まっていた" 89p

D&D3版系ではゾンビ及びスケルトン・テンプレートを適用出来る元種族は「(アンデッドを除く)骨格を持つ実体のあるクリーチャー」となっていた。

 

"ゾンビの移動速度は鈍い" 100p

D&D3版系ではゾンビ化すると1ラウンドに1アクションしかとれなくなる。
つまり通常ならば移動後に攻撃orダブル移動、となるところがゾンビだと移動か攻撃のどちらかのみとなってしまう。

このようにゾンビ化はある意味弱体化でもあるため、ヒット・ダイス(オバロでの種族レベル)に対し脅威度(オバロでの難度)は1/3程と他のモンスターに比べるとかなり低い。

 

"信仰系魔法職者の存在が神の力があることを保証している。だからこそキーノは神の力だけを借りるなり、奪うなり、盗むなりして皆を元に戻せないか、という研究も試みた"  92p

キーノちゃんはウルプリーストにでもなるつもりなの?

ソーサラーからじゃ前提条件の1つの<知識:宗教>8ランク以上がかなりきついなぁ。

 

"そんな凄い炎の杖を振り回す炎の巨人の王を倒すなんて出来ないよ"
"剣を棄ててレーヴァティンを取り出した際の余波を食らって" 200p

ユグドラシルではスルトの持っている炎の剣はレーヴァティンでは無く、レーヴァティンは杖という解釈のようだ。
ちなみにD&Dのスルト(神格ランク14、中級神)は超巨大サイズの+5ブリリアントエネルギー・フレイミングバースト・ロングソードを持っている。

 

"装備されているアイテムは、着用者の能力などと結合され、同じだけの抵抗力を持つ。例えば悟がネックレスを装備した時と、地面に落ちたネックレス。同じ耐久力を持っていたとしても簡単に破壊されるのは地面に落ちている方だ" 339p

D&D3.5eでアイテムがセーヴィング・スローしなければいけない状況でのルールはほぼ上記と同じである。
通常、ダメージ魔法を食らっても装備品にそのダメージが及ぶ事はないが、セーヴィング・スローを自動失敗(出目1)した場合、ランダムで所有するアイテム1つにダメージが入る。
この時、所有者のセーヴ・ボーナスを使用してダメージを半減できるかの判定を行えるが、アイテムが地面に落ちていた場合はアイテム自身のセーヴ・ボーナスを使用する。
このボーナス値はマジック・アイテム作成時に必要な術者レベルにより算出されるが、知性を持つアイテム(インテリジェンス・アイテム)などはキャラクターと同様の独自のセーヴ値を持つ。
当然、高位のマジックアイテムはダメージ半減できる確率は増えるし、魔化されてない通常のアイテムはセーヴ出来ない。

これらのルールをそのまま運用すると地面に落ちたアイテムは魔法の品であっても壊れやすい、ネックレスなどの小さなアイテムはHPも硬度も低いのでなおの事である。
武器落とし後にファイアーボールかましてくるようなひどいDMもけっこういるので要注意。

*補足:アイテムのヒット・ポイント及び硬度はアイテムの種類、大きさ、材質、魔法的な強化、ドワーフ造りなどによって決定される、また物理攻撃による武器、盾へのダメージは「武器破壊」ルールによるものでセーヴ半減出来ない。

 

"ユグドラシルの場合、金貨はひとまとめにされ重量はない扱いだった。ゲームだからこそだが、その恩恵は今でも受けている。ではこの世界の貨幣は同じ扱いなのか。それとも一枚一枚に荷重判定があり、合計されていくのだろうか。もし、そうだとすると面倒なことになる" 145p

ウォーゲームの影響が色濃く残るAD&D1st、その後継でありシステマチックに進化したD&D3版系では当然厳密な荷重のルールがあり貨幣ほか諸々のアイテムに重量(3版系ではポンド)が決められている。

貨幣の荷重といえば、財宝の全てが銅貨だった為に重くて持ち帰れなかったとかいう古典的嫌がらせが有名であるが(ガイギャックスが息子相手にやらかしていた)そういった面倒事を別にしても、まず荷重計算がめんどくさい。

「鉛筆と紙」でプレイするRPGでは、これはとんでもなくプレイアビリティを損なうルールに見えるだろうが、21世紀の電脳キッズたる筆者は全てエクセルのキャラクターシートにぶち込んで計算していたので、その点については苦労した覚えは無い。

 

 *重量がらみの余談。あなたがもしD&D初心者なら、キャラメイクする時に名前はすぐに決めなくてもいいが、とりあえず体重は決めておこう。

最初の冒険で君が名の知れた英雄になる事は無いだろうが、死体となって引きずられる可能性は高いからだ。

 

 

追記:リアリズムの追及がゲームを良くするという幻想が残っていた初期RPG(電源、紙問わず)では、プログラム容量の制限などあったにもかかわらず、荷重ルールをシステムに導入したものも多かったと思う。

初期と言うにはちょいと遅いが、1989年にファミコンに移植されたアクションRPGハイドライド3 闇からの訪問者」は、荷重ほか時間の推移、腹減り、睡眠と意欲的にリアル要素を取り入れたゲームであった。

が、しかし、この「リアル」が実際のゲームプレイにどのような影響を与えたかと言うと、
ザコ敵を倒してレベル上げ>やがて小銭が溜まる>重くて動けない>おなかが減って餓死>わたるが死んじゃう!
といった具合に、なんともしょうもない理由でゲームオーバーを迎える羽目に。

そしてこの「小銭による重量制限の圧迫」を解決する手段もあるのだが、それも「草原にポツンと両替機が落ちている」(ノーヒント)といったものであり、勇者が背中に両替機(そこそこ重い)を背負いながら戦闘&両替を続けるという…リアルからはかけ離れた、なによりとてもカッコ悪いものとなってしまっていた。