Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

アインズが鎧着たまま使える魔法が5つとかいう話

D&D3版系ではファンタジー世界のリアリズムを無駄に追求したせいか、呪文の発動プロセスにはさまざまな構成要素がそれぞれ呪文ごとに決められおり、それらを全て満たす必要がある。

ファイアーボールを例に挙げると

ポーチよりコウモリの糞と硫黄を取り出し(物質要素)
身振り手振りや印を結んだりして(動作要素)
声に出して呪文を唱え(音声要素)、火球発射!となる。
*この間、約3秒。


また、あらゆる鎧と盾には秘術呪文失敗率がデータとして決まっており、動きにくさが秘術呪文の動作要素を阻害する為、呪文発動を失敗するとされている。
クレリックドルイドなどの信仰魔法には失敗率は無い、また昔の版などでは装備制限に関しては一律出来ないと書いてあるだけで特に理由付けされてなかったような。
3版系ではさまざまなペナルティこそあるがウィザードがフルプレートを着てグレートソードを振り回す事も出来る…実用的かどうかは別にして。


以上を踏まえた上で、鎧を着たまま失敗率無しに秘術呪文を発動するには

  • 失敗率を軽減したり無くすようなクラスになる(魔法戦士系クラスやバードなど)
  • 呪文失敗率が無い特殊な鎧を着る(例:トワイライト・ミスリル・チェインシャツ)
  • 呪文修正特技《呪文動作省略》で呪文の動作要素を無くす
  • 動作要素の無い呪文を唱える

上記の「動作要素の無い呪文」がアインズが鎧を着たまま使える魔法の発想元になっている、と考えてみたのだが…

とりあえずD&D3.5eではテレポ系にウェイル・オヴ・ザ・バンシー、タイム・ストップ他などが音声要素のみで発動できる呪文ではあるが、特典小説の描写などを見る感じユグドラシルでこのような複雑な呪文詠唱はしておらず、これらの考察も推測の域を出ない。

 

追記:「ウィザード 呪文が無ければ ただの人」でありD&Dの術者プレイヤーは不測の事態に備え、マテコンポーチを複数持っておく、サイレント・メタマジック・ロッドを買っておく、呪文書のコピーを作っておく(カネと時間がやたら掛かる)などの対策を取る人も多いが、中にはクラスはソーサラー(呪文書が要らない)、貴重な特技枠で《物質要素省略》 《呪文音声省略》《呪文動作省略》を取得するとまで主張する人もおり、此処まで来るとよほどヒドい環境で戦い抜いてきたんだなぁ、と心の闇を感ぜざるを得ない。

 

さらに追記:鎧装備制限に関して「金属が魔法を阻害する」という設定もラノベRPG界隈ではよく見られるが、D&D3.5eにはドルイドを除くとそのような設定は無い。(あえて探せば、低位占術のディティクト系が鉛板で遮られる。)
なお、妖精は冷たい鉄(通常の鉄、または鋼鉄を指す)を嫌う、という現実の伝承については、D&Dでは武器に使われる素材の「冷たい鉄/cold iron」設定に引き継がれている。

*D&D3版系での「冷たい鉄」はフェイ(妖精)やデーモンのダメージ減少(物理耐性)を抜くために、前衛メインウェポンに使われることが多い素材だが、魔法での強化が難しくその分高価となってしまう。

このような通常の鉄とは違う特殊金属としての「冷たい鉄」設定はD&Dが初出というわけでなく、D&Dでのこれはポール・アンダースンの小説「大魔王作戦」あたりの描写が元ネタにあると思われる。

ポール・アンダースンファンタジー小説からD&Dへの影響は各所で述べているが、D&Dで冷たい鉄が重用されはじめたのは3.5版からであり「大魔王作戦」とは30年以上の隔たりがある為、さすがに直接の影響は無いか。
ちなみに3.0版ではダメージ減少をブチ抜くのには強化ボーナス(+1とかの部分)の数字の大きさが重要であった。
さらに3.75版ともいうべきパスファインダーRPGの方といえば、3.0eと3.5eの折半案というべきか、一定以上の強化ボーナスがあれば材質や属性によるダメージ減少も抜けるようになっている。
こちらのほうがオバロの物理耐性に近い感じかな?