Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

アインズ様の能力 詳細不明分に関する幾つか

名称のみ判明しているアインズの特殊能力のうち、効果が不明の物が幾つか残っているが、D&D的に名称からそれっぽい効果が推測出来る物があるので考察しておく。

〈不浄なる加護〉
上記語句をそれらしい英語に直すとUnholy Graceとなる。
この能力はセーヴ(抵抗判定値)とアーマクラスにそのキャラの魅力ボーナスが乗るというもの、ブラックガードの暗黒の祝福を強化した感じの能力である。
この能力を持ったアンデッドがD&D3.5e日本語環境で居たかどうかは不明(調べるのめんどい)だが、未訳のアンデッド専門本「Libris Mortis」には何体かこれを持った中~上位アンデッドモンスターが収録されている。

さらには後出になるがパスファインダーRPG(ルール的にD&D3.75版と言われている)のデミリッチもUnholy Grace(私家訳wikiでは不浄の恩寵)を持っており、ここらも参考にした可能性アリ。

追記:パスファインダー版デミリッチのデータが初公開されたPaizo blogは2011/12月、Arcadia掲載Web版闘技場でのアインズの各能力(含む不浄なる加護)は2011/10月とオバロの方が先であるが、パスファインダー版は[酸]に対する完全耐性を持っていたりとD&D3版のリッチ&デミリッチよりもアインズの能力に近い部分がいくつか見らる。これは偶然なのか、それともパスファインダー版に合わせてアインズの能力を後から改定したのか、今となっては判別が付かない。

 

〈邪悪言語理解〉
「魔物の書Ⅰ」記載の猛悪特技《暗黒語/Dark Speech》が元か?
この特技無しに暗黒語を話そうとすると必ず即死する、しかし望まぬものに使用させるのは発音が難しいため不可能というゲーム的都合に配慮した言語である。
その効果は悪属性の聴衆を魅了したり悪以外の聴衆をビビらせたり、呪文使用時やアイテム製作時の術者レベルが1上がったり物体を脆くしたり、効果は多岐に渡りずいぶんとっちらかってる感じだが、元はサルバトーレだかの小説設定からの逆輸入のようである。

追記:暗黒語の初出は「不浄なる暗黒の書」2002年であり、Paul Kempfによるレルムが舞台の小説「Dawn of night」は2004年、後出でした。

さらに追記:この《暗黒語/Dark Speech》自体、指輪物語においてサウロンが作った言語の「暗黒語/Black Speech」が発想元にあると思われる。冥王の使用する魔力の込められた言語、アインズ様に相応しいかと。

 

〈アンデッド支配〉
D&D3版において、善のクレリックは自らの信仰の力によりアンデッド退散/破壊(ターンアンデッド、ウィザードリィでのディスペル)を行えるが、悪のクレリックは変わりにアンデッド威伏/支配能力を持つ。これはアンデッドをビビらせるという退散に比べると地味な効果だが、レベルが十分に高ければアンデッド支配となり対象をコントロール下におく事が出来る。
なおターン回数や判定、支配総数に使われるキー能力は《魅力》となる。
また「信仰大全」記載の特技《アンデッドの支配者》では支配下に置きコントロールできるアンデッドの総数が増える。

基本クラスであるウィザードの死霊術専門化、ネクロマンサーでこの能力を得る事は出来ないが、未訳サプリ「Heroes of Horror」記載の基本クラス「Dread Necromancer」は死霊術特化の秘術使いでありながらアンデッド威伏を持っている。
アインズがこの能力をどうやって得たのかはわからないが、上級クラスの能力によりアンデッド威伏/支配を取得した、あるいは呪文《コントロール・アンデッド》の擬似呪文能力を得たというあたりが有りそうな所。

追記:書籍版では消されているがWeb版によるとクラス:トゥルーネクロマンサーで習得した模様。

〈アンデッド強化〉
特技《アンデッド強化》では作成したアンデッド・クリーチャーの筋力と敏捷、ヒットポイントにボーナスを得る。
また上記のクラス、ドレッドネクロマンサーはこれを8Lvのクラス能力として得る。

 

追記:〈漆黒の後光〉

D&D3.5eにオーラと名の付く能力は数あれど、後光と名の付くものは一つしか知らない。
すなわち「高貴なる行いの書」記載の善人専用特技《後光/Nimbus of Light》だけだ。
この特技の効果は善のクリーチャーに対する〈交渉〉及び〈真意看破〉技能判定に+2と、かなりゲーム的にどうでもいい効果。
あとこの後光は好きなだけ自由に点けたり消したり出来る(ランプと同様の明るさ)

オバロ作中ではなにも効果が無さそうなエフェクト描写だったが、あえて上記特技からその効果を推察するなら
取得条件:属性 極悪
効果:悪のクリーチャーに対する〈交渉〉及び〈真意看破〉技能判定に+2(10%向上)みたいな感じか?

 

こうして見るとアインズのスキルには能力値《魅力》を必要とするものが多い。
これは3版系D&Dでいやらしい特殊能力(魅力でセーヴ難易度を決めてる)を持っているアンデッドの常なのだが、パーティメンバーの誰よりも見た目がアレな敵アンデッドのほうがイケメンだった、という笑えない状況もよくある話でありパラディンソーサラーなんかをPCとして選ぼうものならその時点でリーダー決定みたいな(偏った意見)

追記:魅力、あるいは<交渉>ランクの高いキャラをリーダーに選ぶというのはゲーマー的に真っ当な思考だが、D&Dゲーマーの中にはクラス:レンジャーにリーダーをさせようと主張する人がたまにいる。これはD&D系小説において(何故か)主人公がレンジャーであることが多い所からのものだが、その中でも特に「ドラゴンランス」初期シリーズの主人公、タニスの影響が大きいと思われる。彼は性格に難アリな仲間たちをまとめる(纏まっていない)一行の悩み多きリーダー的存在であった。そんなタニスのクラスはレザーアーマ着用で剣と弓を使い分けてるとこから小説読者からレンジャーと思われがちなのだが、実はデータ的にはH.F.O(ハーフエルフ・ファイター・オトコ)である。