Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

描写から見るルール 主に書籍4巻

いちいち細かい事書いても仕方ないとは思うが新刊までネタが無いのと、D&Dの知識がそのままオバロ世界への理解に直結してるような描写も多いんで、気が付いたら書いていく方針で。

 

ジャイアントラットは病気が怖いですね。あとはワーラットなどもいますが……銀の武器以外損傷を抑える能力を持つから、凄いと言えば凄いんでしょうか?」 書籍3巻252p

MM3.5eによるとダイア・ラット(大ネズミ)に噛まれるとセーヴ失敗で病気「汚穢熱」にかかる。
またライカンスロープは一律、動物形態あるいは中間形態で銀の武器以外に対するダメージ減少(物理耐性)を持つ。
基本ルールの時点で一般的なライカンスロープとして大蛇、狼、虎、熊、ネズミなど多数が紹介されているが、みんな大好きワーキャットはなぜかD&D系ではあまりメジャーではなく、和訳された分では「フェイルーンのモンスター」でちょこっと触れられたくらいである。

追記:上記オバロのワーラットほか、ファイナルファンタジーシリーズの「ウェアラット」、ローグライクゲームNetHackの「ねずみ男」(水木しげる風翻訳)、ウィザードリィ#1登場のワーラットなども、その系譜の源流がAD&D系モンスターのワーラットであるのは間違いないだろう。
ワーウルフやワーベアとは違い、ワーラットにはその由来となるような神話伝承などが無いため、ライカンスロープのバリエーションを増やすためにゲイリーがでっち上げたオリジナルモンスターではないか?とか自分は考えていたわけだが、AD&D1stダンジョンマスターズガイドを読んでいたところモンスター遭遇説明の箇所に「ワーラットはどんなタイプの人間にも変身できる(フリッツ・ライバーのランクマーの二剣士/The Swords of Lankhmar を参照)」と唐突に言及されていた。ファファード&グレイ・マウザー・シリーズが元ネタのモンスターというのはちょっと珍しいよね。

 

"酩酊は毒と同じ類の効果とみなされており、毒に対して完全耐性を持つ者は酔うことがない。当然のことながらアンデッドであるシャルティアは毒無効であり、酒などに酔うはずがない。" 書籍4巻56p

サプリメント「武器・装備ガイド」の酒酔いのルールによると、《ニュートラライズ・ポイズン》呪文によりアルコールの有害な影響を中和できる(ただし二日酔いは除く)

また「石の種族」では酒は実質、摂取毒であると書かれている(魅力にダメージ)

追記:ドワーフ種の多くは毒に対するセーヴに+2の種族ボーナスを持ち、また耐久力に+2の修正値を得る。これらを当てはめて考えるとドワーフは人間より15%酒に強いと言える。彼らの酒に強いものが多いのも納得のルールである。

 


「あれは精神をかき乱す絶叫を放つ。さらには非実体のモンスターで、魔法の掛かってない武器での攻撃は殆ど無効化する。" 書籍4巻78p メッセンジャーについて

D&Dのゴーストの持つ能力の一つ「恐ろしきうめき声」は、30フィート内の生きているクリーチャーを恐慌状態にすることが出来る。
そして非実体のクリーチャーは魔法的強化されていない武器では傷つけることができない。
また呪文や魔法の武器の命中を受けたとしても、50%の確率でダメージをうけないという非常にめんどくさくいモンスターである。
ゴーストタッチ能力の武器や[力場]効果では確実にダメージを与えられるが、低レベルではマジック・ミサイルか退散が切れたら詰みな状況に陥ることも多い。
後発サプリメント冒険者大全」にはこのようなモンスターに対抗するための、武器に付けておいて叩いて割ればすぐに使える「即席触霊の錬金術カプセル」が掲載されたが、あまりに便利でお手頃価格なこれを露骨な販促として使用を禁止するDMもいるという。

追記:ゴーストの「恐ろしきうめき声」は精神作用、音波、死霊術、恐怖効果なので、《サイレンス》や《ライオンハート》で無効化できる。またゴースト以外にもメッセンジャーと似たような外見、能力の非実体アンデッドのモンスターとしてはアリップがおり、こちらも参考にした可能性がある(能力として「狂気」「繰り言」など)

さらに追記:メッセンジャーのビジュアルから「サイオニクス・ハンドブック」記載のモンスター「コーラー・イン・ダークネス」が元ネタではないか?という情報が。
11HD、脅威度9 幾つかの擬似サイオニック能力を持ち、この内の「サイキック・クラッシュ」が一応精神攻撃でそれっぽいか?(セーヴ失敗でHP-1になり気絶)
他の特色としては特殊能力「生命の本質を奪い取る」により殺した相手を同化/吸収して顔が増える(HPが12増える)
てかコイツ、2d4のエゴ・ウイップ使い放題じゃねーか、ヤベーな。

*サイオニック・パワー「エゴ・ウイップ」は魅力にダメージを与える超能力。
パラディン以外の前衛は魅力8とかザラなので、このパワーを増幅して食らうと1発で気絶してしまうことも有り得る危険パワー

 

"アインズは自室に戻り、ベッドにダイブする。意外なほど長い滞空時間をかけて、アインズの全身はベッドにもっさりと埋もれるように受け止められる。" 書籍4巻309p

なぜここで「長い滞空時間」という意味不明な描写がわざわざなされているのか?
これはおそらく、落下時に減速し衝撃を無くす呪文《フェザー・フォール/羽毛落下》1Lvの効果描写なのではなかろうか。
この呪文の発動は割り込みアクションであり長時間バフは出来ない為、装備アイテムの効果が自動発動したのでは無いかと思われる(D&D3.5eでは指輪やブローチ、紋章ワッペンといった形のフェザー・フォールが込められたマジックアイテムが存在する)

 


"悪魔。それは暴力による破壊をもたらす魔鬼/デーモン、知恵による堕落をもたらす魔人/デビル、そういった異界の存在をまとめて呼ぶ時の名称である。" 書籍4巻337p

D&Dではフィーンド(魔物)であるデーモン(魔鬼)とデヴィル(悪魔)は種族的に明確に分けられている。
詳細は長くなるんでwikiあたりを見てもらうとして、簡単に言えば
デーモンは“混沌にして悪”の属性 「無限の階層なす奈落界アビス」出身、
デヴィルは“秩序にして悪”の属性 「九層地獄バートル」出身となる。
オーバーロード作中ではあまり明確には分けてないか、D&Dとは区分がやや異なるようだがサンプルが少ないのでなんともいえない。
アルベドを例に挙げれば、インプはデヴィルでサキュバスはデーモン。デミウルゴスは種族アーチデヴィルで秩序属性っぽいが、クラスにカオスとか)