Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

「レベル99冒険者による、はじめての領地経営」D厨向け解説

オバロ新刊まだなの、、このままでは禁断症状が出かねないのでファンタジー成分補給にD&D3版系のネタが多いと噂される、なろう異世界転移物「レベル99冒険者による、はじめての領地経営」を読んでみた、のだが。
もう、なんというかね…いろいろそのまんまじゃねーか!突っ込む気すら起きねーよ!って感じだったのだが、読み進めるうちにそれなりに楽しくなってきたので、D厨の興味を引ける様にちょっと解説してみる。

 

キャラクターとか
主人公:大魔術師ユウト・アマクサ
学生服の上からローブ・オヴ・ジ・アークマギ(白)というその姿は、公式リプレイにすら拒否反応を示すD厨には脱力物だろう、、もっとも書籍のイラストではローブではなく丈の短いコートのようなデザインにされており、今風とはいえこれはこれで自分には衝撃だった。これが大魔道師のローブだって言うのかい!?

戦闘中に次の一手を長考」する為にわざわざタイム・ストップを使う、これは戦闘中の心理描写として無理なく正しいのだろうが、D厨の自分にとってはアクションの無駄使いにしか見えない。

使用する理術呪文は伝統の事前準備型だが、発動時には呪文書から呪文Lv分のページを切り取って投げるという派手な演出がある。


ヒロインその1:"常勝"ヘレノニアの聖堂騎士 ヴァルトルーデ
=ハイローニアスのパラディン
悪を討つ突撃(PHB2)や戦術特技《恐るべき一撃》(勇者大全)を持つ、つよい。
魅力が高く知力が低いのは世のパラディンの常であるが、字も読めないのはどうかと。バーバリアンじゃないんだからw


ヒロインその2:死と魔術を司るトラス=シンクの大司教 アルシア姐さん
ウィー・ジャスのクレリック、えろい。


岩巨人/ジャールートの蛮族戦士 エグザイル
ゴライアスバーバリアン、冷たい鉄製スパイクド・チェイン装備、当然特技は《薙ぎ払い》《足払い強化》を持っている。タイマンでタラスクを殴り倒す。


超能力者/サイオンの少女 ヨナ
サイオンとはいうが、作中でよく使うパワーはディスインテグレイトにサイクロニック・ブラストと秘術呪文ベース?(パワーの方にもサイオニック・ディスインテグレイトにトーネード・ブラストという似たようなのがあった)他にはアストラル・コンストラクトにエゴ・ウイップなどマンチなパワーを使いこなしているが、PP切れをおこすこともしばしば。


草原の種族/マグナーの冒険者 ラーシア
ハーフリングの弓ローグだが秘術系クラスも齧っている模様、急所攻撃が効かない敵に対してはロッド・オヴ・メニィ・ワンズ(魔道師大全)でダメージを稼ぐ


女帝ヴェルガ
北方の帝国を支配する半神、つまりはアイウーズ女体化!なのだが、名前とかから見るにレディ・ヴォルのイメージも入ってる気がする。
あとアイウーズ相当なら父親はグラズドとなるべきだが、ヴェルガの父は悪神ダクストゥムであり、これはヘレノニアと兄弟神であるという、、まあヘクストアやね。


大賢者ヴァイナマリネン
ハゲ&ヒゲの上に名前からしてモルデンカイネンなのだが、狂言回し的な振る舞いやロングソード装備の点などはエルミンぽくもある。


ブルーワーズ世界
グレイホークっぽい名前だが、最大都市の名前がブルーワーズということは無い。
あとはシルヴァーマーチ地方とか、東の果てリ・クトゥア(= カラ・トゥア)や『忘却の大地』(=フォーゴトン・レルム)など、どこかで聞いたような地名が色々出てくるが中身の設定はけっこう違うので注意。


第一章 1.英雄譚の終わり
どうみてもシナリオ「邪悪寺院再び」だが、最終決戦地が空飛んでくるあたりは「邪悪のエッセンス」も入ってる?後にチョイ役だが悪のチャンピオンも出てきたし、力場無効のボスも出てきた。

炎の精霊皇子―イル・カンジュア=エレメンタル・プリンス、火の王アイミックス
絶望の螺旋/レリウーリア=破滅の螺旋 タリズダン

…切りが無いのでもうやめ!

アインズ様、生前のご尊顔

あの尖った長いアゴは何なの?生前は某ミカドのような顔だったのか、それともスケルトンの種族レベルを上げたらアゴが伸びてくるのか、などなど色々ネタにされているアインズ様のアゴ及び生前の顔の謎だが、それについては自分は前々より深く考えずに一つの顔(というかもはやアーキタイプというべきか)を思い浮かべていた。


すなわち
ラブクラフト-嶋田 久作-アビゲイルの系譜に連なる、あの手の顔である。

まあなんというか、ファンタジーオタや卓ゲーマーに馴染み深いというか、クトゥルフ神話やD&Dに関係ない事もないというそんな感じでアビゲイル的な姿を、自然とアインズ様の生前のお姿にオーバーラップさせていた訳ですw


*アビゲイル(BASTARD!!の奴ね)は死人使いという点でもアインズ様と親和性が高い、だだしクラスはクレリックだが。

歩いていこうよ、どこまでも

"アンデッドの肉体であれば飲食は不要だし、呼吸だってそうだ。ならば遥かな頂に足だけで登攀することだって可能だろうし、深海にその身を潜らせる事だって出来るだろう。そうやってこの世界だけの未知の光景を楽しめたに違いない。" 書籍2巻-129p

大魔術師たるアインズが各種魔法を使わずに歩いていくのに拘る点は納得しかねるが、ともかくファンタジーな世界で旅情に浸りたいという気持ちはわかる。


所違えど同じような能力を貰えるなら考えつくのは似たようなものであるらしく、D&D3.5eでの新種族:ウォーフォージドエベロン世界のロボ種族)について公式FAQでこのような質問があった。

Q:ウォーフォージドは呼吸不要だけど海底を歩いて渡れるの?
A:いけるけど水圧ダメージは食らうから注意してね。

まあ落下実験から見るにアインズのダメージ減少では、およそ水深600mぐらいは問題無く歩いていけるだろうが、それにしてもあらゆる所にルールが絡んでくるのが3版らしいといえばらしい。


*D&Dでも広大な未知の世界を前にいろいろ探究心が掻き立てられるが、実際のところ1LvPC達が近所のゴブリン退治とかをしていたのに、いつの間にやら邪悪教団やらデーモンロードの陰謀に巻き込まれ、気が付いたら次元界を股にかけた大冒険という事態に陥っている事が多々あり、なかなか旅情に浸っている暇もない。
また大冒険を生き残り一息ついたころにはプレイヤーの方もしっかり訓練されており、行きたい所といえば「シギルで買い物」とか「パワーアップできる魔法の場所」とかそんな意見ばかりで、物見遊山する心の余裕はすでに無くなってしまっている。

 

追記:深海はいいとして宇宙空間のダメージとか公式ルールには無いだろ常考…とか思っていたが、エピック呪文に「衛星軌道上に打ち上げる」とかいうアホ呪文がありここに書いてあったw
これによると毎ラウンド熱と冷気で2d6、真空による1d4ダメージ及び窒息らしい、まあアインズなら装備で無視できるレベルだろう。

余談だが、上のウォーフォージドに関する質問では他に「死体から装甲板かっぱぐ事出来るの?」とか「ウォーフォージドの脳みそ食べられる?」などといった物があり、ここら辺は非常にゲーマーらしい思考である。
(ウォーフォージドは特技で装甲をミスラルやアダマンティン製にする事ができ、これにより1LvPCとしては破格のACになる。また後者の質問は対マインドフレイアを想定した物)

"鮮血の戦乙女" シャルティア・ブラッドフォールン

女性の人間のヴァンパイア、クレリック15/スロール・オヴ・オルクス4/ウォーリア・オヴ・ダークネス1/ライフドリンカー10 ECL38 脅威度32

混沌にして悪、中型サイズのアンデッド(人型生物の変性種)

ヒット・ポイント:290(30d12+90);高速治癒5

完全耐性:アンデッドの完全耐性

抵抗:[音波、酸、電気、火、冷気]30(指輪)、退散抵抗+4

イニシアチブ+15;知覚 暗視60ft、擬似視覚30ft(アミュレット)

移動速度:20ft 飛行60ft(完璧)

アーマ・クラス:45、接触24、立ちすくみ41 DR10/魔法および銀
(敏捷+4、鎧+13、盾+7、外皮+11)

基本攻撃/組み付き:+21/+30

攻撃:+6スポイトランス= +41近接(1d8+25/×3、加えてHP吸収1d6、生命力吸収2Lv)
または 叩きつけ= +35近接(1d6+13)

全力攻撃:+6スポイトランス= +41/+36/+31/+26

セーヴ:頑健+26、反応+28、意志+37

能力値:筋力36/敏捷力29/耐久力-/知力16/判断力28/魅力34(ポイントバイ32)

技能:〈威圧〉+34、〈聞き耳〉+15、〈視認〉+32、〈呪文学〉+22、〈製作:錬金術〉+6、〈精神集中〉+40、〈捜索〉+21、〈知識:宗教〉+5、〈知識:神秘学〉+9、〈跳躍〉+20、〈はったり〉+20、〈変装〉+17

特技:《イニシアチヴ強化》《鋭敏感覚》《回避》《神速の反応》《迎え討ち》《鋼の意志》《強打》《薙ぎ払い》《悪の烙印》《デーモンの奴隷》《リッチの愛》《畸形:痩身》《天性の飛行者》《飛行機動性強化》《信仰の威力》《信仰の活力》《信仰の盾》《Endure Sunlight》《エピック級追加hp》《欺きへの献身》

欠点/Character Flaws:《Brash》《Inattentive》

*キャラクターの欠点は未訳サプリ「Unearthed Arcana」及びドラゴン誌に掲載された選択ルール、1Lv時に最大2つの欠点を得る代わりに特技を得られる。
Brash:軽率、機会攻撃に対するACに-6ペナ
Inattentive:注意力散漫であり〈聞き耳〉〈視認〉に-4ペナ

装備
〈スポイトランス〉:+6スターメタル製ランス(ヴァンピリック、ネクロティック・フォーカス)、+5ミスリル製フル・プレート(ダークソウル・プロテクション、ニンブルネス、ゴースト・ウォード、サンクティフィド)、+5ミスリル製ヘヴィ・シールド(アニメイト、ゴースト・ウォード)、ヘルム・オヴ・ライチャス・ウォー、ドラゴンズアイ・アミュレット、ウィングズ・オヴ・フライング、ヴェスト・オヴ・レジスタンス+5、ベルト・オヴ・マグニフィスンシェ+6、クリムゾン・ドラゴンハイド・ブレイサーズ+5、ゴースト・ガントレット、グレーター・リング・オヴ・ユニヴァーサル・エナジー・レジスタンス、リング・オヴ・イヴェージョン、ブーツ・オヴ・スピード、アイウーン・ストーン(薄い緑色)

種族能力
アンデッドの種別 :下記リンク参照、パスファインダーRPGではHPの算出やBABが変更されているので注意。
d20SRD PRDJ

ヴァンパイア・テンプレート
d20SRD PRDJ

基本クラス:クレリック
クレリック17Lvとしての信仰呪文発動能力を持つ
9Lv呪文まで 術者Lv17

1日の呪文数:6/8+1/7+1/7+1/7+1/6+1/5+1/4+1/3+1/2+1;DC=19+呪文Lv

アンデッドの威伏/支配(超常):クレリック15Lvとして、1日15回。

オーラ(変則):自分の属性に応じたオーラを発する。

「旅」の領域特典:1日合計15Rフリーダム・オヴ・ムーヴメント呪文の効果を受ける、〈生存〉 がクラス技能になる。

「欺き」の領域特典:〈隠れ身〉〈はったり〉〈変装〉がクラス技能になる。

任意発動(領域呪文):準備していた呪文を、同呪文レベル以下の「旅」の領域呪文へ発動時に変換できる。


上級クラス:スロール・オヴ・オルクス

腐臭の悪臭(変則):半径10ftの範囲に猛烈な臭いを振りまくことができ、頑健ST(DC14)に失敗した生きているクリーチャーは4Rの間、攻撃ロール、武器ダメージ、セーヴ、技能判定、能力値判定に-2ペナルティ。

タッチ・オヴ・フィアー(擬呪):コーズ・フィアー呪文の効果を発生させられる(10術者レベル、1日3回)

デーモン・ウィングズ(超常):1日1回1時間、巨大な黒い翼を背中に生やして通常の地上移動速度で飛行することができる、機動性は標準。

超痩身(超常):《畸形:痩身》をボーナス特技として得る。


上級クラス:ウォリアー・オヴ・ダークネス

黒魔法オイル(超常)「悪の怒り」:全力攻撃アクションを取りながら、同時に移動アクションを行うことができる(1日合計3R)


上級クラス:ライフドリンカー

生命の井戸(変則):盗んだ生命エネルギーを「生命の井戸」に格納しており、ライフドリンカーの能力を使用する際に必要なパワーを引き出す。生命力吸収攻撃によって与えた負のレベル1Lvにつき2ポイント、吸収した耐久力値に等しいポイントの生命の井戸ポイントを得る、最大30ポイント。生命の井戸が0になると意志ST(DC20)を行わなければならず、これに失敗すると一時的に発狂し目にしたあらゆる生きているクリーチャーを攻撃する。

元気づけ(変則):生命の井戸を1ポイント使用して、1d6の一時的ヒットポイントを得ることができる。この一時的hpは24時間持続する。1日につき10ポイントまで使用可。

超元気づけ(変則):元気づけで一度に消費したポイントに等しい値だけ、筋力値に強化ボーナスを得る。

呪文向上(変則):呪文を発動する場合、生命の井戸ポイントを使用して呪文修正特技の効果を適用できる。
《呪文レベル上昇》2ポイント消費
《呪文威力強化》4ポイント消費
《呪文威力最大化》6ポイント消費
《呪文高速化》8ポイント消費

特殊攻撃向上、威力強化(変則):生命の井戸を4ポイント使用して、特殊攻撃の変数となっている数値効果を1.5倍にする。

特殊攻撃向上、威力最大化(変則):生命の井戸を6ポイント使用して、特殊攻撃の変数となっている数値効果を最大化する。

血の下僕:生命の井戸を10ポイント使用して、レッサー・プレイナー・アライ呪文の効果を使用できる。招請されるクリーチャーは悪属性のみで、自動的に24時間この者に仕える。

防御向上(変則):生命の井戸を10ポイント使用して24時間のあいだ、外皮ボーナスと退散抵抗に+2、[電気]への抵抗と[冷気]への抵抗に+10を加え、ダメージ減少を10/銀および魔法および善に向上させることができる。

大吸血(変則):吸血能力により1d6ポイントの耐久力吸収。

血宴(変則):この者が犠牲者から吸血した場合、次のターンの開始時にフリー・アクションとして、"血宴"と呼ばれる状態に入ることができる。この状態は10R持続し、筋力に+4不浄ボーナスを得、ダメージ減少が15/銀および魔法および善に向上し、高速治癒10に上昇、にんにく、鏡、聖印、流水に対する弱点と、太陽光への脆弱性を無視できるようになる。
しかしながら血宴状態では生きている敵から逃げることができず、毎ラウンド物理的な攻撃を行わなければならない。血宴状態はこの者が終了を選択するか、10Rが経過するか、攻撃範囲内に生きている敵がいなくなるまで継続する。
血宴状態が終了したなら0hpになったかのように、2時間以内に自身の棺にたどり着かなければならない。これができなかった場合には、完全に滅びる。

*上記の上級クラス3種はすべてD&D3版「不浄なる暗黒の書」記載のものであり、技能やダメージ減少を3.5eに適合させる為、デザイナー(モンテ)の意見を纏めた非公式アップデートを使用した。

 

 盛りに盛った30HD、有効キャラクターLv38である。
しかしまあ、これって強いのかなあ?
キャラ再現に注力しつつ、自分が思いつく限りの強化を施しはしたが(普段は自重する欠点ルールやディセクレイトされた場所での創造によるHPの増大など)なにぶんエピックなキャラメイクなんて初めてだし、このレベル帯での戦闘というのがどういった物になるかはちょっと想像がつかない…

9Lv呪文(タイム・ストップも)を高速化発動、自由行動に身かわし、擬似視覚に各種アンデッドの耐生、移動してのフルアタック、バフれば一時HP+60、ACは70いくだろうし生きている相手ならグレートワーム・ゴールドドラゴンにも殴り合いで負けないだろうけど、高レベルなプレイングをしている人から言わせれば「命中やACに目が行っている内は、まだまだ素人」らしいので。

あと、このレベルのエピックキャラの資産は「歩く国家予算」とも言えそうな甚大な物であり、なんでも買えるぜ!と喜び勇んでみたものの、エピックアイテムは値段10倍ルールを今回始めて知り戦慄、上記の装備品ではスポイトランスのみで資産の半分近くを消費することとなった。
原作でもスポイトランスのみが神器級らしいので、これはこれでいいんだけど。

 

ドラゴンのモンクって強いの?(及びセバスのキャラメイク妄想)

セバスの種族及びクラス構成の考察などでたまに見られるこの疑問だが、D&D3.5eではキャラメイクにおける様々な要素と質問者の意図によりいろいろ答えが変わってくるので、まあ一通り考えてみる。


まず、歳経りたドラゴンにモンクを1,2レベル混ぜ込む構成だが、これは強い。
モンクは1,2Lv目で降ってくる特殊能力及びボーナス特技が多く、さらに全てのセーブが良好に伸びるので、防御的な能力を得るのが目的なら鎧を着ることが滅多に無いであろうドラゴンとすこぶる相性は良い。(具体的には"身かわし"とACへの判断力ボーナスがおいしい。攻撃能力を伸ばすならライオントーテムのバーバリアンが鉄板だろうが)

しかし、上記のモンク混ぜドラゴンがモンクとして強いのかと言えば、そうとは言えない。
モンクの特殊能力の一部、特に「素手打撃/Unarmed Strike」のダメージダイスの大きさや連打における追加攻撃はクラスレベルによって増大するものなので、それなりに成長したドラゴンなら素手打撃で連打するよりも生来の肉体武器、すなわち噛み付き、爪、爪、翼、翼、尾による6回攻撃、通称ドラゴン乱舞でフルアタックしたほうがよっぽど強い。

こういった場合モンクは2Lvまでで止めとくのが正解だろう。


もう一つセバスの能力にも関わるものだが、モンクがもし大きなドラゴンに変身できたとしたら、これもかなりの強化となる。

これは単に肉体能力値の増大というだけでは無く、モンクの素手打撃はクラスレベルの他に体のサイズによっても大きく変化する為だ。特に高Lvによりダメージダイスが大きいほうが、サイズアップによる増大量の恩恵も大きくなる。

*具体例を挙げれば1Lv中型モンクの素手1d6が超大型サイズになったところで2d6、期待値3.5アップに過ぎないが、これが20Lvの2d10が超大型になると6d8、期待値16アップと大きく増大する事になる。

 

以上を踏まえた上で、セバスの種族「竜人」および「ドラゴン変身」をD&D3.5eでどうやって再現するか…

D&Dはドラゴンの名を冠するゲームだけあって、人型の竜の種族もやたら多い。
和訳された分でぱっと思いつくだけでもハーフドラゴン、ドラコニック・クリーチャー、ドラゴンキン、ドラゴンボーン、特技《ドラゴンの末裔》による竜の血脈などいろいろあるが、強い種族でレベル調整値が大きいとモンクとして弱体化するし、姿が人間ぽく無いのもアレなんでここは未訳サプリ「Dragon Magic」からシルヴァーブロウ・ヒューマンを引っ張ってくることにする。

これは先祖にシルヴァー・ドラゴンを持つ人間の種族で「竜の血」の副種別を持ち技能ポイントのボーナスが無い所を除けば、普通の人間と大して変わらない。

*乙女に変身したシルヴァー・ドラゴンと騎士とのロマンスというのはD&Dではよくある話であり、たぶんそんな設定なんだろう(D厨はゲームデータは読めても英文は読めないのが多数である)

この種族でモンクレベルを上げるにしてもドラゴン変身は出来ないし、セバスが呪文を使える描写も無いので、変身能力はクラスで引っ張ってくる事にする。

ドラゴンの力を得るモンク系上級クラスというのもD&D3.5eには当然のように幾つかあり、その中でも「ドラコノミコン」記載のクラス「イニシエイト・オヴ・ザ・ドラコニック・ミステリーズ」では10Lvの能力に「竜身変化」があり、これで超大型サイズのドラゴンに変身できる。


モンク20/イニシエイト・オヴ・ザ・ドラコニック・ミステリーズ10でドラゴンに変身した素手打撃のダメージはというと…

モンクの素手打撃の伸びは20Lvが上限なのだが、ドラコニック・ミステリーズの素手強化は少々特殊でモンクLvに累積させるのではなく、サイズ上昇となっておりエピックモンクの強化に非常に都合がいい。

中型サイズ素手打撃上限が2d10、クラス能力で6d8がさらにドラゴン変身で12d8、超巨大サイズ相当の期待値54!ロマンがあるね~。
ただしここまで高レベルキャラだと、装備品が変身時に溶け込んで機能しなくなり、微妙に弱体化という問題にぶち当たるかも知れんがw

"疾風走破" クレマンティーヌ

人間のスワッシュバックラー3/ソードセイジ3/アヴェンジング・エクスキューショナー4 ECL10 脅威度10

混沌にして悪、中型サイズの人型生物

ヒット・ポイント:61(3D10+7D8+10)

イニシアチブ:+7

移動速度:40ft

アーマ・クラス:23、接触23、立ちすくみ17

基本攻撃/組み付き:+8/+10

攻撃:+1ダガー= +16近接(1d4+3/19-20)
*特技とクラス能力により敏捷&知力修正値を足すと1d4+11

または高品質のモーニングスター= +11近接(1d8+2)

全力攻撃:+1ダガー= +16/+11

セーヴ:頑健+6、反応+15、意志+11

能力値:筋力14/敏捷力22/耐久力12/知力14/判断力14/魅力8(ポイントバイ32)

技能:〈威圧〉+14、〈隠れ身〉+18、〈軽業〉+21、〈聞き耳〉+12、〈視認〉+9、〈忍び足〉+18、〈脱出術〉+13、〈知識:宗教〉+4、〈知識:地域〉+6、〈跳躍〉+19、〈はったり〉+6、〈平衡感覚〉+13

技能の離れ業:〈屈曲突撃〉〈立ち直り〉〈軽業襲撃〉

特技:《武器の妙技》《回避》《強行突破》《一撃離脱》《捕らえがたき標的》《Shadow Blade》《武器熟練》

装備
+1ミスリルダガー(スペル・ストアリング)×4本、高品質のモーニングスター、高品質のレザー・ビキニアーマー、クローク・オヴ・エルヴンカインド、ブレイサーズ・オヴ・アーマー+3、グラヴズ・オヴ・デクスタリティ+4、リング・オヴ・プロテクション+2、ブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング

基本クラス:スワッシュバックラー
ボーナス特技:《武器の妙技》

優雅なる反応(変則):軽装時、反応STに+1の技量ボーナス

技の冴え(変則):軽装時、軽い武器使用時に[知力]ボーナスをダメージに足せる(急所攻撃と同じく精密さを必要とする攻撃)


基本クラス:ソードセイジ
伝承者レベル6
修得武技 8
準備済武技 5
修得構え 2

流派専念/discipline focus(変則):選択した流派武器について《武器熟練》

素早き反応/Quick to act(変則):イニシアチヴ判定に+1ボーナス

ACボーナス(変則):軽装時、ACに判断力ボーナス


上級クラス:アヴェンジング・エクスキューショナー
急襲攻撃(変則):ACに敏捷力ボーナスを加えられない状況にある相手に対する攻撃で+2d6追加ダメージ

血塗られた刃(変則):急襲攻撃でダメージを与えるたび30ft以内の敵は、意志セーヴ(DC13)に成功しなければ4Rのあいだ怯え状態となる。攻撃者よりHDが高いクリーチャーには無効。[恐怖、精神作用]効果

迅速威圧(変則):移動アクションで“相手の士気をくじく”ことができる

いたぶりの刃(変則):怯え状態や恐れ状態や恐慌状態にあるクリーチャーを、立ちすくみ状態として扱う

 

D&D3.5eで軽戦士は不遇気味なのだが、それなりのダメージは出せるようにがんばって組んでみた。それでもこれでフルアーマーガゼフに勝つのはきつい、てかこのレベル帯で体得持ちファイターとまともに切り結んで生き残れるキャラは少ないと思う。

このデータでは特技《捕らえがたき標的》によりガゼフの《強打》を無効化出来るのでフルアタックですぐ死亡と言う事はないだろうが、それでもこちらの急所攻撃に軽業襲撃、スワバの技の冴えが鎧と直感回避で無効化されるのでダメージを出すのが難しい。


クレマンが勝機を見出すとしたら、モモンへの最後の攻勢のように1R目で一気に勝負を掛ける事となるだろう。

先攻できたなら、まずはシャドウハンド流の構え「チャイルド・オヴ・シャドウ」をとりつつ近づく(視認困難で20%ミス)
ガゼフに隣接したならそこからタイガー・クロー流の武技「ウルフ・ファング・ストライク」で二刀攻撃、蓄積した呪文も全開放。
すぐに武技「サドン・リープ」で即効ジャンプ、ガゼフから離れる(フルアタック避け)

これで上手く両方当れば…期待値52か、1ターンキルは無理っぽい、てか鎧のダメージ減少が地味に効いてくるな。
以降のラウンドの戦闘ではガゼフも武技を使って防いでくるだろうし、一撃離脱でチクチクやるにしても待機アクションで切られるだろうし…ジリ貧だなあ。

クレマンさんはガゼフより移動力も高いんでヤバくなる前に逃げ切れるだろうが、なんというか相性悪すぎ。

 

*ビキニアーマーは非公式同人サプリ「ビキニ大全/Chainmail Bikinis」からの登場。せっかくの同人データだが、特殊ルールの裸体防御とか使わないとAC0と防具として意味無しなので別途ブレイサーズ・オヴ・アーマーを買う羽目となった。

*武器がスティレットじゃないじゃん、とお思いかもしれないがサプリメント「武器・装備ガイド」によると、イタリアでのダガーの別名がスティレットらしいので…なんか納得がいかないが、ダガーはシャドウハンド流派武器でありキャラメイク的に色々都合がいいので、この記述を見つけた時は正直よっしゃ!と思ったw

*「無頼大全」の上級クラス:アヴェンジング・エクスキューショナーはクラスの前提条件の一つに「何らかの悲惨な目にあった経験がある」とあり、クレマン子さんの過去を考えると正にうってつけである。

異形種の使い勝手

ユグドラシルプレイヤーでの間では異形種をPC種族として選ぶことは「玄人好み」とされており、苦労の割にさほど有利ではなさそうである。

じゃあD&Dではそこんとこどうなのよ、PC種族向けではないモンスターをPCとして使えるの?って話なのだが、D&D3.5e「モンスターマニュアル」ではけっこうな数のモンスターデータに「レベル調整値」が記載されており、そのクリーチャーの種族ヒット・ダイス(オバロでの種族レベル)+レベル調整値を「有効キャラクターレベル」とし、プレイヤーキャラとして使用できる。

*例をあげるとリザードマンリザードフォークの種族HDは2、レベル調整値は+1なので3LvPCとして使用を開始し、そこにクラスLvを積んでいく事になる。(通常のPC種族と同様に能力値の調整は出来る)

*リッチやヴァンパイヤにデス・ナイトなどは種族レベルがあるオバロとは違いテンプレートなので、適用できる種族に足してデータを作る形となる。


んで実際の使い勝手はどうかというと、レベル調整値がある=ルール的にPCとして使用できる種族データは多いのだが、レベル調整値すなわちレベルへのペナルティが大きすぎて使い物にならないのが大半であり、これらは実質使うなと言われているようなものである。

前衛クラス向けにはまだイケそうな種族はいくつかあるが、これが術者や技能役(シーフ、スカウトなど)むけとなると使えるデータは殆ど無い。

オバロでのナザリックのみなさんのように、リッチにヴァンパイア、ワーウルフサキュバスとマインドフレイヤドッペルゲンガーというオール怪獣大進撃でヒャッハーするのは、D&Dでは夢のまた夢である。


*エントマのベースとしたアレイニアなどのように素でソーサラーとしての能力を持つモンスターもいるが、ソーサラーで成長が2Lv以上遅れるのはけっこう致命的。20Lvの時点で9Lv呪文が使えないというのもあるが、一番の問題はシナリオがそのレベルで持っているであろう能力を要求してくるという事。例えば英雄の領域ともなれば、長距離テレポや強力な占術による事前調査が必要となってくるし、敵も当然同様な戦法を使う可能性がある。別次元に飛ばされることもありえるし、5Lv呪文使えないから暢気にウマにのって移動と言うわけには行かなくなってくる(いや、呪文でブーストした馬は速いけどねぇ)要するにシナリオによっちゃ詰みかねない。

*技能役の方はといえば、D&D3.5eでのキャラメイクのルールとして「1Lv目は貰える技能ポイントが4倍」というのがあり、このため技能役は1Lv目はローグやスカウトなど取得技能ポイントが多いクラスでスタートするのが定石、1Lv目が種族HD固定のクリーチャーで技能役をやるのは、よほどの種族ボーナスがないと厳しい。

*基本ルールであるモンスターマニュアルから強力かつ低めのレベル調整値で使える種族をピックアップするとしたら、ケンタウロスミノタウロスかなあ。前者はランスを持って突撃すれば騎乗扱いで2倍ダメージ、後者は頭の角で突撃すればダメージが増える上に命中+9(ハリケーンミキサー!)と、共にチャージャーとして強力な能力を持っている。これらを生かすよう千鳥足チャージな酔拳使いとかでキャラメイクしたい所。

*使い物にならないのが大半とはいえ、大量のサプリメントを漁りPCとしても強力な種族やテンプレートを探し出すというのもD&D3.5eの楽しみの一つであった。たまにはこんなぶっ壊れデータもあるし。

*未訳サプリ「Savage Species」や「自然の種族」にはケンタウロスほかミノタウロスなどを1Lvから使用するルールが提示されている。
すなわち、種族HD1のかなり弱い能力値でスタートし、レベルアップとともに少しずつ能力値が伸びたりHDが増えたり特殊能力を得たりサイズが中型から大型化したりして最終的に標準的なモンスターデータと同じになる。
このルールではオバロのように種族レベル1止めは出来ないが、くがね氏的にユグドラシルではこのような成長を想定しているのだろう。

 

追記:異形種全般はともかく、アンデッドって耐性いっぱいあって有利過ぎない?という意見が見られるが、D&D3.5eでもこれはとても強力であり、呪文で得るとしたら死霊術8Lv呪文の効果である。当然の結果「ロールプレイなぞ犬にでも食わせとけ」的パワープレイヤーは、許されるなら単発シナリオで殉教者0Lv混ぜなどというえげつない手法でアンデッド(デスレス)の体を手に入れようとしたりする事も。

ただ、D&D3.5eのアンデッドはヒット・ダイスがd12固定で耐久力などの修正が付かない為、高レベルになるほどヒットポイントが見劣りしてくるなど前衛としてはきつい部分もある(パスファインダーRPGではヒット・ダイスd8に魅力修正値が乗るよう改定された)。

ここらのゲームバランスをユグドラシルでどのように調整していたのか、(アンデッドの種族レベル1止めとかどうなの?とか)ちょっと気になる部分ではある。