Tomb of the Overlord

オーバーロード 元ネタ考察 備忘録

「ソス卿はどうしてデスナイトになったんですか?」

エルフとか好きだから!

もはや懐かしいあずまんがネタは置いといて、オバロ作中で描写が多くまたレベルやスキルが判明している、フールーダが支配できなかったなど、考察ネタには困らないモンスターのデス・ナイトである。

D&D系においてデス・ナイトは古くからある有名モンスターの一つであり、この視点からオバロのデス・ナイトの能力とか考察できないかと思いAD&D1st、2nd、D&D3.0e、D&D4th、D&D5thなど各版のデスナイトのデータを調べてみたのだが…どれもオバロの能力設定に似ているところが無い、全くの無駄足だった。


これだけで終わるのも忍びないので余談として付け加えると、D&Dシリーズでデスナイトが人気者な理由の大半は小説「ドラゴンランス」シリーズでかっこいい悪役の「ソス卿」として出演した為。


*なんとなく自分の中でソス卿はエルフ萌えの第一人者というイメージがあったが、冷静に考えればそんな事はないし、キティアラはビキニアーマーを着ているようなイメージがあったが、そんな事もなかった。

 

追記:Lord Sothでググってみると、やたらとソス卿VSダース・ベイダーが引っかかる(D&D系で無いキャラだと他にはソスVSウィッチキングとか)
まあ有名人気ヴィランの宿命というべきものかw

 

さらに追記:AD&D1st~3eまでの歴代デス・ナイトに共通する特性の1つに、アンデッド退散/Turn undeadに完全耐性を持つというささやかな(そして珍しい)能力がある。
ところ変わって初代ファイナル・ファンタジーにおいてもデスナイトは種族カテゴリをアンデッドとせず追加耐性でアンデッドの特性に寄せるという手法により、不死系でないからディア系魔法が効かない≒ターンアンデッド無効、としてこの能力が再現されている。

AD&D1stのモンスター丸パクリで有名なFF1ではあるが、なにもここまで力業で再現しなくても…と思わなくもない。

"王国戦士長" フルアーマーガゼフ

人間のウォーブレード6/ファイター2 ECL8 脅威度8

秩序にして善、中型サイズの人型生物

ヒット・ポイント:87(6D12+2D10+32)

イニシアチブ+3

移動速度:20ft

アーマ・クラス:22、接触13、立ちすくみ17 ダメージ減少3/‐

基本攻撃/組み付き:+8/+17

攻撃:+1レイザーエッジ= +17近接(1d10+12/19-20)
または高品質のコンポジット・ショートボウ= +10遠隔(1d6+5/20×3)

全力攻撃:+1レイザーエッジ= +17/+12

セーヴ:頑健+14、反応+6、意志+8

能力値:筋力20/敏捷力12/耐久力18/知力12/判断力14/魅力10(ポイントバイ32)

技能:〈騎乗〉+7、〈交渉〉+7、〈精神集中〉+14、〈知識:貴族および王族〉+6、〈知識:地域〉+6、〈知識:武勇伝〉+8、〈跳躍〉+10

特技:《強打》《薙ぎ払い》《迎え討ち》《鋼の意志》《武器熟練》《武器開眼》《近接武器体得》

装備
〈レイザーエッジ/剃刀の刃〉、高品質のコンポジット・ショートボウ、〈ガーディアン/守護の鎧〉、〈ガントレット・オブ・ヴァイタリティ/活力の籠手〉、〈アミュレット・オブ・イモータル/不滅の護符〉、クローク・オヴ・レジスタンス+2、ベルト・オヴ・ジャイアントストレンクス+4、アームバンド・オヴ・マイト、リング・オヴ・プロテクション+2、ポーション・オヴ・キュアモデレートウーンズ、ポーション・オヴ・フライ

クラス能力:ファイター
ファイターボーナス特技×2

クラス能力:ウォーブレード
伝承者レベル7
修得武技 6
準備済武技 4
修得構え 2

武器適性/weapon aptitude(変則):一定のファイターLvが必要な特技取得条件において、ウォーブレードのクラスLv-2がファイターLvとみなされる。
また毎朝、武器訓練に1時間を費やすことにより、1種類の武器にしか適用されない修得済みの特技の適用される武器を変更できる。

戦時の冴え/Battle clarity (変則):立ちすくみ状態でない限り、反応セーヴに知力修正値に等しい洞察ボーナスを得る。

直感回避(変則):立ちすくみ状態になったり、不可視状態の敵に攻撃されたりしてもACへの敏捷力ボーナスを失わない。

戦闘の熱狂/Battle ardor(変則):クリティカル・ヒット確定ロールに知力修正値に等しい洞察ボーナスを得る。

直感回避強化(変則):挟撃されない。


アイテム解説
〈レイザーエッジ〉:+1バスタードソード、フォース
力場属性によりあらゆるダメージ減少を無視し、非実体にも命中する。*本来は射出武器専用の能力

〈ガーディアン〉:+1アダマンティン製フルプレート、ヘヴィ・フォーティフィケイション
クリティカル・ヒット及び急所攻撃を無効化、ダメージ減少3

ガントレット・オブ・ヴァイタリティ〉:サンダルズ・オヴ・ザ・ヴァガボンド(勇者大全記載)の部位スロット変更
過労状態への完全耐性、イニシアチブ判定に+2の幸運ボーナス。
あんまりファイターに過労耐性とか要らないような気もしたが《レイ・オヴ・イグゾースチョン/過労光線》対策にはなるか。

〈アミュレット・オブ・イモータル〉:アミュレット・オブ・ヘルスにリング・オヴ・リジェネレイションの能力追加
耐久力に+2、1時間ごとにキャラクターLvに等しいポイントのダメージを回復するようになる。
値段の割りに弱い…他にもまともにHP自動回復(高速治癒)させてくれるアイテムも有るにはあるが(MIC,ELH)とてつもなく高価であるので妥協してこの程度に。

アームバンド・オヴ・マイト:冒険者大全記載
各筋力判定に+2、《強打》2ポイント使用時に追加で+2ダメージボーナス

 

*Tome of Battleの強クラス:ウォーブレードにボーナス特技がおいしいファイター2Lvを混ぜて、最短で《近接武器体得》を取得するガチ鉄板構成でキャラメイクしてみた。
取得特技は凡庸だが命中が十分高い為、これなら強打に2点入れて(命中-2、ダメージ+6)フルアタックすればブレインを2R、ハムスケ3Rで倒す事ができる。子山羊も楽勝!

アイテム関係は、D&D3.5eのルール内でがんばって再現したつもり。ちゃんと価格計算すれば8LvPCの資産を遥かに上回ってるだろうが、まあキャラ再現だから仕方ない。

あとこのデータではアニメ4話のジャンピング竜巻アタック≒武技ミスラル・トルネードの前提条件を満たしているものの習得出来ていない。
これは8Lv目にファイターを取らなければ武器体得が取得できない為である。
クラス構成をいじらずに使いたいのであれば、特技《武技追加/Martial Study》を呪文「ヒロイックス」で一時取得する、マーシャル・スクリプトを読んでおくなどして各自調整願いたい。

オーバーロード 山小人の工匠 カバーイラスト

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ご存知11巻の表紙だが、なんとなく似ているもの(*個人の感想です)を集めてみた

 

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まずはD&Dベーシック・ルール・セット(1983年クラシックD&D4版、1985年に邦訳)のボックスアート、ラリー・エルモアの手による有名なイラストである。なおこの装丁はD&D4版スターター・セット(2010年、ややこしい)にも同じものが使用された。

 

「財宝を抱えたドラゴンと対峙する冒険者」という構図は、D&Dにおいてはベーシック・ルール・セット第2版(Holmes版、1977)などにすでに見られるが、これについてはトールキンの『ホビットの冒険』におけるスマウグのイメージの影響が大きいものと思われる。

 

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これはクラシックD&D第6版1994年の物、ジェフ・イーズリーによるかっこいいイラストで好きなのだがネットで見かけてから長年、なんの本か知らなかったw

 

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指輪物語の昔の文庫本の表紙、腰の引けっぷりがゴンドのそれを連想させられる。

 

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ついでに日本ファルコムドラゴンスレイヤー1984年。自分はpc-88でソーサリアンファミコンでドラスレ4をやりこんだ口ではあるが、こちらは未プレイ

 

『山小人の工匠』ではオラサーダルクが腹の下に財宝を抱えている点で赤箱オマージュなのか、遡ってスマウグなのか。どちらかが元ネタとなっているのは間違いないだろうが…まあ縦の構図でドラゴンに対峙するようなイラストとなると、どれも同じような物になっちゃうのかもしれない。

 

追加

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ドラゴンクエスト』1986年
なぜかドラクエのこの絵をすっかり忘れていたのだが、魔法陣グルグルを見ていて思い出したw

*国産電源系RPGとして下記『夢幻の心臓』の直系なのは間違いないが、ロゴにドラゴンと剣の意匠をあしらった点は『ドラゴンスレイヤー』と同様である。

 

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夢幻の心臓1984年 PC88版 起動画面
システム含め、ドラクエへの影響が大きい

というかドラクエ、ドラスレに限らず、1983年前後のPC88、和製CRPG黎明期にはやたらとこのような「ドラゴンと対峙する戦士」の構図が多い。(コレとかコレとかコレとかコレ

これら諸々のイメージソースは、おそらく赤箱オマージュではなく『ウルティマ/Ultima』(1981)付属のカバーイラスト(ペラ紙のカラーイラスト及びマニュアルのモノクロイラスト)が源流になっていると思われる。

 

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鏡の国のアリス1871年ジョン・テニエルによるジャバウォックの挿絵
竜退治ではないが、知名度的にこれが一番の源流な気がしてきた。

"竜殺し"の伝説といえば聖ゲオルギオスが有名だが、そちらは馬上から突き下ろしている画が主流だし。

 

さらに追加

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ゴブリンスレイヤーTRPG 限定版』2019年
赤色のボックス入りセットという点からしてD&Dベーシック・ルール・セット(赤箱)のオマージュなのは疑いようがないが、キャラが多い分イラストの赤箱ボックスアート感は薄れてしまっている…のだが。

 

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『D&Dベーシック・ルール・セット』パッケージイラストのラフ画(2017年になって発掘された)
エルモアによると、イメージについてガイギャックスに意見を求めたところ、身を乗り出し両手を爪のように立て、ドラゴンが「あなたに向かって飛び出してくる」ようにと提案、さらに上記水彩ラフ画を戦士とドラゴンをクローズアップした構図に変更させたことにより有名な赤箱ボックスアートが完成した。
ご覧の通り破壊された石柱や杖を持った女性のポーズなどがゴブスレTRPGのイラストと類似している。もしこの没イラストがゴブスレTRPGのオマージュ元なのだとしたら、ずいぶんとまあ狭い所から引っ張ってきたものである。

 

もひとつ追記:『Dungeons & Dragons Art & Arcana: A Visual History』(ごつい400ページ越えのビジュアルガイド本)からの情報によると、D&Dの原型となったミニチュアウォーゲーム『Chainmeil』(1971)ファンタジー追加ルールの章に描かれた「竜に立ち向かう騎士」のイラストは、J.R.R. トールキン著『農夫ジャイルズの冒険』挿絵の模写から生まれたものだという。

*上が『農夫ジャイルズの冒険』(1949)、下が『Chainmeil』(1971)の挿絵

『Chainmail』ファンタジーサプリメントのドラゴンの項目では『ホビットの冒険』に登場するグレート・レッド・ドラゴン(つまりスマウグ)を引き合いに出しており、さらにはウォーゲームという性質上「五軍の戦い」を彷彿とさせるゲームになっているが、
「ドラゴンと対峙する冒険者」というビジュアル系譜の源流については同じ「トールキンの黄金竜」であっても『ホビットの冒険』のスマウグではなく、正確には長者黄金竜(Chysophylax Dives)とジャイルズの遭遇シーンということになる。

 

上記イラストの構図は聖ゲオルギオスの竜退治画によく似たものも見られるが、それらに比べ騎士より竜のサイズがだいぶん大きくなっている。これが「剣と魔法」の小説ブーム及びRPGの興隆によりドラゴンのイメージがさらに強大化していった結果、「巨大なドラゴンの手前に戦士」という赤箱カバーアートのような構図が蔓延るようになったのだろう。

ブレイン・アングラウス

人間のケンセイ5/ソードセイジ2 ECL7 脅威度7

秩序にして中立、中型サイズの人型生物

ヒット・ポイント:54(5D10+2D8+14)

イニシアチブ+7;知覚 暗視60フィート

移動速度:30ft

アーマ・クラス:19、接触15、立ちすくみ17

基本攻撃/組み付き:+6/+10

攻撃:カタナ= +13近接(1d10+8/19-20×2)

全力攻撃:カタナ= +13/+8

セーヴ:頑健+7、反応+7、意志+7

能力値:筋力16/敏捷力15/耐久力14/知力12/判断力14/魅力8(ポイントバイ32)

技能:〈軽業〉+13、〈聞き耳〉+9、〈真意看破〉+9、〈職能:農夫〉+5、〈精神集中〉+12、〈知識:武勇伝〉+6、〈跳躍〉+14、〈平衡感覚〉+8

特技:《イニシアチヴ強化》《回避》《迎え討ち》《特殊武器習熟》《武器熟練》《武器開眼》《クリティカル・ロール強化》

主な装備
カタナ、高品質のチェイン・シャツ、ゴーグルズ・オヴ・ナイト、ヴェスト・オヴ・レジスタンス+1、リング・オヴ・マイナー・スペルストアリング、リング・オヴ・プロテクション+1、ベルトポーチ、ポーション・オヴ・ブルズ・ストレンクス、ポーション・オヴ・キャッツ・グレイス、オイル・オヴ・マジックウェポン

クラス能力:ケンセイ
選択武器(カタナ)の命中、ダメージに+2ボーナス

Rain of Blows:全力攻撃時1回の追加攻撃ができる。最も高い基本攻撃ボーナスで行うが、-3のペナルティ

クラス能力:ソードセイジ
伝承者レベル4
修得武技 7
準備済武技 4
修得構え 2

流派専念/discipline focus(変則):選択した流派武器について《武器熟練》

素早き反応/Quick to act(変則):イニシアチヴ判定に+1ボーナス

ACボーナス(変則):軽装時、ACに判断力ボーナス

 

*基本クラス:Kensaiは、「戦士大全」の上級クラスの方ではなく、Dragon #310出展のスペシャリスト・ファイター。
軽装のみの習熟しか持たないが、選択した一つの武器が強くなるヴァリアント。
技能も通常のファイターから変更され<軽業>も取れるんでアタッカーとして強い。

ブレイン装備の〈瞳の首飾り/ネックレス・オブ・アイ〉について
D&D3.5eには盲目耐性や暗視を与えるアイテムもあるが、どれもアミュレット枠では無い。DMG及びMICの部位スロット変更、能力追加ルールを使えば再現できるがこの手は勢いマンチに走り気味となる為、本に載ってないアイテムは自作を禁止するDMも多い。というわけでとりあえずゴーグルズ・オヴ・ナイトで暗視を付けといた。

キャラデータ的にカタナには能力:キーン(クリティカルレンジ倍化)でも付けたい所だが、〈神刀〉は設定上、魔化されていない様なのでそのままに。マジックウェポンのオイルも持ってるし。

あとソードセイジの武技は流派:ダイヤモンドマインドを中心に選んでいけばそれっぽくなると思う。

セバス・チャンの高速移動

"俺は領域を発動させていたんだぞ? 範囲は狭いが、一直線に走ったのであれば引っかかったはずだ。にも関わらず察知できなかった……? " 書籍5巻-353p

まあバトル漫画とかによくあるパターンではあるが、ここからセバスの尋常でないスピードを読み取る向きもあるようだ。

実際、D&D3.5eの高レベルモンクはとんでもなく足が速い。
モンクは3Lvより特殊能力「高速移動」を得て、これはレベルアップとともに強化される、またモンク系上級クラスでも引き続き強化させれる事が多い。

試しに人間モンク29Lvの移動速度を計算してみると、移動アクション(約3秒)で120フィート、さらに特技《Epic Speed》を習得したこのキャラが「疾走」すると、750ft/6s≒137km/hと、ウサイン・ボルトの3倍ものスピードですっ飛んでいく事ができる。
これは呪文やアイテムによるバフを含まない、純粋に肉体を鍛え上げて得た能力である。

このように確かに人間離れしたスピードではあるが、ブレインが知覚出来ない程かというとまた疑問が残る。
そこでもう一つの可能性として考えられるのがモンク12Lvで得る特殊能力「縮地の法/Abundant step」だ。

この能力は《ディメンジョン・ドア》呪文と同様に効果を表す、つまり高速移動ではなく、瞬間移動となる。

これならコッコドールの懐まで瞬時に近づくことができるし、戦術特技《日輪門派》があればさらにノーモーションで拳を叩き込む事ができる!


ちなみにココまでモンクレベルを上げなくても、おそらく比較的低レベルのドルイドのほうが短時間なら移動速度は上になる。
あいつらはウマに変身した上でチーターの突撃とか使えるから…モンクの血の滲む様な修行も形無しだ…

 

追記:"アルファの姿が霞む。短距離を転移したように、突如目の前に現れた" 書籍6巻-363p

上はユリ姉VSイビルアイのシーンだが、ここでも縮地を使って間合いを詰めたようだ。

"森の賢王" ハムスケ

アウェイクンド・ジャイアント・ジャンガリアンハムスター 脅威度7

真なる中立、大型サイズの魔獣(変性種動物)

ヒット・ポイント:90(9D10+36)

イニシアチブ+4;知覚 暗視60フィート、夜目

移動速度:40ft、登攀20ft

アーマ・クラス:18、接触12、立ちすくみ15(サイズ-1,敏+3,外皮+6)

基本攻撃/組み付き:+9/+19

攻撃:爪= +16近接(1d6+6)または 尾の打撃= +15近接(1d8+6)

全力攻撃:爪+16(×2)及び 尾の打撃+13

セーヴ:頑健+10、反応+9、意志+4

能力値:筋力22/敏捷力16/耐久力18/知力11/判断力12/魅力8

技能:<隠れ身+4>、<聞き耳+9>、<視認+9>、<忍び足+4>、<水泳+11>、<登攀+11>

特技:《鋭敏感覚》《複数回攻撃》《外皮強化》《武器熟練》(爪)

擬似呪文能力(術者レベル9)
 3回/日 ブラインドネス(DC11)
 1回/日 チャーム・モンスター(DC13)

出現環境:温暖/森林

編成:単体


ダイア・ラットをベースに覚醒して魔獣化、HDの強大化、サイズ大型へ
レジェンダリィ・アニマルにでもしようかと思ったが強くなりすぎるので断念。

 

追記:D&D3版系にはハムスターのデータは無かったと思うが(MMのネズミのデータで代用しろと書かれているのが大半)、AD&D2ndのキャンペーン・セッティングの一つ「スペルジャマー」のサプリメントに掲載されたモンスターの中には「ジャイアント・スペースハムスター」という大型サイズのハムスターが存在した。

モンスター解説を見てみると、ハムスターの肉はスパハム(spaham)と呼ばれ美味であり、ノームが巨大な宇宙ハムスター牧場で繁殖させているとか、明らかにギャグとして書かれているのが分かる。


まあ、これだけなら和訳もされてない日本ではマイナーなサプリのモンスターであり、ハムスケとの関係性は薄そうであるが、AD&D2ndをベースとしたコンピュータRPG「バルダーズ・ゲート」シリーズにおいて仲間に出来るレンジャー「ミンスク」が、ミニチュア・ジャイアント・スペースハムスターの「ブー」(どう見てもただのハムスターであるが、おつむが少々アレなミンスクは巨大宇宙ハムスターのミニチュア版と信じているw)を相棒として溺愛し、また彼らコンビはかなりの人気を博した。


うろおぼえだが過去の感想返しで、丸山くがね氏はバルダーズ・ゲートだかネヴァーウィンター・ナイツについても触れており、ここから「ペットに巨大ハムスター」の発想が生まれたのかもしれない…

オバロの魔法名は厨二成分が足りない

という意見に対し、なぜならD&Dがベースになっているから、と答えることは簡単だ。

さらにもう一歩話を進め、D&Dでの呪文名がなぜこのような簡素な英単語の組み合わせになっているかというと、ジャック・ヴァンスファンタジー小説『終末期の赤い地球』(1975 和訳)シリーズや『天界の眼:切れ者キューゲルの冒険』(2016 和訳)をガイギャックスをはじめとする初期デザイナーが愛読しその影響が大きかったためという。

ここまではネットでググっても出てくる情報だが、では上記の小説での呪文名が和訳された小説ではどうなっているかというと、D&Dの和訳された呪文名とも大きく感じの違った、なんというか"味のある"物となっている。


ウチの本棚に『終末期の赤い地球』もあるし、『切れ者キューゲル』も最近になって国書刊行会から和訳されたことだし、せっかくだから備忘録的にこれらの呪文名を書き留めておく。

 

〈よるべなき包嚢の術〉(河出文庫『不死鳥の剣』収録時の訳)
〈孤絶の包嚢術〉(国書刊行会、訳者は上と同じ中村融)"Forlorn Encystment"
*対象を地表から45マイルほどの地下に閉じ込める呪文、D&D《インプリズンメント/幽閉》呪文の元ネタとして知られる

ラグウィラーの〈かゆみ地獄〉"Lug-wiler’s Dismal Itch"

〈裏返しの術〉"the Inside Out and Over"

ザスドルバルの〈目印付き転送の術〉"Thas-drubal’s Laganetic Transfer"

〈遠隔急派の術〉"the Agency of Far Despatch"

〈足指肥大化の術〉"The Spell of the Macroid Toe"

〈フェローヤンの二次金縛り〉"Felojun's Second Hypnotic Spell"

〈ファンダールの渦旋活殺の術〉"Phandaal's Gyrator"

〈ファンダールの魔法のマント〉"Phandaal's Mantle of Stealth"
*D&Dでもこのような魔術師個人の名の付く呪文は多い。

〈活力持続呪法〉"The Charm of Untiring Nourishment"

〈球状排撃術〉"The Spell of the Omnipotent Sphere"

〈時間遅滞の呪文〉"the Spell of the Slow Hour"

〈捻転苦の呪文〉"twisting torment"
*なぜだかこの呪文だけツイスティング・トーメントとルビを振ってある

〈無敵火炎放射術〉"The Excellent Prismatic Spray"
*見てのとおりD&D《プリズマティック・スプレー/虹色のスプレー》呪文の名前の元ネタである。
D&Dのものは七色のビームで対象に盲目効果をはじめエネルギーダメージ、毒、石化、狂気、追放などをランダムで与えるものだが、ヴァンスの作中描写では「四方八方から炎が襲いかかる」「多彩な刺し殺す火箭」とあり、これはどちらかというとファイアーボールやマジックミサイルの方が近いか。


以下、魔術師リアルト『Rhialto the Marvellous』(1984未訳)より

序文
Xarfaggio's Physical Malepsy
Arnhoult's Sequestrious Digitalia
Lutar Brassnose's Twelve-fold Bounty
The Spell of Forlorn Encystment
Tinkler's Old-fashioned Froust
Clambard's Rein of Long Nerves
The Green and Purple Postponement of Joy
Panguire's Triumphs of Discomfort
Khulip's Nasal Enhancement
Radl's Pervasion of the Incorrect Chord

『The Murthe』
spell of Internal Solitude
spell of twisting and torsion
spell in turn of compressions from seven directions
spell of dissolution

『Fader’s Waft』
spell of inanition upon Frole
the Spell of Soft Silence
Spell of Lightsome Striding
the Spell of a Hundred Centuries

『Morreion』(初出は1973)
Houlart's Visceral Pang
Green Turmoil
Galvanic Impulse
Houlart's Blue Extractive
spell of brain pullulations
Instantaneous Galvanic Thrust
Instantaneous Electric Effort
spell of Temporal Stasis
*これこそ《テンポラル・ステイシス》呪文の起源だろうが、作中描写は完全に《タイム・ストップ》呪文そのものとなっている。
作中、魔術師たちは手に入れたアイウーン石を山分けるするため、抽選によって配当を決める事にするのだが、主人公リアルトはテンポラル・ステイシスの魔法で周囲の時間を止め、その間にチップに印を入れるというインチキを敢行。しかし他の魔術師も同様に何時の間にやら時間停止で印を書き換えていた為、リアルトの企みはあえなく失敗…というオチ。『終末期の赤い地球』収録の連作よりは『切れ者キューゲル』シリーズに近い、ヴァンスらしいユーモアの利いたシーンとなっていた。

 

2001年のガイギャックスの記事によると《ローブ・オブ・アイズ/Robe of Eyes》も『終末期の赤い地球』かららしいが、これは〈情無用のチャン〉の着ている寛衣を指しているのか?(原文では"robe of eyeballs threaded on silk")また《アイウーン・ストーン/Ioun stone》も初出は終末期の赤い地球シリーズからだが、これが記載された小説『Morreion』は残念ながら未訳、国書から翻訳されないかなあ。


なお超位魔法のオリジナル&厨二度が高くウィッシュを除くとD&Dに同様の物が見られないというのは、最上位の魔法だからはっちゃけた!という事もあると思うが、発想元となったD&Dのエピック呪文がオリジナル呪文作成の為のルールという側面が強いため、どんな名前のすごい効果の魔法でもアリだろう、とオリジナル度を高めて作った結果だと思われる。


*切れ者キューゲルの和訳について、「40年遅ぇよ」という意見もあるだろうがここはさすが国書!と称えたい、みんなも買おうw
早川も相変わらずマイペースで刊行してるし、長生きする事はSF&ファンタジーオタには必須のスキルである。